お麩の話、あれこれ(47):                   綾野剛さん、「お麩のような」芝居

 

 

先週も短歌「お麩になりたい」について書きましたが、以前のブログで俳優のファーストサマーウイカさんが「お麩になりたい」とおっしゃっていたことを書きました。(参照:「お麩の話、あれこれ(7):ファーストサマーウイカさん、「お麩になりたい」?」)

 

その続編という訳でもないのですが、俳優・綾野剛さんが「お麩のような」芝居という表現を使っておられるのを見つけました。

綾野さんといえば、存在感ある中堅の俳優さんで、お麩じぃもNHKの朝ドラ『カーネーション』や大河ドラマ『八重の桜』での演技(やや古くてすみません)は今でも記憶に残っています。

 

今年公開された映画『カラオケ行こ!』で、綾野さんがヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)役を、中学校の合唱部部長の岡聡実(おかさとみ)役を俳優・齋藤潤さんが演じておられます。

ストーリーは、「合唱部部長の岡はヤクザの成田に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる」「組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならない」「狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」」「岡は、成田に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が・・・」「岡の運命や如何に?そして成田は最下位を免れることができるのか?」という流れです。

 

その取材記事「『カラオケ行こ!』綾野剛&齋藤潤が明かす、2人の“エモい”関係!「会うたびハグをしていました」」(『MOVIE WALKER PRESS』 2024.1.10)によると、綾野さんはこの映画での芝居について、

「原作の“実写化”ではなく、“映画”にすることを目指したのです。いかに完成させることなく芝居を成立させられるか。例えるならお麩のようとでも言いますか」「台本のように最初は揺らぎなく固く安定し、現場に入るとお湯に入れたように柔らかく広がり原型を留めておりません」「一言で言えば"変体"なのですが、実際掴めていたものが掴めなくなる繊細な関係性を、この映画の中の狂児と聡実は、維持し続けなくてはならないんです」
「お麩の水分を吸い切った先にあるその形は、間違いなく水分を含む前よりも大きく、柔らかくなっている。それこそが、この作品のたおやかさに繋がっています」と語っていました。

 

なんか嬉しくなるお言葉ですね。お麩じぃもこの映画、観てみたくなりました。

綾野さんといえば、例の”暴露系”ユーチューバーの被害者だったことを報道で知りました。さぞ苦しまれたことでしょうが、今後一層のご活躍を期待したいと思います。