先日、市内のスーパーで買物をしていて面白いものを発見しました。それは「増毛産」と書かれた桃です。
留萌の隣町の増毛町は、フルーツの生産が盛んです。7月にはサクランボ狩りにも行きましたし、秋にはりんご、なし、ぶどうなども収穫されます。
でも、桃まで作られているとは知りませんでした。桃といえば福島とか山梨のイメージが強くて、北海道で作られているという認識がなかったんですよ。
そこで早速調べてみました。
たしかに北海道でも桃は生産されています。平成21年度に全国で150,700トンの桃が収穫されていますが、そのうち北海道では116トンが収穫されています。そのうち約18%が増毛町で生産されているそうです。
北海道全体で116トンというのは、僅かな量と言えると思います。山梨では50,200トンも収穫されていますからね。
増毛町は道内でも最北のフルーツ生産地域ですから、桃の産地としても最北です。
ところがヤマセン仙北果樹園さんのブログ記事を見て、私は驚いてしまいました。
「北限の桃じゃない北限産地の桃」
http://kajuen.net/senboku/archives/775
一部を抜粋して転載させていただきます。
『 さて、増毛でも「桃」は獲れます。増毛町は集団的に果樹園があって、経済活動をしている「果樹産地」として北限と私は認識しています。ですから増毛の桃は、産地として北限の桃であるはずですが、残念ながら「北限の桃」ではありません。
これまで何度も訴えていますが、しつこく申し上げます。「北限の桃」は、秋田県にあります。登録商標まで取っているようなので、「北限の桃」と簡単に使うことは出来ません。
北限でも無いのに「北限」を名乗る秋田県の産地。消費者を欺くようなネーミングは許されるべきではありません。』
なんとも解せない話ですねえ・・・。
そこで早速、その「北限の桃」を販売しているJAかづののホームページを見ました。
http://www.ja-kazuno.or.jp/shopping/momo.html
そこに書かれていた説明も転載してみますと、
『 ここ秋田県鹿角市は全国の桃産地では最も遅い9月中旬の市場出荷であることから「かづの北限の桃」と名付けられ、国立公園十和田・八幡平の大自然に囲まれた準高冷地で、じっくりと育ちました。』
『最も遅い出荷=北限』という定義のようですが、北限ってそういう意味の言葉でしたっけ?何らかの形で付加価値がつくようなネーミングをという気持ちはわかるのですが・・・。
そもそも『北限』という概念は、けっこう曖昧さを含みますよね。今は北限でも、技術革新により来年は北限じゃなくなるかもしれないし・・・。『最も遅い出荷=北限』というのは、日本語的にはどう考えても誤りとしか思えないし・・・。そう考えていくと、そもそも『北限』というのは商標として許される言葉なのかという疑問まで生じてしまいます。
『北限の桃』という商標を見た子どもは、国内で桃の北限の産地は秋田県だって思っちゃいますよね、きっと。そんな誤った知識を植え付けてしまうような名前がはたして適当なのかなあと、どうしても疑問に思っちゃいました。
さて肝心の増毛で作られた、『北限産地の桃』ですが、私が購入したものはとても小さな桃でした。普通にスーパーで見かけるものと比べると半分くらいでしょうか。
でも味は美味しかったですよ。正直、びっくりしました。
その地域でつくられる食べ物は、その地域の風土に合うものが作られるといいます。そういう意味でも、留萌で食べて一番美味しいのは増毛産の桃、ということが言えるのかもしれませんね。