セカンドビギナーのゆるラン日記

40代はそれなりに記録をめざし、ウルトラマラソンをめざし、走っていました。しかし還暦近くなると、体のあちこちが痛くなり無理が効きません。そこで走る目標を変えて、ゆるゆると走ることにしました。そんなゆるランの様子を書いていきます。   by Ogaman(おがまん)


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 目を凝らしてみると、駐車場を走ってくるオレンジの影が2つある。


 20th1966さんとペコさんだ。


 まさか・・・最後まで待っていてくれた?


 コース脇に来て応援してくれる2人。私は足を止め、それぞれ握手をしながらお礼を言う。


 気持ちの余裕がないために、すぐに走り出してしまった私。でも、考えてみればゴール閉鎖までまだまだ余裕があったのだから、もっとちゃんとお礼を言えばよかった。いや、どうせならムコTの3人で、一緒にゴールに向かえばよかったかもしれない。しかしこのときの私は、頭がまったく働いていなかった。


 諦めるわけにはいかない理由がいくつかあった。だからこそ、どうにかここまで来られた。そして今、本当に諦めなくて良かったと、心から思った。


 初対面ながら、私たちムコランナーの応援に早朝から駆け回ってくれたペコさん。13時間。私たち参加者と同じ時間を共有したのだ。ムコランナーも10時間台から私のようなギリギリランナーまでいた。その応援たるや、大変なことだったろう。神出鬼没に登場してくる彼女の姿は、私にとってはサロマに降臨した女神のようにさえ思えた。そんな女神に、待ちぼうけを食わさずにすんで、本当によかった。


 「おがま~ん、おそ~い、なにやってんの~!」


 感慨に浸っている私に、駐車場内の車から強烈な声が襲いかかる。声の主は見なくてもわかる。2年前のサロマの女神だ(爆)。


 前日、このメンバーならば1番危ないのは自分だと公言していた私だが、実際に私以外はすでに全員ゴールしているのだ。私がこのままゴールをすれば、チームナナイチは全員完走の快挙を成し遂げることになる。


ゴール目前
ゴール目前(Doさん提供)


 雨の中、私は帽子を脱いで、ウエストポーチに挟む。後ろからスパートしてくる人はいないことを確認し、そして前のランナーとの間隔を保ったままビクトリーロードを右に曲がる。


 雨が降っているというのに、両側には大勢の人が詰めている。気がはやって前のランナーに接近しすぎないよう、応援の人々に手を振りながら調整する。


 ゴールでは何かをアナウンスしているのだろうか。もう何もわからない。何も聞こえない。ただ私の目に写っているのは、昨年はくぐることができなかったゴールゲートだけだ。会場の音は何も耳に入らず、この瞬間、私の頭の中では、昨年聞いていたあのアナウンスが、高らかに響いていた。


「またひとり、最後まで諦めなかったランナーが、ゴールしようとしています」


 昨年の私にとっては屈辱の言葉。しかしそれが今年は、私に対する最大の賛辞として、私の中に響いている。このアナウンスを聞きながら、ビールとともに悔し涙を飲み込んでいたあの日。あの日から止まっていた時計が、ようやくいま動き出そうとしている。


 前のランナーがゴールする。いよいよ私の番だ。1歩ずつ、足を前に進める。今は、この瞬間だけは、サロマの主役は私だ。2年前のように両手をあげて雄叫びをあげる。そう決めていた私は、勢いよく両手を天に突きあげようとした。その瞬間、


 「痛いっ!」


 左肩が攣った(爆)。


 だからといって、ここでtake2というわけにもいかない。そのまま無理やり両手を突きあげて、「やったー!」と雄叫びをあげる。


ゴール
歓喜のゴール


 ゴールする瞬間、ちらりと見たゲートの時計は12時間51分台を示していた。意外だった。70kmを過ぎてからは、「キロ9分」を意識するだけで、まともな時間計算はできていない。90km関門で2年前は10分近い余裕があったのに、今年は5分しかなかった。だからずっと2年前よりも危ないと思って走っていたのに、2年前のタイムを上回っている。


 後日確認した正式タイムは、12時間51分43秒。2年前よりも2分53秒上回っている。


 ゴールした私は、まず完走メダルをかけてもらう。このたった1個のメダルをもらうために、自分のすべてを費やして走ってきた。それだけに、ずっしりと重みを感じるメダルだ。


今年のメダル
今年のメダル


 楽しかったというイメージだけが残った一昨年の初サロマ。そのイメージは大きな壁となって私の前に立ちはだかっていた。しかし今回、この苦しさの中で、どうにかゴールまでたどり着いた。苦しさと闘った今回の完走で、ようやく自分も本当のウルトラランナーになれたような気がする。


 参加賞タオルと食券を受け取って、ライバル・Beanさんのゴールを待つ。直前で抜いたのだから、すぐにゴールに来るはずだ。膝の調子は万全ではなかったろうに、でもきっちりと予定通りのペースを刻む、大人のレースをしていたようだ。


