あまちゃん...じゃ...ないっ!!! 4 | ゴモラでございます

ゴモラでございます

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※このブログには、一部不適切な表現等が記載されています。
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5月3日(金)01:20 群馬県美滝原市 美滝原中学 地下室内プール

ゴモラ「脱いでみろ」
僕は、冷ややかな声を彼女に浴びせる。

鯰チャン「え...」
鯰チャンは、びっくりしたように僕を見つめる。

ゴモラ「脱げ!」
僕の意を介しなかった鯰チャンへの純粋な”怒り”を
僕は禁じ得なかった。
抑えきれないその怒りの「衝動」に駆られて僕は大声をあげ、
その声は、狭い地下室内プールに大きく木霊(こだま)する。

鯰ちゃんは、意を決して観念したかのように海女装束を脱ぎ出す。

$ゴモラでございます
※イメージです(まど☆マギの「ほむら」ちゃんではありません)

僕は、ハッとした。

ゴモラ「こ...これは...」

鯰チャン「うん...ゴモくんからもらった私の大切な”宝物”だよ。」
ニッコリと微笑む彼女...

そう、これは、僕が彼女と付き合い初めて初めて贈った”プレゼント”
だった...



渋谷の専門店”ブルセラだっちゃ☆彡”



ブルセラ物は、「秋葉原」とも思われがちであるが、
真の「ブルセラ愛好家」は、「渋谷の信頼のおける
老舗」でしか購入しない。
また、ネット上においては、「まがい物」が
出回っているために、己の審美眼を持って
探索して”獲物”を手に入れるのだ。

断っておくが、これは、あくまでも
「合法的行為」であることはいうまでもない。
「下着泥棒」など風上におけないただの「犯罪者」
だ。
ブルセラ物は、風俗営業法に基づく「故買商」における
純然たる商行為であることを付け加えておく。

店内は、外人客でごった返していた。
日本各地からも名のある”変態紳士”達が押し寄せているようだ。
店頭のテーブルには、海外のバイヤーたちが談笑しているのが見える。
”日本のブルセラ”は、世界的にも”品質重視”
かなりの”高価格”で取引されているとのことである。
店頭に置いてある”店長のオススメ”のコギャル系などに目をくれずに
店の奥へと足を進める。
僕が求めているのは、60年代後期のヴィンテージものだ。
ショールームには、綺麗な飾り付けをされた”ご自慢の逸品”が
並べてある。
その中で一際(ひときわ)異彩を放つ一品に目を奪われる。
説明タグには、「地方の女子高生が三年間着用」とのみ書かれている。
記事は、ポリエステルではなく、「純毛」である。
撥水性は、経年劣化のために失われているだろうと思われる
紺色からやや白みかかった「独特の落ち」をもっている。

僕は、ショーウィンドウに佇んでいると、
初老の店長らしき人物が来てニコニコと笑いながら

「ほう、それに目を付けられるとは...お若いのに
随分と「良い目」をしていらっしゃる」

ゴモラ「いぇ、あの....すいません...”コレ”
触ってもいいですか?」

店主「ああ、いいとも」

店主は、鍵でショーウインドウを開けて、
我が子のような愛おしさで僕に渡した。

指でなぞれば、その心地よい「ザラザラ感」を十分に
堪能することができる。
また、撥水性が損なわれているために、水に浸かった
部分と乾いた部分の「鮮やかなコントラスト」を
演出することができる。
着てもよし、「姉からのお下がりをしかたなく
着用しているやるせなさ」をも堪能できる
マニア垂涎の”業物(わざもの)だ!
しかし、値札には、「時価」との表示が...

ゴモラ「お幾らになりますか...」

店長「これは、君の元に売られていく”運命”だった
ようだね、いいよ、君の熱意に免じてお安くしとくよ」

ゴモラ「あ...ありがとうございます」
僕は活きよいよく頭を下げる。

バイトの半年分を費やして僕はそれを手に入れて
丁寧にラッピングして彼女に渡した。


今、彼女は、それを着て恥ずかしそうに僕の前に立っている...
まさしく、彼女のためにオーダメイドされたような
柔肌に食いつくようなフィット感と50年代特有の独特な
クラシカルデザイン、及び「姉からのお下がりを仕方なく
着てやっているという投げやり感」...素晴らしい...

僕は、ハッと気がついた。
その、スクール水着には、白地の名前ふだが縫い込まれて
いる...

「3-2 なまず」
幼くも拙い筆跡を「完全再現」するとは....

僕は、驚きのあまり、立ちすくんでいると
鯰ちゃんは、嬉しそうにこういった。

鯰チャン「ゴモくんの大事な物だってコト、鯰
知ってたんだよ。それを贈ってくれたんだよね。
私、いつもこれを着て学校にきてるんだよ」

僕は、本当に”幸せ”ものだ。
スクール水着は、所詮”もの”だ。
スクール水着は、「愛する女性」が着てこそ
「価値がある」...

僕は、耐え切れずに自然に流れ出す涙を拭こうともせず、
鯰チャンが脱いだ海女装束を「僕の手」で付け始めた。
上着を着せてやり、真紅の帯に気合を込めて
締め付ける。

「大丈夫か?」

「うん、頑張るね」

彼女は、眩しい微笑みを僕に向けた。

僕は、大声で号令をかける。
プールに一歩前へ! 「着水」!!!