親ばなれ | 荻原和歌オフィシャルブログ Powered by Ameba

親ばなれ

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数日前に雪が降ったにもかかわらず、
都心の桜が満開になった日。
 
習いごとの門の前で子どもを待ち構えていたら
「ママひとりで先に帰ってて。お友だちと一緒に帰るから」と
にこにこ手を振る姿がありました。
 
「あら、そう? 気をつけてね」と
クールにきびすを返しましたが、
ああ、とうとう来たなという喜びと
軽い切なさと、春の光の眩しさとで、
目の前の風景が小さくゆらぎ、
こっそり息をついたのでした。
 

少し離れてから振り返れば、

友達と笑い合っているらしい
シルエットはたしかに就学期のそれで
親の仕事にひとつ区切りがついたのだな、と
感慨深く思わずにはいられませんでした。
 
ここからは、よせては返しながら遠ざかっていく引き潮のように
ゆっくりと呼吸を合わせながら
親ばなれ子ばなれの営みが始まるのでしょう。
 
それにしても、あっさりと子どもから手を離していった春の午後でした。