引き出した 感動貯金 5年分~第27回サロマ湖100kmウルトラマラソン完走記5 | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

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還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

(5)予定通り


 小雨の降りしきる中を走ります。嫌いな手袋とポンチョですが、今回身につけて走ったのは正解だったようです。心配していたほど寒さは感じませんが、とはいえまだ早朝ですから気温は10度に満たないくらいでしょう。こんな中でウェアを濡らして走ると凍えてしまいそうです。


 昨年、今年と前半部のコースに若干の変更がありました。でもこの付近の道をぐるっと回ってスタート地点付近に戻ることには変わりはありません。最初の5kmは1kmごとに距離表示がありますし、ここでウォーミングアップがてら、ペースをつかむことが大切です。2km地点を16分22秒で通過します。この1kmは6分43秒ですから文句ありません。


 細かい雨がめがねのレンズを濡らします。手袋を履いていますから、これをウェス代わりにしてレンズの水滴をぬぐいます。雨のときはコンタクトレンズをつけて走ることも多いのですが、普段はつけていないだけに、13時間の長丁場をコンタクトレンズ装着のままで走ることには不安があります。そのためレンズが濡れることは覚悟の上でめがねで走りました。


 あと注意すべきは足下です。ときどき水たまりができています。ここには絶対に入らないよう気をつけて走ります。靴を濡らしてしまうとマメができやすくなります。ウルトラマラソンでマメをこさえてしまうと大変なことになりますから。


 水滴や足下に気を取られていたせいか、3km表示を見落として湧別の市街地にやってきました。ここに来ると、こんな早朝から大勢の町民の皆さんが応援に出ていてくれて感激させられてしまいます。まして今年のように雨が降っている中でも、大勢の町民の皆さんが沿道に詰めかけています。声援に応えながら走っていると、こんな天気の中でもテンションは上がってきます。でもテンションが上がりすぎてオーバーペースにならないよう要注意です。


 4km地点は見落とさずに時計を止めました。30分26秒です。この間の2kmは14分04秒です。こんな序盤でキロ7分に落ちてしまったことはちょっと遅すぎでは?という考えも頭を過ぎりましたが、ここでペースを上げてしまうとオーバーペースになるおそれがあります。速すぎるよりは遅すぎる方がいい。それが今年のポリシーです。イーブンペースを心がけながら、5km地点でのラップを確認しようと思っていました。


 ところが5km地点を見落としてしまいます。このあと10km地点までは距離表示がないだけに、自分の体感速度が試される場面です。


 スタート地点付近には、各チームの応援やサポートの皆さんが声援を送ってくれていました。楽走412旭川や走る人の仲間の声援に応えながら竜宮台を目指します。


 最初の給水所があります。スタート時点で喉の渇きを覚えていた私にはありがたい給水所です。歩きながら水を取り、2、3口飲んで残りは捨てて、コップはゴミ箱に捨てます。それから走り出しました。


 今回は給水所での過ごし方も気をつけようと思いました。いままでは完走したときでも前半の給水所から足を止めていました。たしかに呼吸を整えるべきエイドはあると思いますが、足を止めずに通過できるエイドは通過するべきだと思いました。走るペースが速すぎたからとエイドの滞在時間を長くして帳尻を合わしても、何にもなりません。それで失敗したのが、今年の利尻です。でもフルマラソンのように、走って給水する必要はありません。歩きながら確実に給水して、コップは確実にゴミ箱に捨ててリスタートしよう。そう思っていました。


 最初のエイドを通過して、単調な道を淡々と走ります。この区間は単調ですがとても重要な区間です。距離表示が1kmごとから5kmごとに変わり、10km地点に到着するまでペースがわかりません。まあ最近はGPS付きの時計を持って走っている人も多いので、ペースを常に把握しながら走っている人も多いでしょうが、携帯のRun&Walkも起動せずに走っている私には、ペースを把握する術はありません。


 ここで走るペースがこのあとのペースを決めてしまいます。ここで落ち着いたペースはこのあとしばらく崩すわけにはいきません。


 13時間の長丁場です。今年は絶対に完走できると自己暗示をかけながらやってきました。でも序盤から気合いが入りすぎては息切れしてしまいます。そういう点では、苦手な曇天だったのがかえってよかったのかもしれません。単調な景色に鉛色の空。どうにも気持ちが高まりませんでした。淡々として走っていました。これが逆に目の覚めるような青空だったら、2年前の猛暑の中でもやらかしてしまったように、気持ちが高まりすぎてオーバーペースになっていたかもしれません。


 やがて迎えた10km地点は1時間11分57秒で通過しました。スタートロスを除くと、入りの10kmは1時間09分08秒で走っています。どうやらオーバーペースにはなっていませんでした。予定通りのペースです。(つづく)


(6)消えた折り返し点へ



(1)完走しなければならない理由

(2)応援FAX

(3)旅の始まり

(4)作戦