小倉商会 その6 chiangmai | Og

小倉商会 その6 chiangmai

タイ北部のchiangmaiには前職出張時から何度か訪れていて、もともと知り合いも何人かいた。観光スポットとして有名だったナイトバザール(今はほぼシャッター街とかしてる)にお店を持っていたアカ族のご夫婦も知り合いだった。旦那が喘息気味で、空気のいい故郷のchiangraiの村へ戻ったのが自分が退職する少し前。小倉商会を立ち上げてからchiangraiに立ち寄ることがあり、時間も遅かったので一泊することにした。さて、宿をどうするか?chiangraiの市場あたりをぶらついてたら、その奥さんにばったり出くわした。市場に出店をしていたのだが、一人で来ていて旦那は家にいるという。お店はあと少しで終わるからそれからうちに来い、という話になり、ピックアップの荷台に乗せてもらい家まで連れて行ってもらった。そこの村からお店を出しているアカ族が何人かいて、ピックアップに相乗させてもらったのだ。家に着くと、久しぶりに会う旦那が前と変わらずニコニコしていた。しばらく話をしていたが、夜も遅くなっていたので寝かせてもらうことにした。部屋の準備をするからちょっと待てと言われたが、何だか様子がおかしい。しばらくして、泊めてもらう部屋の中に吊ってある蚊帳にすぐに入れ、と強く言われた。一般的にタイの田舎の家では蚊帳をつるしてあってその中で寝る。木造の家に虫が入って来れる隙間があるからだ。ただそれにしても、それをそこまで念押すか?といぶかしがってると、実はこの部屋の中でミツバチを飼ってる、だから刺されないように気を付けてくれ、とのこと。ホントかよ!と思ったけど仕方がない。走るように部屋に駆け込んで、蚊帳の中に入るとミツバチの羽音がしばらくしていた。でも蚊帳の外。無事に潜り込めたのだ。そのうち静かになったのか気にならなくなったのか、案外ぐっすり寝てしまった。

ミツバチと同じ部屋で寝たのはその時だけだけど、そういうちょっとしたハプニングは時々起こるもので、仕事上の出張とは言え、そんな予測不能なことがおこるのが面白い。それが無かったら、物足りなくなってしまうかも。

 

もちろん仕事で成果が出なければ話にならないわけで、今でも毎回その過程の精度をどうしたらあげられるのか?は苦心している。具体的にこれが欲しいという現物を用意したり、パターンを用意したり、日本でできる準備はなるべくするようにしている。ただそれにしてもお願いしてる織りや色味、衣の仕上がりぐあいがイメージ通りになるかは博打のようなもので、出来上がりを見るときには毎回本当にドキドキする。これは足蹴く通ったからといって、予想通りに出来上がることは難しい。当たり前だけどイメージの共有ができても、手仕事の精度や再現性を、離れたところで制作をしている人に過度に求めるのは無理がある。色に関して言えば天然染料は季節によって同じような色を出すのにも違う植物を使ったりするので、違うタイミングであれば同じ色を出してもらうのには無理がある。そんな当たり前のことも、教えてもらいながら理解できるようになってきた15年。まだまだわからない事も多いけれど、最近は少しずつイメージと出来上がりのギャップの差が小さくなってきているような気がしている。

村によってできること、得意なことには違いがあったりするので、もうちょっとこう出来たら..........なんて思っていた時の新しい良い出会いがあるのは、今でも本当にうれしい。

初めのころはどういう形で仕事を作っていくか、まずはthai国内ではどこに行けば何ができるか?を探すところから始めなければならかなった。それにいい関係が結べそうなところとは、長くお付き合いをしたい。そこで以前から知っていたpakeryawというお店の女性主人のpirinさんに相談してみた。彼女はもともと村の自立支援をしているNGOで働いていたが、そこから生まれてくる産品を販売するお店をchiangmai市内でずいぶん前から営んでいた。その経緯があるので顔も広い。できれば糸紡ぎや織を教えてもらえて、注文もでき、尚且つ泊まらせてもらえるという図々しいリクエストをした結果「その4」で書いたkaren族の村を紹介してもらった。本当にありがたいと思っている。

小倉商会を始めて15年通い続けたchiangmai。今は海外へ行くのが難しい状況だけど、早く、今まで通りみんなに会いに行きたい。