さて、昨日は私のお恥ずかしい過去の事件について懺悔させていただきました。でも、この地点でS田さんとお会いしたことは、私にとって大変大きな刺激となりました。なにしろ、右も左もわからないときにたまたま手にしたランナーズ。そこで特集されていたサロマの記事。4人の中で最も印象に残っていたS田さんと、あのような形であれ親しくお付き合いさせていただくようになり、ついには初挑戦のサロマのコース上で出会う・・・。なんとも人生って、面白いものです。
さて、S田さんと出会った後も、私の苦闘は続いています。
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S田さんと会ったおかげで再びゴールへの強い思いがよみがえってきた私。薄らぐ意識で必死の計算を始めた。もうなりふりかまっていられない。1分前でも1秒前でもいいから関門を通過し、ゴールしなければならない。もはやキロ7分30秒が限界だが、必死で走っていた。
70km関門の通過タイムは8時間25分57秒。関門閉鎖19分03秒前だ。ここから80kmまでは75分でいかなければならない。
・・・うん?待てよ・・・。80kmの関門制限時間は10時間。70kmの通過タイムは8時間25分57秒。ということは・・・。
1時間34分もあるじゃないか!
80kmを過ぎると関門は緩くなり、10kmを1時間30分、すなわちキロ9分で走ればいいことになる。それだけに、80kmを越えれば・・・という思いが強かった。ところが今、すでに70km関門からキロ9分でOKのペースになっているのだ!急に視界が広がったように思えた。
今にして思えば、この計算をしたことが、この後の展開をますます苦しいものにしてしまったのかもしれない。あくまでもこの区間はキロ7分半で走り通すことを目標にしていた方が、終盤での関門との闘いが楽になったのかもしれない。しかし逆にこの計算をしたおかげでペースダウンができ、すでに限界に達していた足にトラブルが発生することを防げたのかもしれない。果たしてどちらがよかったのか、私にはいまだにわからない。
72km過ぎのバケツエイドで、両膝に冷たい水をかける。むろん、首筋にもたっぷりかけた。肌を露出している部分はかなり火照っている。しかし半袖Tシャツとロングタイツを身につけ、肌の露出が少ないため、助かっているように思える。これ、ランシャツにランパンだとしたら、全身が日に焼けて火照ってつらい状態になっていたのではないだろうか。顔だけでも(額のカマボコだけでも)結構火照っていたから・・・。
いくらかでもリフレッシュしておしるこを目指す。相変わらず膝は痛みが出ている。しかし幸いなことに、両方同時には痛みが出てこない。左が痛むと左をかばいながら走る。するとやがて左の痛みが薄れてくる。それと同時に今度は右が痛み出す。その繰り返しでここまできている。片方だけならどうにか走れる。このまま最後までもってほしい・・・。
果てしなく遠く見えていた鶴雅リゾートが、だんだん大きく見えてくる。おしるこもさることながら、またここで立ち止まれることが何よりも嬉しい。鶴雅リゾートの手前に見慣れた黄色のTシャツが見えた。おけいさんときよのりさんだった。朝からずっと応援してくれたおけいさんたち。最後までいられないと言ってたので、ここでお終いなのだろうか。朝から至るところで見かけた楽走幟は私を大いに勇気づけてくれた。私と同じく膝痛を抱えながら、今年の北海道マラソン挑戦を決意したおけいさん。サロマでの私の走りは、そんなおけいさんをも勇気づけることができるはず。おけいさんの応援に報いるためにも、私は絶対にゴールしなければならない。
鶴雅リゾートの敷地内に入り、エイドのテントを目指す。私は10mくらい手前から歩き始めていた。
エイドのテントの1番奥のところは、紙コップがたくさんならべられていたが、その前にはほとんど人がいなかった。おしるこかと思って覗き込むと、そうめんだった。この終盤にさしかかってのそうめんはありがたい。あっという間に2杯食べた。
おしるこはどこかと思って探すと、そうめんの手前の人だかりのところだった。待っている人々の後ろに並び、ようやく1杯のおしるこをもらう。
・・・小豆汁だった(笑)。聞くところでは、早い段階では白玉が入っていたようだ。しかし私が到達した時点では、白玉がもうなくなっていたようだ。でも、小豆の甘さが身体にしみわたり、全身がリフレッシュされたように感じる。私はおしるこをもう1杯もらい、飲んだ。
このおしるこにありつけた私は幸運だった。このときすでに、ほとんど最後のおしるこになっていたようで、私のやや後に到達したランナーの時にはすでになくなっていたとか。そうとは知らずに2杯も飲んでしまった私・・・。
しかしこのときはそうなることをまったく知らなかった私。再びそうめんの紙コップを手にしていた。エネルギー源となる甘いものもさることながら、終盤ではしょっぱいものがとても美味しく感じられる。あれよあれよと3杯のそうめんをたいらげ、合計5杯のそうめんをいただいた。
その後そうめんも、一時的に姿を消したらしい・・・。
しっかりと腹ごしらえをした私は、再び走り出した。しかし足は思うように前に出ない。もしや・・・食べすぎ?それは冗談としても、74kmも走ってきてこれだけ平気で食べれることに驚いた。これだけ食べられるなら大丈夫。最後までエネルギー切れの心配はなさそうだ。
おしるこエイドを後にするとすぐ、楽走412旭川
応援隊がいた。仲間に向かって手を振る私に、よっしぃさん
は、
「まだ余裕がありそうですね」
と声をかけてくれた。もう余裕はないんだけど(笑)。
でも余裕がありそうに見えるということは、本人が思っている以上に余裕があるのだろう。少なくとも限界にはまだ達していない証拠と言えるかもしれない。このあたりを通過するランナー、私よりもずっと苦しげに通過しているのかもしれない。そう思いながら通過した(あとでもらったこの写真を見ると、本当に余裕がありそうだ・・・)。
まもなく見えてきた74km地点。ここで私の頭の中にとんでもない考えがひらめいた。いずれワッカに入ったら平地でも歩きを交えることになるだろう。キロ何分で歩けるのだろう?時間的余裕があるうちに試しておいたほうがいいのかもしれない。74km地点を通過するとき、ついに歩き始めた。もしかすると私は、ただ歩く理由を探していただけなのかもしれない。
74km地点通過タイム9時間01分05秒。80km関門まで、58分55秒。(つづく)
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今日の練習内容
今日はHOSSYも走るとは言わなかった。ということで、ランオフ。