 無事にゴールしたBeanさんを迎えた後、私は腹ごしらえにいく。ゴールすると渡される食券。これは会場内の店で使用できる。しかし営業時間は18時まで。ゴール関門時間と同じなのである。そのため、ギリギリでゴールすると、すでに品切れというメニューも多い。


 それでも私が一目散に向かったホタテそばはあった。体は冷え切っており、胃腸の調子も弱っているだけに(ゴールしたとたん、寒さに気がついた)、暖かい麺類がほしかった。


 それから荷物を受け取りにいく。しかし一連の動きは、実にスローモーだ。正直なところ、本当は体を動かしたくはないのだけれど。ゴールしたら力つきても構わなかったはずなのに、やらねばならないことはまだまだ多い。


 荷物を受け取り、その場で着替えを開始する。そういえばこの会場、男子更衣室はないのだった。東京マラソンのヒートジャケットを持ってくれば良かったと思ったが、考えてみれば窮屈な格好で着替えようとすると、簡単に3~4カ所くらい攣ってしまったことだろう。


 けっしてゆっくり着替えているつもりでもないのだが、遅々として進まない。そんな私に、催促の電話やらメールやらが情け容赦なく入ってくる。


 どうにか着替えて、駐車場へ向かう。そこで13名全員完走という快挙を成し遂げたチームナナイチが勢揃いする。


全員完走
全員完走(Doさん提供)


 本当に完走できてよかった。もしも自分だけが完走できなかったら、こうして素直に笑っていることができただろうか?一昨年、そして今年と、チームナナイチは完走率100%を誇っている。こりゃ来年もNO.71さんには登場していただかないとならないね。


 私たちはさよならパーティには出席せずに、湧別に向かうことにする。2年前、満員のため入場させてもらえなかったことから、昨年からは別途打ち上げをしようということになっている。実際、その方がメリットも多い。


 2年前も、まるトラさん、R子さん、そして私の3名は、体の不調を訴えていた。だから結果的にはさよならパーティーに出席できなかったおかげで、早くホテルに戻り休むことができ、助かったのだ。そしてなにより、せっかく完走しても、ドライバーは乾杯を我慢しなければならない。そんなこともあって、昨年から私たちはさよならパーティーには出席しないという行程を組んでいる。


 今年も昨年同様に、チームからふるの皆さんと合同で打ち上げをさせてもらうことにしている。私たちはまず、スタート地点である湧別町に向かった。


 昨日もゴール地点に車を置いた後、下見がてらに走った道。今日、自分の足で走ってきたところを再び車で走ると、何ともいえない感慨がある。そして・・・ずいぶん長い距離を走ったものだと、改めて感心する。


 湧別では、これから自宅に戻るというヨーイチさんといづみさんとお別れする。しかし2人とは、また明日に札幌で行う打ち上げで再会する予定だ。残りの11名は3台の車に分乗してホテルに向かう。


 結局、二代目、R子さん、mamikさんはレースの疲れもあって打ち上げを断念し、残りの8人、そしてこの日同じホテルに泊っていたランバードさんが、チームからふる&チームアップルとの合同打ち上げに参加した。


 この場では、昨年の負け組3人男(N社長、yagiさん、Ogaman)も、2年分の怪気炎だったようだ。詳しく語るには記憶が残っていないのであしからず。


 翌日、カメKAYOさんの飛行機の時間の関係から、yagiさん、トン子さん、カメKAYOさん、mamikさんは早朝に帰る。


 残ったメンバーは、ホテルで朝食をとり、8時に出発する。マイクさんとDoさんは旭川空港でレンタカーを借りて今日は観光するとのこと。そこでまずは旭川空港に向かう。


 道中は、道の駅しらたきの入口のところで追い越しをかけてしまい寄れなくなったり(笑)、車中で話が盛り上がっていたのか、下りるべき愛別ICで下り損ねたり(笑)、休憩に寄った道の駅とうまで、同じように歩きがおぼつかない人と会って親近感を覚えたり(笑)、いろいろと楽しい道中だった。しかし1番面白かったのは、私の自宅に荷物を置きに寄ったら、家族は北見に行っていて、鍵を持たずに出ていた私は締め出しを食らってしまったことだろうか。実家に車を返しに行ったついでに私の家の鍵を借りて事なきを得たが、一時はどうなることかと思った。


 さて、ここからは私も二代目の車に同乗し、(自ら進んで)札幌まで拉致られる。そのまえに、せっかくの美瑛なので私のイチオシの美瑛選果のソフトクリームを皆さんにも食べてもらう。これ、R子さんとNO.71さんにも合格点をいただいたので、これからも自信を持って皆さんにお勧めするとしよう。


ソフトクリーム
美瑛選果のソフトクリーム(NO.71さん提供)


