靴の話 | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

 あれは昨年の3月のこと。雪も解けてアスファルトが出てきたので、ビジネス用の夏靴を買おうと近所の靴屋へ行った。これまでは適当に選んで買い、実際に履いてみるといろいろ支障が現れるということが多かったため、慎重に慎重に履き比べた。

 何足くらい試してみただろうか。自分の足にフィットして歩いた感じも悪くない靴をようやく見つけた。

 サイズもぴったり。店内をうろうろ歩いてみても違和感がない。しかも履き比べた靴の中では一番軽い。そしてなにより、3千円台という安さ。迷うことなくこの靴を買った。

 自宅から最寄り駅まで約1キロ。目的の駅から職場まで約0.5キロ。往復で毎日3キロほど歩く。実際に使ってみても、非常に履きやすい靴だった。

 完璧に見えたこの靴だが、一つだけ欠点があった。

 6月のある雨の日。帰宅すると靴下が濡れていた。水溜りにはまったわけでもないのにどうしたのだろうと思って靴底を見ると、母指球の下あたりが激しく磨り減っていた。

 そういえば、近ごろ靴の中に小石が入っているように感じたが、靴を脱いでみると何も入っていないということがよくあった。そのあたりを触ってみると、その部分が陥没していた。

 唯一の欠点は、3ヶ月で穴が開いてしまうという耐久性だった。私は慌てて別の靴を買うことになった。

 今年の7月、1年履いたその靴も、雨の日は水が浸み込むようになった。靴を買い換えようといつもの靴屋に行った。そしていろいろ履き比べて、自分の足に一番合う靴が見つかった。

 その靴は……。

 あの、3ヶ月で穴が開いてしまった靴だった。この靴を買うとまた3ヶ月でダメになってしまうだろう。しかしそれ以外に歩きやすい靴はない。値段も値段だから、3ヶ月で履きつぶす覚悟でこの靴を買い、穴が開く前に別の靴を見つければいい。そう思ってまたこの靴を買うことにした。

 そして3ヵ月後。やっぱりまた穴が開いた。さすがに次は、別の靴を買った。