買えない味 | 荻原和歌オフィシャルブログ Powered by Ameba

買えない味

今年は、しば漬けをよくつくった年でした。
畑のナスとキュウリに追い立てられるようにして
作ってみたらそのおいしさに開眼した、というところでしょうか。

食いしん坊の人には伝わるものですね。
大学の同級生夫妻にお裾分けしたら
オット氏がしば漬けを「売ってほしいほどうまい」と言った、という話を聞いて
じわじわ~とうれしかった。
その方が、おいしいものにこだわりがあることを知っていたから。
学生時代、彼のつくったオムレツをつまませてもらったことがあって
そのおいしさに感動したのを覚えています。
一方のツマ女史も、栗の渋皮煮が大好き!と
子供の頃、おばざまがつくってくれた渋皮煮の話をしながらおかわりしてくれました。
どれだけ手のかかるものかを眉をひそめて話しながら
毎年姪甥に栗の渋皮煮をごちそうしてくださったというおばさま、
お目にかかったことはないけれど
なんだか知りあいのような気さえして温かい気持ちになったのでした。


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(栗の渋皮煮はケーキに焼き込んでも美味しい)


青梅の蜜煮、梅干し、栗の渋皮煮、漬物といった保存食、
毎日のお出汁やちょっとした常備菜、白いご飯。
どうやら、私は最近
代わり映えしないいつものおかずと季節の保存食の
面白さに強く惹かれているみたいなのです。

こういうもののおいしさで難しいのは、
写真にうつらないこと。
ぱっと見はできあいのものとなんら変わらないか、地味だったりしますものね。

地味で、写真映えしなくて
でも体の芯からしみじみおいしいもの。
家族の箸のスピードがあがるもの。

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私がお世話になっている郷里のご夫妻からいただくお裾分けも
そういう味のものです。
たとえば今の時期におじゃますると
赤カブ漬けを「少し持っていく?」と持たせてくださる。
昨年いただいた時は
「最近は、生の温海カブが出回らなくなって思うようなものではないけれど」と
おっしゃっていました。
加工品にしたほうが利益が出ることと、
自宅でカブを漬ける家が減ったことから
生の温海カブの流通量はぐんと少なくなっているようなのです。

おなじような色形のカブをつかっても、
おなじレシピで作っても
焼き畑で作った温海カブとは仕上がりが違う。
皮の薄さ、肉質のキメ、香り、辛味。
今や、自宅で漬ける温海のカブ漬けというのは
本当の意味での贅沢品なんだなぁと思ったことでした。
(話しがそれますが、先日、レストランOGINOの荻野シェフに
本物の温海のカブ漬けを食べてもらう機会がありました。
即座にこのカブ独自の特質を言い当てていらっしゃいました。さすがですね)

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(黒豆は小さい保存容器で冷凍しておくと副菜やおやつとして重宝)

つまりは買えないおいしさだな、と
昨夜冷凍庫から出しておいた黒豆を食べながらしみじみ思ったことでした。
(12月にお正月メニューとしてお教えする
黒豆もがめ煮もうちでは「いつものおかず」なのです)

12月に予定している2つのクラスはそんな「買えない味」のクラスとも言えます。
生の赤カブを用意できるだけでもかなりスペシャルなクラスですし(漬け方自体は簡単)
いくらのしょうゆ漬けも、
「やってみたいけどちょっと不安」というリクエストに応えたもの。

聞いてもピンとこないのか
写真が地味すぎるのか、実は今回は出足が鈍め。
簡単だけど、毎日を少し幸せにしてくれる料理。
みなさんと「買えないおいしさ」をぜひご一緒したいなと思っています。

詳細は下記より
12月のクラスその1 http://ameblo.jp/ogiwaka/entry-11946146555.html
12月のクラスその2 http://ameblo.jp/ogiwaka/entry-11948913239.html