青春18きっぷ稚内往復日帰りツアー2 | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

(稚内まで)

 朝、5時前に家を出て旭川に向かいます。心配していた路面も乾いていて、普通に運転できました。

 途中、西神楽のコンビニで朝食のおにぎりを調達します。稚内に到着するまで、名寄と幌延で少し長い時間停車しますが、確実に食料を補給できるのは今です。念のため、おにぎりを3個買いました。

 目的の駐車場は駐車可能台数が17台です。けっして便利な場所にあるわけではありませんが、その安さゆえでしょうか、満車になっていることも少なくありません。しかしさすがに6時前という時間では、半分くらい空いていました。

 それから旭川駅まで歩きます。改札口で青春18きっぷに押印してもらい、改札内のトイレに立ち寄ってからホームに向かいます。ホームにはすでに6時03分発の稚内行が入線していました。

 



 今では少なくなったキハ54形2両編成です。1両目には鉄道ファンらしき姿が何組か乗っていましたが、2両目はガラガラです。それなら2両目に乗ろうかと思いましたが、2両目は名寄で切り離すとのこと。稚内まで行くのは1両目だけです。1両目に乗りました。

 最初はクロスシートに座ったのですが、6時間の乗車時間を考えると足を伸ばせた方がいいと思い、ロングシートに移動しました。エコノミークラス症候群を避けるためにも、この方がいいでしょう。

 やがて定刻になり、列車は出発しました。以前はあまり縁のなかった宗谷本線ですが、定年退職して帰ってきてからは、名寄までの区間は毎年乗っているような気がします。すっかり沿線の光景も見慣れてしまいました。

 1両目の乗客は、その多くは鉄道ファンらしき人たちで、多分稚内まで乗っていくと思われます。そんな中に地元住民と思われる人たちが数名、乗ったり下りたりしていました。

 士別が近づくと、乗客が少し増えてきます。さらに士別を過ぎると高校生の姿も多くなってきました。これら高校生は、名寄の一つ手前の名寄高校駅で降りていきます。かつてこの駅は東風連駅という名前で、現在の駅より風連寄りにありました。でも利用者の利便性向上のため、高校の前に移設され名前も変更された駅です。

 名寄駅には定刻の7時40分に到着しました。ここで2両目の切り離し作業が行われこともあり、停車時間は13分あります。鉄道ファンと思しき皆さんは列車を下り、あちこちの写真を撮ったりしています。ここまでの乗車時間は1時間37分。まだまだ序盤です。

 定刻の7時53分になり、1両編成になった列車は出発しました。乗客は旭川周辺から乗ってきた鉄道ファンと思しき人しかいません。

 近年のJR北海道は、ダイヤ改正のたびに利用者の少ない駅を廃止してきています。中でも宗谷本線は、ここ数年でかなり駅が減りました。ここまでの区間でもかなりの駅が減っており、駅間が長くなっています。

 この日は今年のダイヤ改正が行われてから3日目です。全道で5つの駅が廃止されましたが、そのうち2つが宗谷本線でした。しかもその2つは、いずれも美深町にある駅です。

 令和を迎えたとき、美深駅と天塩川温泉駅の間には4つの駅がありました。美深駅側から、初野、紋穂内、恩根内、豊清水です。このうち紋穂内と豊清水は令和3年のダイヤ改正で廃止(豊清水は信号場として存続)され、今回のダイヤ改正で初野と恩根内が廃止されました。その結果、美深~天塩川温泉間は23.2キロと、宗谷本線では最大の駅間となりました。この列車は豊清水信号場で上り特急サロベツの通過を待ったこともあり、美深から天塩川温泉まで33分もかかりました。普通列車で次の駅までこれほど時間がかかったのは、上川~白滝間(37.3キロ)を乗った時以来です。

 名寄から音威子府の間は、宗谷本線と天塩川が近づいたり離れたりしながら北上していきます。この区間の車窓は私の好きな景色の一つです。しっかり楽しみながら列車は北へと向かいました。



 かつてのターミナル駅である音威子府では3分停車しました。国鉄時代はここから天北線が出ていて、音威子府の駅舎の中にはその資料館もあります。そして音威子府駅といえば、なんといっても音威子府そばです。この駅そばを食べるため、何度か車で訪れたこともあります。でもいまは御主人も亡くなって駅そばは廃業となり、オリジナルの音威子府そばも製麺会社の廃業(製法もそのままお蔵入りとなりました)によって食べられなくなりました。今は別の会社が復活を試みて、新音威子府そばが作られるようになりました。(この前日に旭川で食べました)

 ここまでは穏やかな天気でしたが、音威子府を過ぎると時折吹雪いたりするようになりました。いやいや、雪が降るなんて聞いていません。天気に関しては安心していたのですが……。吹雪の中を、列車は定刻の10時33分に幌延駅に到着しました。

 幌延では23分停車します。乗客はほとんど列車から降り、駅の外に出ている人もいるようです。私もホームに降りて、手足を伸ばしました。



 やがて発車時刻となり、列車はさらに北へと向かいます。幌延からは1人の乗客が乗ってきました。

 列車が北に進むとともに、車窓の風景にも変化が表れてきます。大きな木がほとんどなくなり、妙な形をした灌木ばかりとなっていきます。宗谷の気候の厳しさがよくわかります。

 抜海を過ぎると日本海がよく見える地点があります。ここから見える利尻は非常に美しいのですが……この日は利尻は見えませんでした。とても残念です。

 南稚内で幌延からの乗客が降り、稚内まではまた鉄道ファンのみとなりました。稚内駅に到着する前面展望を撮りたいとも思ったのですが、これだけ鉄道ファンがいるとほかにも撮る人がいるでしょう。若者たちに譲ってあげようと思ってじっとしていると……ごそごそと下車準備をしていた若者たちも、誰も撮ろうとしません。あー、これなら遠慮しないで撮ればよかった。

 そんな後悔も運びながら、列車は稚内駅に到着し、6時間04分に及ぶ長い鉄道散歩が終わりました。(つづく)