偉大で有るがゆえに、逆らうことは誰もできない。
政治家、大金持ち、教授、釣人。
だからこそ、自然の前では「ただの人」。
どんな人でも、同じ人として扱われ、だからこそ、人同士も垣根が消える。
そんな自然を一番感じられる釣りは、渓流釣りなのではないかと、私は考えている。
そんな渓流に数年ぶりに戻ってきた方が居た。
餌でしか渓流釣りをしたことが無いと彼女は語っていた。
だからこそ、今回は「ルアー」。
渓流ルアーは、スキャスティングから、アクション、軽快な渓歩きと、様々なチェックポイントがある。
そこを通過し、魚と出会う。
難しい釣りに見えてしまう。
だが、釣りをするだけであれは、間口が広いのも事実。
ロッドやリールはリーズナブルなもので出来るし、ルアーだって2~3個でいい。
釣果だって時期とタイミング次第では初心者だってある。
ようは間口が広くて、奥が深い、抜け出せなくなる釣りなのである。
そんな釣りへようこそ。
そんな話をしながら、渓を遡行する。
久々の渓流は、残暑が厳しい日となった。
だけど、「歩くだけで楽しい」と笑顔で語ってくれた彼女は、本当に楽しそうだった。
キャストが決まらず、ヤキモキする気持ちを緑が揉みほぐしてくれているようだった。
場所を変え、魚を探す。
中々、チェイスは有るものの、フッキングまでは至らない。
見ているこっちは楽しいが、本人は焦れったくて堪らなかったと思う。
「やっと釣れた!」
そう言って魚を見せる姿は、子供のように見えた。
コツを掴んだようで、次々と魚を手にしていた。
久々の渓流は楽しんで貰えたようで、本当に良かったと思う。
「来シーズンは、最初からやりましょう!」
そう明るく言って貰えた私は、とても嬉しかった。
来シーズンがたのしみである。