Carl Zeiss Otus 1.4/55( Apo Distagon T* )
先日はフィルムカメラでの試写をお届けいたしましたが、
今回はデジタル一眼レフ(ニコンD600)にて撮影した写真をご覧ください。
カメラの液晶に表示された写真でさえ、見た瞬間に思わずため息がもれます。
今回は北鎌倉~鎌倉~江ノ島~東京駅というコースで撮影をしました。
開放付近ではピンが薄いので、MFでのピント合わせがかなりシビア。
前ボケ後ボケは素直でなめらか。嫌な感じはしません。
光をうまく捉えてくれるので、フレアやハレーションが少なく、透明感のあるクリアな写り。
さすがはカールツァイスと言うところですが、その前代未聞の重量感がいかにも
「写真を撮影しているんだ」という気持ちにさせてくれるので、撮影が楽しくて
足が止まりませんでした。
写した写真を見るたび、絞った写真は「こんなに見えてしまうのか」と、
開放にした写真は「こんなにとろけてくれるのか」と思うほどで
画像サイズに制限のあるブログでしかお見せできないのが残念なくらいです。
背景から被写体が浮き出してくる大口径レンズ独特のぼけ。
他のレンズでは画面の周辺が渦を巻いたり、ざわざわしたりして
汚いぼけになってしまいがちですが、開放でもこの写り。
自分の写真が突然上手くなったような錯覚を覚えます…
見てくださいこの写り。
手前の鳥居の下にいる人から江ノ島の弁天橋を渡る人まで、一貫してシャープに
精密に写しているのが分かります。
遠くの人までもここまで写ると逆に怖ろしくなってきます。
最後に東京駅を撮影。
クリアでシャープなこのレンズは夜景撮影にも適していると思います。
白い彫刻の微妙な陰影や、間接照明のあたっている壁のグラデーションも
うまく自然に描写してくれています。
Nikon D600 , '6 , F16
「レンズで写真は変わる」ということを全力で体現し、
私たちの目の前に突きつけてくれたこのOtusは、
紛れもなく世界最高のレンズであると感じました。
「何を撮っても絵になるレンズ」こうしたレンズが稀にあります。
まさしくOtusはそんな一品の一つです。