いつも通勤で使う列車。美瑛駅の次は美馬牛駅に停車する。
何気なく車窓を見ていると、雪の中を散歩している人がいた。大きな白っぽい犬を連れて歩いているように見えたのだが、よく見るとちょっと様子がおかしい。連れている動物は犬ではなさそうだ。
目を凝らしてみると、モコモコの毛に包まれた姿は羊だった。雪原の中を、人が前を歩き、それに引かれてゆっくりと羊が歩く。いかにものどかな光景だが、さすがに私もこうした羊の散歩を見たのは初めてだった。
それ以来、美馬牛駅を通過するときは外をじっと眺めているが、羊の散歩にはお目にかかれずにいる。この先、再びお目にかかれることはあるのだろうか。それともあれは、幻だったのだろうか。