相場英雄さんの原作小説をドラマ化。

 

身元不明のままとなっている死亡者のリストから発見した派遣労働者の死の真相究明に挑む刑事の姿を通し、非正規雇用問題、世界標準から孤立化(ガラパゴス化)する日本産業を描いた社会派サスペンス。

 

主演は織田裕二さん。相棒役に桜庭ななみさん。

 

脚本は「スペシャリスト」「相棒」「科捜研の女」シリーズなどで知られる戸田山雅司さん。

 

音楽は「アンフェア」シリーズの住友紀人さん。

 

監督は「振り返れば奴がいる」「お金がない!」などで織田裕二さんとタッグを組み、映画「Fukushima 50」で日本アカデミー賞 最優秀監督賞 を受賞された若松節朗さんです。

 

2023年の4月にBSで放送されていた特集ドラマ、私は当時見ていなかったのですが、同年11月に地上波で再放送されたタイミングで視聴しました。

 

内容をザックリと書くと、

 

織田裕二さん演じる主人公の田川は優秀な刑事なのですが、仕事に身を捧げるあまり体を壊してしまい、継続捜査班に移動となってしまいます。

 

そんな田川に、鑑識課身元不明相談室の木幡(桜庭ななみさん)が身元不明の死亡者リストの調査を依頼するところから話が始まり、粘り強い捜査で真相にたどり着く話です。

 

捜査を続けるなかで、身元不明の死亡者は沖縄県出身の派遣労働者・仲野定文(満島真之介さん)であることが分かるのですが、

 

その死因に疑問を持った田川が捜査をするなかで、

派遣労働者の厳しい環境を、仲野のかつての同僚・脇田(篠原ゆき子さん)や宮崎(野間口徹さん)、経済アナリストの小島(矢島健一さん)から聞かされます。

 

私は理系大学生だったので、就活はじめたての右も左も分からない頃は技術系アウトソーシングの企業の説明会などにも参加していただけに(その後大学から、技術派遣、アウトソーシングには就職してはいけないとお達しがあり、選考には参加しませんでした)

 

背筋が凍る内容でしたね。

 

特に仲野が書いた「ガラパゴスの最前線」の内容は、世界標準から孤立化した日本の産業の実態を生々しく語るもので、満島真之介さんのまっすぐな演技も相まって、見ていて辛かったです。

 

最終話ラストシーンの田川の怒りに震える目が印象的でした。

 

最近では個人的に「初恋の悪魔」での怪演が記憶に新しい伊藤英明さんや、髙嶋政宏さん、泉里香さんら、盤石のキャスト・スタッフで、とても硬派な社会派ミステリードラマになっていたと思います。話数が少なくて後半駆け足になってしまったのは勿体なかったですが・・・。

 

田川と木幡のやり取りも好きだったので、是非シリーズ化してほしいところですね。

特に田川を演じた織田裕二さんは、「シッコウ」と同様の渋さや熱さを残しつつ落ち着いた冷静さもあるキャラクターを巧みに演じられていて、身近にもこういう人がいるなと思いながら見ていました。

 

現在就職活動をされている方々にも見てほしいです。(もちろんコレが全てではないと思うけど)

 

「ガラパゴス」

主演:織田裕二

原作:「ガラパゴス」相場英雄

脚本:戸田山雅司

演出:若松節朗