Q.わたしは企業経営者です。長年ハケンを活用してやってきましたが、このたび社員を採用しました。ところが最低賃金が60円も上昇してしまったため給与が支払えなくなってしまいました。恥ずかしながらこの上昇分を支払う余力が当社にはありません。かといって社員採用してしまったので解雇もできないと労働局から言われてしまいました。高額な社会保険料や労災保険料、更には賞与・退職金・有給休暇など全て比例して上昇するためこの相当分が捻出できません。ハケンから社員採用に経営方針を切り替えた当社の見誤りが原因だと反省していますが、このような場合はどうしたらよいでしょうか。なお、この社員を解雇できればなんとか会社はギリギリ運営できるという状況です。
A.経営的な観点については、知識がありませんのでお答えできませんが、会社を経営する以上コンプライアンスは守らなければなりません。最低賃金が上がったため給料が払えないということは許されません。最低賃金法第4条、第40条により50万円以下の罰金、労働基準法第24条、第120条第1号により刑事罰が課されます。従って会社としては、雇用してしまった以上は労働者に賃金を払わなければならないのです。
労働者に賃金を払うことによって会社が経営の危機に陥るようであれば、会社は労働者を解雇するしかないと考えます。解雇は簡単には認められません(労働契約法第16条)が、会社が経営の危機に陥るよう場合には、整理解雇が認められております。整理解雇には4つの要件があり、(1)解雇しなければ会社が倒産する、(2)銀行から融資が受けられない、(3)組合活動が理由ではない、(4)被解雇者に解雇しなければ会社がつぶれることを説明した、を満たせば認められます。
それにしても、派遣から正社員に切り替えて賃金が払えないとは、経営者としてはお粗末が過ぎます。従業員を定年まで雇用できる体力がないのであれば派遣を活用していた方が良かったのではないでしょうか。派遣なら雇用主は派遣会社ですから、少なくとも労働者の雇用を預かるプロですから派遣会社にお任せした方が良いと考えます。派遣なら貴社に雇用責任もありませんから。
ちなみに裁判しても整理解雇が認められない可能性もあることを覚悟しておきましょう。
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