伊東からの帰途、熱海で MOA美術館 に立ち寄りました。

↓の展覧会開催中

      

 

駅前から出る路線バスも満員でしたが、美術館内も予想以上の混雑 びっくり

しかも、若者が圧倒的に多い! 老人客が多い上野の美術館とは大違い!

熱海観光のついでに来ているようです。この美術館、今や金沢21世紀美術館や島根の足立美術館のような観光スポットになっているようです。眺望も素晴らしいので。

 

その美術館ご自慢の眺望、この日は生憎の雨模様であったのでイマイチでした ショボーン

↓晴れている時の眺望(2023年3月撮影)

 

『江戸の美人画』展は肉筆&版画の錚々たる美人画が揃っていて華やか 。

春の訪れを告げるような 伝・雲谷等顔《花見鷹狩図屏風》から始まり、菱川師宣・鳥居清信・懐月堂度繁・古山師政・宮川長春・礒田湖龍斎・喜多川歌麿・勝川春章葛飾北斎・歌川広重等の肉筆美人画が並んでいます。

伝・雲谷等顔《花見鷹狩図屏風》 右隻    [重要文化財]

 

 

菱川師宣《見返り美人図

 

 

鳥居清信《調髪美人図》                            懐月堂度繁《立美人図》

 

↓最晩年の肉筆画。写実的な風呂桶と歌麿らしい優美な裸体の描写が見事

喜多川歌麿《寒泉浴図

 

↓北斎初期の美人画の傑作

葛飾北斎《二美人図》      [重要文化財]                      

 

↓清少納言・紫式部・小野小町という王朝の三才媛の見立絵

 三才媛を江戸の市井の女性の風俗画に描きかえている

勝川春章《雪月花図図》      [重要文化財]             

 

勝川春章 北斎 の師匠でもありました。

その 春章 の最高傑作と評される《婦女風俗十二ヶ月図》が本展のメイン作品的位置付けです。江戸美人が季節の行事と共に色鮮やかに描かれていて、大スクリーンによる高精細画像の放映もあり、精緻な描き込みがよくわかる展示になっています。

残念ながら、一月と三月の二幅はが失われてしまったそうです。

それでも重文指定なので、全幅残っていたら国宝指定になっていたかも?

現代の暦とは若干ズレがありますが(例えば二月に桜が咲いている)、季節ごとの風流・風情を楽しむ感覚は変わっていないように思います。

       二月               四月 杜鵑図

      五月 蛍火図            六月 行水図

      七月 七夕図             八月  名月図

       九月  重陽図            十月 炉開図

      十一月 白雪図           十二月   節分図

 

↓は九月の重陽図の場面。遊里での重陽の節句の様子

中国では菊は延命長寿の功があると信じられていて、江戸時代の日本でも邪気を払うために菊花を飾り、菊酒を飲む風習があったそうです。

 

四月は杜鵑の声にまどろむ女性の姿、五月は蛍の灯で本を読もうとする様子、六月は夏の風情を演出する母子の行水・釣忍・回燈篭、七月は盥の水に星を写し、その上で針に糸を通すことで裁縫の上達を願うという七夕の風習、十月は新茶をたてるために炉を開いて火をいれる(茶道では陰暦十月亥の日に炉開をする)ならわしが描かれています。十一月にはもう雪が降り、炬燵も使っています(盆の上には雪兎)。十二月の節分は立春の前夜であり、厄払いのために門口に柊の枝をさし、その後に元旦を迎えるという風習がありました。

 

↓七月の図にある盥に写った七夕の夜の星

↓は 伊東深水《銀河祭り》[本展では展示されていない]

        

            ※伊東深水は 朝岡雪路の父

 

もう一つのメインは 歌麿 の美人画(版画)8枚。

照明を落とした展示室内に一枚ずつ独立したガラスケージに入れられています。

《名所腰掛八景

 

《お藤とおきた》 

  旧世代の美人お藤が寛政三美人の一人の難波屋おきたに美人の秘訣伝授

 

《風流六哥撰 康秀》

 

《當時全盛美人揃越前屋内唐士

 

《見立玉川美人

 

《婦女人相十品 文読美人

  歌麿美人画の中の代表作で、手紙を読む町人の女房が描かれている

  表情や両手の描写から、心の動きがありありと感じられる

  フェルメール作品と見比べると面白そう

 

《婦人手業拾二工 祇園豆腐

 

《婦人相学拾躰 臼をひく女

 

 

他にも、歌川広重・溪斎英泉・歌川国貞・鈴木春信 等の美人画版画もあって、まさに江戸美人で埋め尽くされた展覧会になっています。

歌川広重《隅田堤闇夜の桜》

 

歌川広重《東都本郷月之光景》

 

 

歌川国貞《當世美人合 冨士詣ノ夕立》    溪斎英泉《江戸名勝尽 隅田川》

 

鈴木春信《見立鉢ノ木》 

 

 

 

観覧後は喫茶室で一服。抹茶&お汁粉♪

お茶の器のデザインがこの美術館の”至宝”だった

↓本物

野々村仁清《色絵藤花文茶壺》 [国宝] 

 

 

現在を代表する美人DIVAと言えば↓のお姉さん♪

先日の BRIT Awards での新曲パフォーマンス