地球への帰還を無事果たした。
安堵に包まれた。
私はいつの間にか眠り、朝を迎えていた。
仲間との約束、映画だ。
趣味の話のできる仲間。
車の話、映画の話。
1時からか、、、。
仲間との再開のために久々に自転車を動かした。
前輪に空気が宿っていなかった。
夏の暑いコンクリートにダラリとへばりついた前輪はグニグニに叫んだ。
空気を送り続けた。あのポンプで心肺蘇生のように。
息を吹きかえしたように元気になった自転車は、力の有り余っていたエンジンには不十分だ。
ペダルはギヤを介しチェーンを回した。
4ヵ月ぶりに回ったチェーンは静かに駆動を大地に伝えた。
スリックタイヤのようにツルツルになったタイヤは必死に大地を掴んだ。
運航中の事故で歪んだホイールはブレーキパッドと擦れあい、
私に何かを告げたいようにも思えた。
私を目的地に運んだ彼は勇ましい。
私は遅刻した。仲間との約束に。
仲間は待っていた。
握手を交わした。固く。熱く。
惑星で選んだお土産をプレゼンツし、映画館へ足を進める。
人がやたら多い。
どうやらお盆呼ばれる期間真っ只中に来てしまったようだ。
「NIHON」の人々は文句一つ言わず
ロープで区切られた列に並んだ。
我々も並んだ。
我々の番が来た。
空いているレジの店員と目が合ってしまい
アイコンタクトを成功したと勘違いした店員は数秒間我々を呼ばなかった。
なぜだ、、、。
観たい映画を告げると店員は作られた笑顔で
「4時からです。」と。
驚かされた、あの笑顔から出てきた武器。
店員は武器の照準を我々に合わせ、引き金に指を掛けようとしていた、、、。
私は直ぐ様もう一つの案を出した。
笑顔を崩さず時刻を読み上げた。
それだ!
仲間は感情を読み取ったかのように、
一言告げた。
店員は座席を選ばせカタカタと機械を打ちだした。
紙切れが金と引き換えに出てくる。
我々わそれを受け取り、館内を歩いた。
映像が流れる部屋に着いた。
部屋は徐々に暗くなり、人々は口を閉じ映像を一心不乱に見つめる。
食べ物に手を伸ばす余裕を与えない映像だった。
そのスゴさは是非体感して頂きたい。
映像は我々の心を踊らせた。
映像はすばらしかった。
希望を与えた。
次の場所へペダルを回した。
太陽は18時でも叫びつづけていた。
仲間と趣味の話をしながら漕ぐペダルは懐かしかった。
あの共に学んだ3年間は忘れてはならない3年間。
地球ですごした18年間。
忘れてはならない。
予告
暑さには人を変える能力があるのか。無いのか。
彼は再びべダルを踏みアクセル開度を上げるのか。上げないのか。
排水溝にクーラーからの水滴がぽつぽつと落ちる中。
夏の夜風もいいものだと眠りにつくのだろう。
次回 「未知」
明後日 そんな先のことなんかわからない。
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