メトロノームとチューナーを楽器店に買いに出かけた事で一歩前進できた気がして気分が高揚した。楽器屋というのは何故あんなにワクワクするのだろう。
折角来たので、店内を見て回る事にした。やはりベースコーナーに足が向いてしまう。
様々な種類のベースがある中、やはり自分の購入したエピフォンのバイオリンベースに目が止まる。値段は、自分がネットで買ったのとほぼ変わらない事は知っていたが、改めて目の当たりにすると妙な安心感があった。
日は浅いくせに、昨日の手にした時の記憶が甦って来て、すっかり馴染んだ気になっている。今日は会社も休みで社内には人が少ないし、帰ったら本格的に練習しよう。と、はやる気持を抑え、もう少し店内を見て回ろうとその場を移動しかけた時だった。
他に置かれてあるベースに混じって、我がベースが妙に控え目に見えたのである。
何だ?と思い、よくよく目を凝らして見ると、我が愛しのバイオリンベースの大きさが、他のベースに比べて一回り小さい事に気が付いた。