小倉商会 その4 スタート | Og

小倉商会 その4 スタート

とにかく思い込みで方向性を決めた小倉商会。自分自身で仕事をするにあたり、個人のフットワークの軽さがあればこそできる事を考えたいと思っていた。言い方を変えれば会社組織ではめんどくさくてやりたがらない方法である。織の現場である田舎へ行き、草木染とかもお願いして、商品開発をしたり出来たらいい。ラインナップの方向性はまだぼんやりしてるけれど、とにかく素材である。生産現場で棉の栽培や手紡ぎ手織、草木染等の現場を見たい、確認したい、そしてよければそこで染織をお願いしたい。そのための出張を組まなくては。タイのお世話になってる方に自分のやりたいことを話してあったので、その現場に見合う村を紹介してもらった。タイ北部にあるカレン族の村である。

その前に日本で織のことを少しだけでも知っていきたいと思った。恥ずかしながら今まで手織のことについて、勉強してこなかった。なのに自分で手織の布を紹介する仕事を始めようなんて無謀すぎる。千葉県内で棉の栽培や糸紡ぎをしている方のところを訪ねたり、手織の教室へ通った。ざっと見て経験しただけなので十分というには程遠かったけど、あとはスタートしながら見ていこう。

 

それからタイ、チェンマイへ。見慣れたチェンマイの町なのに、ちょっと緊張した。お世話になってる知人にあって、カレン族の村の情報を聞く。チェンマイから車で3時間ぐらい。郊外へ出ると、緑が多くなり、いつの間にか山の中へ。

初めてカレン族の村へ行った時のことは、ホームページのabout usに書いてるので、その抜粋。

 

「織をお願いしているカレン族の村へ初めて行ったとき、棉の収穫から布が出来上がるまでを教えてもらおうと、気持ちが昂っていた。到着後、すぐ畑に連れて行ってもらった.

 

畝があって整然としている畑を想像していたら、一見普通の野原だった。

だがよく見ると棉がなっていたり、陸稲の刈り取った後があったり、バナナがあったり。収穫期の最後だったので、ちらほらと残る棉を摘んで、それと一緒にバナナをもいで、何かよくわからない葉っぱもとって、それはその夜の夕食にならんだ。

 

自分がお世話になっていた家には、いろんな人が来て、よく井戸端会議をしていた。誰かが来ると糸紡ぎや機織りをしていた手を止め、話が終わるとまた手を動かす。

すごいことを教わるつもりでいたら、村ではそれが日常の風景、

当たり前の毎日。

そのギャップが、その時の自分には大きな出来事だった。」

 

これは到着した時の印象。ギャップを感じたのと同時に、肩の力が抜けた。ここでの経験が小倉商会のスタートなのだ、みたいな意気込む気持ちがあったのかも。

それから何日間かここで寝泊まりしながら糸紡ぎや腰機での織を経験させてもらった。今でもこの村ではいろいろと織ってもらったり、染めてもらったり。それが終わればご飯とお酒を頂いてまったりして。自分にとっては妙にくつろぐことのできる場所なのだ。

 

火鉢の前でぬくぬくする子猫。朝はちょっと冷える。

 

腰機