根津、セレネー。
根津、セレネーに行ったのはスイーツ部の友人と
昼飯に、塩ラーメンを食べた後のこと。
食後の甘味、ということで
「イナムラ以外に、もう一軒。いいお店が在りますよ。」
ということで、やってきたのだった。
ショーケースを見たときに驚いたのは
(モンブランが3種類もある……)ことだった。
通年のモンブラン。
限定のモンブラン。(訪れたのが秋だったので)
そして、ショコラのモンブラン。
三角形のモンブラン、ショコラモンブランを見たときには
非常に失礼ながら(味はソコソコしか出せないので、
奇抜さで食べる側の気を引こうとしているのか?)と
感じた。
それが一口食べてみると
(あれ?普通に美味しいよ?)
(何で形状を普通にしないの?)
(これ、何か理由があるんだな?)
和栗のモンブランを食べた時には、その美味しさに
驚くほどのものがあった。
おいしい、たべやすい、うつくしい。
三拍子揃った見事なハイレベルの「モンブラン」。
(これは、軽いノリで食べたらケーキに失礼だ。)
そう思い、翌日体調を整え再訪。
ショートケーキを食べ、技術の確かさに唸り
セレネーを食べ、今までに無い作品に固まり
セレネー:味勝負。類似品が存在しない。これは「発明」である。
オランジュを食べ、爽やかな味に心洗われた。
技術力も非常に高い。下の写真を見ていただきたい。
「何だ、単なるプリンのパイ包み焼きじゃないか。」
そう思った貴方は、甘い。
プリンの調理は「低温で長時間」。
パイの調理は「高温で短時間」。
この二つは常識であれば絶対に両立しないのだ。
これをシェフは両立させてしまったのである。
「なにげなく、とんでもない。」
それが、このプディング。
実際、他店には存在しない。というか、できないのだ。
今までに無いもの。他の店とは明らかに違うもの。
こういう先人のいない道を切り拓くような作品を作る。
それが、セレネーさんのスタイル。
そう考えると前に書いたイナムラさんとセレネーさんは
高い技術を持ちながら目指す方向が違うことがわかる。
イナムラさんが目指すのは「既存の技術の極限」。
セレネーさんが目指すのは「新規の技術の開発」。
車で言うならファミリーカーとスポーツカー。
イナムラさんがベンツなら、セレネーさんはポルシェ。
両者には、それくらいの違いがある。
作り上げるケーキの「狙い」にしても、僕が想像するに
イナムラさんは「全員に80点以上と言わせる。」
セレネーさんは「三割に100点満点と言わせる。」
(三割が100点と言えば、他は0点でもいい。)
全然、違う。この二店は何から何まで、対照的。
イナムラさんが「技術者」(エンジニア)なら
セレネーさんは「開拓者」(パイオニア)なのだ。
前人未到の地を切り開いていく開拓者(パイオニア)。
僕は「セレネー魂」とは開拓者の精神。
すなわち「フロンティア・スピリッツ」なのだと、思う。
テレビが、ああ言う。雑誌では、こう言う。
そういうものと関係なく、あなた自身の五感で
この店のケーキから「メッセージ」を感じて欲しい。
独立を目指すパティシエ、パティシエール。
既にお店を持つオーナー。ケーキを愛する皆さんなら。
この店の作品に触れることで、きっと何か。
気付くもの、得るものがあるはずだ。
【ケーキ一覧】
チョコケーキ:マイヤーズラム(洋酒)の一ひねりが小粋。
かぼちゃのプリン:ハロウィン限定。カボチャの自然な甘味有。
レアチーズケーキ:「清冽」。透明感すら漂うチーズケーキ。
キャラメルショコラ:ショコラが脇役に徹しているのが素晴らしい。
紅茶のケーキ:アイデアと、具現化する技術力。両輪の勝利。
ポワール:洋梨の淡さを前面に推した作品。食べ手を選ぶ。
ショコラトルテ:ショコラの「苦味の魅力」を感じさせる。
パンプキンロール:ハロウィン限定。何気なく、手間を掛けている。
林檎のタルト:甘さを抑えたトータルパッケージの作品。傑作!
エクレール:キャラメルクリームのインパクトは、ここならでは。
プラリネ:大地を感じさせる力強い味付。後味が軽いのは技術。
ポ・ド・クレーム:この凄さがわかる人は、レベルの高い人です。
フルール:フロマージュとブルーベリーのバランスが上手い。
マンダリンショコラ:柑橘・ショコラ系ケーキ。珈琲生地が隠し味。
トロワ・フロマージュ:チーズ好き狙いの作品。メッセージが明確。
シャンティー・ショコラ:白いスポンジが美しい。味わいも軽め。
アブリコ:杏、オレンジ、ショコラムース。見た目通りの爽やかさ。
アルモニー:苺、木苺、ホワイトチョコムース。ムース系の良品。
フランボワーズ:ムース系と思いきや、ベースはスポンジ。
オランジュ:見た目豪快、味わい繊細。柑橘・ショコラ系の傑作。
セレネー:「別格」のケーキ。唯一無二。孤高の逸品。
ショートケーキ:クリームの甘さを他が中和する。安心の一品。
タルトショコラ:日本でトップクラスのタルト。コーディネート秀逸。
モンブラン:形珍しく、味は定番。珈琲風味が生きている。
和栗のモンブラン:限定モンブランの教科書。ど真ん中の剛速球。
ショコラモンブラン:僕の中では「マロンショコラ」と呼んでいる。
カシス:カシス、マロン、イチジク。イチジクが意表を突かれた。

