どれほどの距離か絵に描いたような話だが、実際によく経験する光景だ。登山の経験の深い方なら分かるだろうが、富士登山の場合、ふたつの特徴がある。ひとつは、行程が長いということ。もうひとつは行程の標高が異常に高いということだ。穂高岳でも北岳でもよいのだが、3000メートル峰に登ったことのある人なら、山頂付近では、体が重くなり、息が切れ、歩みが遅くなるのがわかるだろう。富士山はその3000メートルからさらに700メートル以上も急坂を登らなければならないのだ。後半こそ勝負どころになる。