本日は、会員の皆様、そしてこれまで小消協をご支援いただいた皆様、全国の消防職員協議会の皆様にご報告があります。
以前より、小消協で勤務の在り方を研究し、問題ありとして訴え続け、措置要求の勧告を勝ち取りつつも、具体的な展望が見えなかった指定勤務の廃止について大きな前進がありました。

これまでの経緯は1年前の小消協ブログをお読みください。
措置要求勧告成る!~その1~ 小消協ブログ
措置要求勧告成る!~その2~ 小消協ブログ
さて、「宿願」と題名に書きましたが、我々がなぜそこまで指定勤務の廃止に力を注いだか、そこに至るまでには様々な事がありました。
現在、高齢化する社会に伴い全国的に救急件数は増加の一向です。2017年中の救急自動車による救急出動件数は634万2096件で、前年に比べて2.1%・13万2132件の増加となりました。搬送された人員は573万5915人で、同じく2.0%・11万4697人の増加となり救急出動件数、搬送人員数ともに過去最多となりました。

小田原市消防でもそれは同様で、救急業務の質の向上に加えて、近年急増する救急需要への適切な対処が不可欠となります。
全国の各自治体では、救急車の適正利用を呼びかけ、様々な工夫や、食事が摂れない救急隊が、コンビニやサービスエリアに立ち寄り、食事が摂れるようにするなどの工夫を行っていますが、実質、目に見えた効果は少なく、救急件数は増加の一方です。
度重なる出場、食事も摂れず、慢性的な不眠が続き、救命という住民の一生がかかっている現場で極度の緊張を抱え、本来、人の命を救うべき消防職員にそのシワ寄せがきてしまい、健康被害が発生してしまいます。
24時間という特殊な勤務から、職員に対して強いストレスや疲労の要因となっている可能性も考えられます。
これまで、海外では消防職員の健康問題として心疾患、呼吸器疾患、精神疾患、腰痛の罹患が他の職業に比べて多く、とりわけ心疾患については職務上のストレスが関連しているとの報告があります。
しかしながら、日本ではこういう研究はあまりされません。
過去にも小田原市消防では職員が定年退職を迎える前に亡くなってしまうことがありました。
救急隊を含め、職員が疲弊している状況は目に見えていました。

そこで私たちは、協議会を発足させたことで生まれた全国の消防の様々なネットワークを利用し、多くの消防署で実践されて大きな効果を出している、指定勤務の廃止について研究を行いました。

様々な消防職員と交流し、ヒアリングし、そして小田原市消防でも消防職員委員会制度を利用し声をあげ続けてきました。
しかしながら、全国的にも疑問視されている形骸化した消防職員委員会では解決に至らず、前任の消防長に話を聞いてほしいと訴えましたが、話し合いの場すら拒否されてしまい、現状の課題を抽出することも出来ませんでした。
内部での自浄努力が出来ないと判断し、公務員に認められた第三者機関による公平委員会制度を活用したのです。
過去にも、この公平委員会制度は、小田原市消防と旧足柄消防組合が合併した時に発生した、消防職員の人員不足問題で、通常の週休が取得できなくなったことから、利用し、小田原市で初めて勧告を勝ち取った経緯があります。
消防長に小田原市公平委が改善を勧告 職場環境悪化の措置要求受け カナロコ
本来であれば、しっかりと内部で話し合い、職員が全員で問題点を改善していくような風通しの良い職場が理想ですが、それが叶わず、最後の望みとして公平員会制度を活用したのです。
そして、弁護士などで構成される第三者機関が、小消協に理があるとして、指定勤務の廃止について消防本部に勧告という答えを出したのです。
そして一年以上の月日が流れて、「夜間指定勤務の原則廃止」を消防本部が通知として先日発表しました。
現場目線、住民目線で今回の通知をだして頂いた消防本部に大きな感謝をするとともに、現場職員と歩み寄り、これからもしっかりと話し合うこと、意見交換ができる風通しの良い職場環境を構築し、まだまだ課題のある指定勤務について壁を壊していく必要はあると思います。
全国の消防本部でも、まだまだ疲弊し、命をすり減らせ、勤務が明けた後に、家族サービスもままならず、自身の健康に悩む職員はまだまだ多くいます。
命を助けるものが、健康被害を受け、そして不眠不休の不完全な状態で、住民の命を紡ぐようなことがあっては決してなりません。
救助者が疲弊してしまえば、不利益が出てしまうのは、私たちの手の先にある住民の命なのです。
そういう意味では、今回の小田原市消防の第一歩、小消協で声をあげ続けてきたことは、全国の闘う消防職員に一筋の光を照らしたのではないでしょうか?

沈黙は何も変えません。
声をあげ続ける事、1人の声では小さいですが、しっかりと物事を理解し、判断し、声をあげ続けることで世界は変わります。
そして、良い社会を構築していきます。
誰かに乗っかっても駄目です。
自らの声を、メッセージを発信していかなければ、周囲だけではなく、自分自身が変わりません。
間もなく新年度が始まります。リーダーになる職員、目指す職員は、誰かの声ではなく、自分の声を届けましょう。
