今、社員と一緒に渡辺先生著「修身のすすめ」を読んでいます。「~すすめ」というのはどこかで聞いたような言葉ですね。そうです、渡辺先生は福沢諭吉の有名な「学問のすすめ」というタイトルが好きでこれを拝借したものと私は想像します。
また、30年以上前になると思いますが渡辺先生は「知的生活のすすめ」という本を出版されています。私が若い頃にベストセラーになったと記憶しております。この本のタイトル作りも上手いと感心します。つまり一般人がこの本を読むとだれもが知的な生活ができる?と錯覚を起こさせるような甘い幻想を抱かさせるからです。私もその幻想にとりつかれた何も知らない田舎出の青年でした。志を求めてゆくためには読書が必要だ、そのために読書する環境を工夫して整えよ・・・といった内容だったように思います。当時の私は読書の必要性を感じていませんでした(情けない!)ので内容を心から理解するに至らずただ本棚に飾っていたというのが正直なところです。
サンケイ新聞社主催で大阪の中ノ島で先生の講演があるというので聴きに行ったことがあります。ちょうど小泉政権が始まり最初にアメリカのブッシュ大統領を表敬訪問することが世間の話題でした。アメリカがイラク戦争を起こしていてそれに加担する姿勢を見せる小泉首相が国内では非難の的でした。それに対する渡辺先生の意見が明確でした。つまり日本史やローマ帝国など世界史を少し解説され、時代の強国に寄り添う姿勢を取ることは全く当たり前でしかもすばやく行動を取るべきだとの意見でした。良かったのか否かの評価はもう少し時間が必要かもしれませんが、その後は確かに小泉・ブッシュの蜜月が暫く続いて日米関係は良好だったように思います。
大学教授という先入観を取り外すと、容姿やボクトツした話しぶりから田舎の頑固親父というのがピッタリだと思います。山形県の庄内地方出身と知り、私も偶然16~19才まですごしたことのある地方なのでした。あのような地方出身の方がどのようにして勉強されたのか英文学を学んでそれを職業にまでされた経緯と動機は何だったのかなど興味の対象となっていました。この本は少しだけ私の興味と疑問に答えてくれる内容です。先生がやってこられた事はもっと広がりがあると想像するのではありますが、広がりはさておき最も重要と思える内容がこの本に披露されているように思えてなりません。渡辺先生が若い頃から80歳を超えようとする今でも心の支えとして読み返しているであろう本を取上げてご自分の影響を受けた文章を解説しています。
次の4人について取上げておられます。
・新渡戸稲造
・スマイルズ
・カレル
・野間清治
- 新渡戸稲造 -
5千円札に肖像画が載っているだけあって素晴らしい偉人です。ここで思うことは私達がお札に載っている有名な人物の生い立ちや成し得た偉業をどのくらい詳しく知っているのかということです。恥ずかしながら私も新渡戸稲造についてこの本を読むまで知りませんでした。勝手な想像ですが、私が知らないということは、今の若い方はきっともっと知らないと思われます。こんないい話しをなぜもっと小学校などで教えてくれなかったのか不思議でならなくなってきました。
南部藩(岩手県)の武士の流れをくむ家柄に生まれ育った明治人です。渡辺先生によれば江戸末期は世界でも最高峰といわれるくらいに日本の教育程度が高かった時代といわれています。地方分権化していたいわゆる田舎であっても殿様を中心に行政に携わる武士が何人もいてその子息は将来を担う幹部候補生として四書五経を学んでいたとされています。また日本地図を作った伊能忠敬や日本のダビンチといわれた平賀源内など代表的な学者は当時の西欧文明と互角であったことを証明してくれます。
そんな時代の流れを背景に育った新渡戸稲造は明治という転換期に最初は農学博士になり、それに飽き足らず東大に再入学して法学博士になり農政や植民地政策のたずさわります。さらにアメリカおよびドイツに留学し哲学博士になります。「日本の土地制度論」を著し、さらに当時発足したばかりの国際連盟の事務次長を務めます。若い頃に日本の田舎で培った修養と学問は世界に通用する人格者になって貢献しているのです。
渡辺先生はご自分が英語を生業としようと決意された若い頃にきっと新渡戸稲造の「修養」を読んだのでしょう。つまり同じように新渡戸稲造が英語をツールにして世界で活躍した姿に自分を重ね合わせ、りっぱな先人を手本に生きていこうとしたに違いありません。渡辺先生が戦後の貧困の時代を乗り切ってこられたのも「辞書も手に入るし、私は新渡戸稲造よりましな時代にいる・・・」とか何とか自分に言い聞かせてきたと思われます。
新渡戸稲造が「続けること」の重要さを指摘しているといっています。勉強するために体が丈夫でないといけないと20年間冷水を毎朝かぶったとのことです。渡辺先生も1年間同じ冷水浴びをしたとのエピソードがありますが、そんな自虐的なことよりもドイツやイギリスで学校で図書館で修行僧のように勉強された渡辺先生のことを思うと、やはり心の中で新渡戸稲造の言葉「続けること」を思い浮かべては真剣に実践されたのだと思われます。
弊社は輸入業者でもありますので一部の社員と毎朝英語の勉強を続けております。ただ15分間順番に声に出して読み続ける勉強です。一番長く付き合ってくれている碓井さんとは3年以上続いておりますので相当な回数朗読しています。4年やったら1000回繰り返したと思っています。おそらく今年が4年目ですので何かいいことが起こるのではないかと期待しております。というのも渡辺先生はこの章で「斉藤一人の絶対成功する1000回の法則」というのを取上げられているからです。
渡辺先生は英文学者ですので賢い人だと思われます。しかし「理論的に考えなければなりません。」とかいう学者タイプでではなく、「続けること」の重要さを強調されるのでわかりやすく、また真理もそこにあるのではと思うわけです。
次回はこの本で取上げられている「スマイルズ」についての感想を書くつもりです。


