※2019年12月に鑑賞した作品も2020年2月に追記しました。
( ラファエロの 《悪魔をうちのめす聖ミカエル》 )
National Gallery編 と同様、ルーヴル編 でもルネサンス3巨匠という括りで一本書くことにします。
National Gallery編 ルネサンス https://ameblo.jp/ogami-ittou/entry-12412580394.html
ルーヴルを訪れた客が必ず立ち寄る三大作品 の三つ目が展示されている所は、ルーヴルの中で最も人口密集度が高い所です。
右側の群集がカメラを向けている先に作品がある(20時頃でも、この混雑)
モナ・リザ (1503~1506年頃)
ダ・ヴィンチ の他作品はイタリア絵画回廊の中程にあります。
《モナ・リザ》 と比ベれば人口密集度はさほどではありません。
岩窟の聖母 (1483~1486年頃)
《岩窟の聖母》 については、National Gallery編 で書いた通りです。
聖母子と聖アンナ (1510年頃)
受難の象徴である羊からイエスを遠ざけようとする聖母を聖アンナ(聖母の母)が軽くたしなめる(受難を妨げてはいけない)という図ですが、かなり無理のある体勢です。
ダ・ヴィンチが編み出したスフマート(ぼかし)技法が、母性愛や高貴さを際立たせているように感じます。
洗礼者聖ヨハネ (1513~1516年頃)
《モナ・リザ》 《聖母子と聖アンナ》 と共に、ダ・ヴィンチが亡くなるまで手元に残したという作品。同性愛者であったと推測されているダ・ヴィンチが、寵愛していた弟子のサライをモデルにして描いたと言われています。
ダ・ヴィンチ作品の近くには ラファエロ の名作も展示されています。
美しき女庭師 (1507~1508年頃)
ラファエロの数ある聖母子画の中でも、とりわけ有名な一枚。
三角形型の三人の構図、牧歌的な背景、慈愛に満ちた聖母、愛らしい幼児イエスとヨハネの姿、というラファエロの聖母子画の典型。
バルダッサッレ・カスティリオーネの肖像 (1514~1515年頃)
National Gallery編 レンブラント の稿で書いた通り、レンブラントが自画像を描いた際に参考にしたと考えられている肖像画でもあります。
https://ameblo.jp/ogami-ittou/entry-12415300070.html
ルーベンスもこの絵をマドリッド滞在時に観て、模写を残したそうです。
モデルは有名な文学者であり、外交官でもあったそうですが、その知性・品格が見事に表現されています。衣服の質感、シックな配色も素晴らしいです。顔のパーツでは、目がイイです。
ルーベンスやレンブラントが感銘を受けた傑作であるというのも納得です。
でも、この絵の前に立ち止まって鑑賞する客は殆どいませんでした。
★悪魔をうちのめす聖ミカエル (1518年) [2019年12月に鑑賞]
ルーヴルには↓のラファエロ作品もあり、右側の方は↑と同タイトルのようです。
この二枚はセットと推測されているそうです。
左側は2013年の『ラファエロ展』(国立西洋美術館)で観たことがありますが、右は未見です。
★聖ゲオルギウスと竜 ★悪魔をうちのめす聖ミカエル
悪の寓意であるドラゴンに立ち向かう大天使聖ミカエルの戦いは、聖ヨハネの『黙示録』の中で言及されているそうです。ラファエロは、ダンテ『神曲』の地獄編に着想を得ながら、悪魔との闘いの場面を描いたようです。
ミケランジェロ は彫刻作品が2点展示されていますが、全く別のフロアーにあります。
瀕死の奴隷 (1503~1505年頃)
前日、ロンドンのV&A博物館で複製を観ましたが、本物はこちら。
システィーナ礼拝堂の天井画を巡ってバトルもした教皇ユリウス2世の霊廟を飾る目的で製作が開始されましたが、計画が変更され、結局は飾られる事はなく、未完成のままに終わった作品です。
奴隷像は二体セットで、もう一体が↓です。
滑らかで、美しく、恍惚とした表情の 《瀕死》 と ゴツゴツとして、力強く、激しく抵抗する《抵抗》 。しかし、この二体の図像のテーマを知る手がかりは殆どなく、ミケランジェロがどのような意図で製作したのかは諸説あるようです。
抵抗する奴隷 (1503~1505年頃)
このミケランジェロの彫刻作品も、素通りする客が殆どでした(笑)
日本の企画展に来たら、凄まじい人だかりになりそうですけどね。
ルーヴルを訪れる観光客の多くは、美術にはあまり興味ないのでしょう。
ルネサンス3巨匠に相応しい格調高い曲で
譜面を見ることもなく、手足をフル稼働させ、厳粛な表情で弾く姿は圧巻!