荻野剛生だ。中卒、47歳、沖縄でセミリタイアを満喫している。
前回の続きだ。
俺は26で会社を辞めて、中東からアメリカへ渡った。
中東で作ったつてを頼りに仕事を見つけた。
金融関係の仕事だ。
営業だったが、前は商社の営業として働いていたから、金融も余裕だと思っていた。
だが、アメリカの金融の仕事はそんなに甘くなかった。
金融は金が動く。
しかも、額が半端じゃない。
当然、営業のコミッションも大きくなる。
案件によっちゃ、1件で1年分の年収が稼げちまう。
だからこそ、競争が激しい。
世界中から優秀なヤツラが集まって、競争をしているんだ。
余裕だと思っていたのに、全然契約が取れない月日が続いた。
俺は、競争に勝てなかった。