全体的に展示品数は少なく、複製彫刻も多いのですが、興味深い展示品も少なくありませんでした。
冒頭は「ローマ建国神話の創造」のコーナーで、有名な建国神話にまつわる彫刻作品からスタート。20世紀の複製品。
《カピトリーノの牝狼》
ローマの創建者ロムルスとレムスが牝狼の乳で育ったという神話
↓は1世紀に造られた本物。猪の喉笛に豹が噛みついた瞬間
《豹と猪の群像》
《「イリアス」の石板》 前1世紀末
《ボルセナの鏡》 前4世紀
牝狼やハドリアヌス帝の肖像が描かれた金貨・銀貨・銅貨の展示もありました。
続くコーナーは「古代ローマ帝国の栄光」
ローマ皇帝の大理石彫像を中心に構成されていて、歴代の中でも超大物を揃えています。
《ガイウス・ユリウス・カエサルの肖像》 前1世紀
《アウグストゥスの肖像》 1世紀初頭
《トラヤヌス帝の肖像》 2世紀初頭
《ハドリアヌス帝の肖像》 130年頃
ティベリウス帝がないのが残念・・・
究極のポピュリズム政治に陥っている今の日本に必要なリーダーはティベリウス帝タイプでしょう。国民は絶対に受け入れないでしょうけどね。コロナで理性を失い、有能な菅義偉を辞任に追いやり、無能な岸田政権を誕生させた愚民だから。
《ティベリウス帝の肖像》 [2016年にエルミタージュ美術館で撮影]
同じく、エルミで撮影したカエサル↑とアウグストゥス↓
↓クレオパトラをイメージさせるようなタイトル
《イシスとして表されたプトレマイオス朝皇妃の頭部》 前1世紀~後1世紀
東京会場を含めた本展のハイライトの一つが コンスタンティヌス帝 のブロンズ製巨像。頭部は高さ180cm。全部複製なのですが、迫力は十分。キリスト教を認めたので、後世最も過大に評価されている皇帝でしょう。
《老女像》 2世紀
↓13世紀に制作されたモザイク画
旧サン・ピエトロ大聖堂のモザイク装飾の一部だったとのこと
「美術館の誕生からミケランジェロによる広場構想」の章へ。
カピトリーノ美術館がある広場の設計を任されたのは ミケランジェロ。
結局、設計に基づく広場が実現したのは1940年代のムッソリーニ時代でした。
トスカーナの画家(16世紀)《ミケランジェロ・ブオナローティの肖像画》
↓広場中央にあるのはマルクス・アウレリウス帝の騎馬像
エティエンヌ・デュペラック《カンピドリオ広場の眺め》 1569年
《河神》 3世紀半ば
「芸術の都ローマへの憧れ 空想と現実のあわい」の章へ。
ローマ帝国史上最大版図を実現させた皇帝トラヤヌスによるのダキア戦争での勝利を記念して113年に建てられたのがトラヤヌスの記念柱。ダキア戦争を叙事詩的に描いたレリーフが円柱の表面に螺旋状に描かれています。
この円柱、見たような記憶はあるのですが・・・
本展ではこの円柱に関する展示が充実しています。手元に写真はないので、Wikiから拝借した画像と本展で展示されている模型(縮尺1/30)の写真をを貼っておきます。
高さ 30m
ジョヴァンニ・バティスタ・ピラネージ《トラヤヌスの記念柱の正面全景》
1774~1775年
複製石膏 ↑モエシアの艦隊 ↓デケバルスの自殺
アントニオ・カノーヴァの優美な彫刻板もありました。
《パイエーケス人の踊り》 1806年
カノーヴァ作品としては↓のナポレオンの妹の像を思い出します。
《パオリーナ・ボルゲーゼ》 [2015年 ローマのボルゲーゼ美術館で撮影]
↓も素晴らしいカノーヴァ作品だった!
《キューピッドの口づけに目覚めたプシュケ》[2018年 ルーヴル美術館で撮影]
↓はカノーヴァ作品ではありませんが、本展で展示されていたマイセン焼
《アモルとプシュケ》 18世紀
締めは『カピトリーノ美術館と日本』というコーナー。
16世紀、天正遣欧少年使節団はローマ・ヴァチカンを訪れ、1873年には岩倉使節団がカピトリーノを訪問しました。密接とは言えないまでも、日本との縁があったようです。そうした歴史の説明、明治の日本人芸術家がお手本とした《ディオニュソスの頭部》(撮影不可)、小栗令裕がその成果として制作した《欧州婦人アリアンヌ半身》(撮影不可)等が展示されていました。
超目玉のカラヴァッジョ絵画を筆頭に、古代から近代までの彫刻・本・模型といったローマの歴史を概観するバラエティに富んだ展示構成になっていて、存分に楽しむことができました。日曜日でしたが、朝は混んでいなかったし(昼近くなると混んできた)、カラヴァッジョも堪能できて大満足でした♪
もう一発、マネスキン!