引き出した 感動貯金 5年分~第27回サロマ湖100kmウルトラマラソン完走記9 | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

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還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

(9)手ごたえ


 走り出して間もなく40km地点を通過します。4時間44分04秒。この間の5kmは36分13秒、10kmは1時間10分51秒です。実に安定したペースです。もちろん左膝と足首を中心に、痛みや疲労を感じています。でも70kmまでのあと30kmくらいは十分走れそうな手応えがあります。


 Chamaさん、Iさん、私、そのほかにも数名のランナーで集団を形成します。そのなかに1人、気になる女性・アンジェラユカさんがいました。足下を見ると、どう見てもランニングシューズではありません。まるでビーチサンダルのような履き物で走っています。これって、ワラーチというのですね。Born to Runを読んだことのない私はまったく知りませんでした。なんでもこれで走ることに慣れてしまうと、ランニングシューズを履いて走ると足が痛くなるそうです。これまでもワラーチで50kmまでは走ったことがあるそうで、100kmは初挑戦だとか。そのようなことを話しながら、しばらくは一緒に走りました。


 やがて月見ヶ浜に入ります。Chamaさんの予定では、フル地点を5時間だとか。私としては特に予定のタイムを考えていませんでしたが、これまではフル地点を4時間台で通過しています。それだけにここで5時間といわれると、「本当に大丈夫か?」という不安も一瞬過ぎります。でも実績豊富なChamaさんが言うのだから間違いありません。これで大丈夫なペースなんです。


 それでもフル地点は4時間58分56秒と、かろうじて4時間台で通過しました。ほんのわずかでも5時間を切れたので、私はちょっと安心しました。


 フル地点の少し先には、カメラのタカハシの写真ポイントがあります。カメラに向かって私たちは元気いっぱいで手を振りました(残念ながら、その写真は私の前に他のランナーが写り込んでいたので購入しませんでしたが)。


Road to SAROMAN BLUE-月見ヶ浜


 月見ヶ浜を抜けて、再び国道238号に入ります。そろそろ尿意を感じつつありますが、どこに寄るかが思案のしどころです。むろん仮設トイレが空いていれば問題なく寄れますが、ここまでの仮設トイレはいずれも待ち人がいました。


 5年前は、59km付近の公衆トイレに寄りました。縁起を担ぐという意味ではそこに寄りたいのですが、それよりもむしろ、レストステーションのホテルグランティアサロマ湖ならば男子小用は空いているだろう、と思いました。ということで、トイレターゲットはグランティアにロックオンです。


 やがて月見ヶ浜を後にして国道238号に戻ります。国道ではまたアップダウンがありますが、私は例のごとく上りは歩きます。そしてコース外にはずれ、エアーサロンパスを膝と足首、腰にかけます。そのため集団からはやや遅れますが、まもなくすると追いつきます。そうしてしばらく集団で走りました。


 45km地点は5時間19分58秒で通過しました。この間の5kmは35分54秒。実に安定したペースです。安定したスローペースです。もしもChamaさんが一緒でなかったら、不安になってしまいそうなペースですが・・・。


 やがてChamaさんはペースを少し落とすといいます。ここらで少しペースを落としても十分に間に合うとのことでした。でも私は、5km35分前後のペースで70kmまで行きたいとと思いましたので、このペースを守ることにしました。昨年のウルチャレの経験があるので、このペースなら70kmまでイーブンでいけると思っていました。だからChamaさんにもそう宣言しました。


 Iさんが行き、そこから少し離れて私が行き、Chamaさんとアンジェラユカさんがそれに続きました。


 ここからはいよいよ一人旅です。でもChamaさんと一緒に走ってきたおかげで、キロ7分ちょっとのペースでのリズムが出来上がりました。これまで完走した2回と比べると、かなり遅いペースだと思います。でもこれでも十分完走できるはずです。このままイーブンペースで70kmまでたどりつけば、あとは問題ないはずです。むしろオーバーペースにはならないように気をつけるだけです。


 まもなく50kmというあたりで、「走る」と書かれたTシャツを着た2人連れを抜きました。すると後ろから、


 「Ogamanさんですよね?」


 と声をかけられました。Facebookでお付き合いいただいている吉田さんでした。吉田さんは現在発売中のクリールにも記事を書いているお医者さんです。昨年のサロマからぜひお会いしましょうと言いながら、なかなかお会いする機会がありませんでしたが、ようやくここで会えました。


Road to SAROMAN BLUE-吉田さんと


 吉田さんとはこのあと何度もお会いしましたが、私はいっぱいいっぱいだったのに対し、吉田さんは余裕の感じられる走りでした。私もいつかあのようにサロマをかけてみたいものです。


 まもなく50kmを通過しました。5時間56分10秒です。この間の5kmは36分12秒です。10kmを1時間12分06秒。ちょっとペースは落ちていますが、上りで歩いた区間も多かったので、走るペースそのものは落ちていないはずです。そう自分に言い聞かせます。


 半分通過・・・いや、今回は70kmのレースと考えていますから、あとたったの20kmです。


 大丈夫!この手ごたえなら完走できる!私はそんな確信を抱き、思わず口元が緩みました。(つづく)


(10)トラウマを越えてへ



(1)完走しなければならない理由

(2)応援FAX

(3)旅の始まり

(4)作戦

(5)予定通り

(6)消えた折り返し点

(7)後方待機

(8)頑張るところはここじゃない