 ちょうど昼食時でもあり、「だいまる」にご案内する。実は美瑛では一昨年あたりから美瑛カレーうどんの売り出しを図っている。その中心となっているお店がここ。うどんは美瑛産の小麦(ブランド名は香麦)を使い、つけ麺タイプのカレーうどん。つけ合わせには、美瑛産の季節の野菜がつく。しかし私たちは、同じカレーうどんでもカツカレーうどんを頼む。やはり、ウルトラのあとは野菜よりも肉だよなぁ・・・。


カツカレーうどん
だいまるのカツカレーうどん


 これも皆さんの評判はなかなかいい。私も・・・実はこの店のカレーうどんは、地元だというのに初めて食べた(笑)。


 あとは、途中で休憩を挟みながら札幌へ向かう。さすがに昨日のレース疲れと満腹感のため、口数が少なくなる時間帯もあったが無事に札幌に到着し、かずきさんを自宅近くでおろしたあと、私はアスリートクラブでおろしてもらう。


 まずはアスリートクラブで皆さんにお礼。無理を言って修理、調整をしてもらい、どうにか完走メダルを手に入れることができた。一昨年、初めてのサロマに臨むにあたって、初めてこの店でシューズを買い、インソールを作った。それまで、Ogakunはここを利用していたのだけど、私のシューズは常にアウトレットだったから(笑)。


 だけどやはり、自分の限界に挑まなければならないレースに挑戦するには、私もアスリートクラブを頼ることにした。これが大正解だった。いつも痛い痛いと言っていた足が、とうとう100kmを走りきってしまう。そのためには、いったい何万回着地しているのだろう?この足を守ってくれたシューズ。このシューズとの、このインソールとの出会いがなければ、私のサロマ完走はありえなかった。そもそも、サイズの選び方自体、間違っていたのだから(笑)。


 さらに、私のシューズの減り方などの癖から、私の走り方を分析してもらう。そしてその癖を解消するためのポイントを教えてもらった。そうこうしているうちに、かずきさんもお礼を言いに現われた。


 やがて私とかずきさんは、打ち上げ会場に向かう。アスリートクラブに長居したため、開始予定時刻をすでに回っていたが、まださほど集まってはいなかった。


 やがてみんな集まってくる。参加を予定していながら、体調が回復せずに参加できなかった人がいたのは残念だったが、完走者、かつての完走者、そして来年の完走予定者が集まって、サロマ話が思いっきり盛り上がった。


宴
打ち上げ中(二代目提供)


 それにしても、今年は昨年とは正反対のレースだった。昨年は苦しさに負けて早々と諦めた。しかし今年は最後まで諦めなかった。


 粘りが身上と自己暗示をかけ続けてきたが、思っていた以上の粘りを発揮することができた。緑館を過ぎてからあれだけ苦しくて、70km手前ではランのラップも8分を超えてしまって、ところがそこからの30kmは、これ以上落とすわけにいかないというペースを守りきることができた。70kmからの10kmごとのラップは、1時間27分39秒、1時間27分06秒、そして1時間27分20秒と、見事にイーブンを保っている。この粘りは、来年からのサロマに向けて、大きな自信となる。


 サロマに関しては、私は完走以外の何ものも望まない。12時間59分59秒でもいい。とにかく、完走さえできればそれで十分だ。


 でも・・・・・・・・・。


 今回は48kmまでしかできなかったモブログ。これを最後まで続けられるようになりたい。chamaさんによると、30分はタイムロスをするという。ということは、12時間30分で走りきれる力が必要というわけだ。


 それともう一つ。これは1度だけでいい。1度だけでいいから、サロマのゴールテープを切ってみたい。どのくらいのタイムでゴールすればいいのだろう?やはり11時間台が必要なのだろうか。来年はどちらを狙っていこうか?


 サロマから美瑛を経由して札幌まで行って打ち上げをする。そして翌朝早い特急で札幌からまっすぐ出勤する。ちょっと体力的にも厳しいコースだが、これをやらなきゃ私のサロマは終わらない。仲間たちとの打ち上げをしなきゃ、私のサロマは終わらない。


 昨日100kmを走ったばかり。体はもう悲鳴を上げるくらい疲れ切っている。できることなら早く横になって、手足を思い切り伸ばしたいところ。それも正直な気持ち。


 だけど体はくたくたに疲れきっていても、心の興奮状態は簡単に収まりそうにない。価値観を共有している仲間たちと、とことんサロマについて語り明かしたい。今ならサロマのことだけで何日でも、何十日でも話ができそうだ。願わくば、この瞬間がいつまでも続いてほしい。それも偽らざる気持ちだった。


 しかし、やがて宴も時間となり、2年ぶりの歓喜の瞬間にも終わりがやってきた。


全行程終了
全行程終了(NO.71さん提供)


 大会前日の受付の時、ゴールの時に読み上げてもらうメッセージを書くことができる。毎回書いている私だが、関門制限時間ギリギリに大勢やってくるランナーのメッセージは読まれることはない。


 でもこのとき、私の頭の中には、私が書いたメッセージが響いていた。


Road to SAROMAN BLUE第2章、ただいま完結です!

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