ハケンではたらく場合、時給額に興味があるのは誰でも同じです。そして時給が高い方が良いと思うのは誰でも同じです。時給が高ければ高い程稼げますからね。・・・と短絡的に考えている方はいませんか?そこで今回は時給の高い安いでどちらが儲かるかを考えてみましょう。
インターネットで検索すると「1900円の高時給!」という謳い文句の求人が多いようなので、世間一般に1900円は高時給とみなしてよいのでしょう。またハローワークでは最低賃金法の設定により900円前後の時給が安いと言われているようですのでハケンはそれよりも高いという設定で仮に1000円と考えてみましょう。1時間で1000円稼ぐのと、1900円稼ぐのではどちらが得でしょうか?答えは当然1900円と答える方が全員でしょう。では「時給1000円のお仕事と、時給1900円のお仕事のどちらが稼げるでしょうか?」と尋ねられたらどう答えますか?
このカラクリがわかる人は即座に「どちらが稼げるかなんてわからない」と回答するはずです。なぜならこの質問には時間・期間が不明だからです。1日だけのスポット仕事や1~2か月程度の単発なら1900円の時給の方が稼げると思いますが、「仕事」の捉え方は人それぞれです。1カ月だけはたらきたい人もいれば長期で定年まではたらきたい人もいます。考え方の1つとして、短期の案件は時給が高い方が稼げる・長期の案件は時給が高くなればなるほど稼げる確率は低くなるということです。
その理由は、何故1900円の高時給なのかを考えてみればわかるはずです。高時給といわれるからには世間一般相場よりも高いということを意味します。社会問題になるほど雇用率が下がり求職者が巷に溢れている現在で企業はなぜわざわざ一般相場よりも高い時給設定をしなければならないのでしょうか?もし都心の一等地の高級マンションで1室だけが家賃1万円/月だったらどうですか?そこに隠された意味を把握できるかどうかが鍵になります。もうお分かりだと思いますので書きませんが、1900円の長期案件に“長期”で継続し続けていける確率は低いのです。就業前に金額だけに目が眩まずに冷静に状況判断でき、このトリックを見破れた者でなければ少なくとも「時給1000円の方が稼げる」と答えることはまずできないというわけです。
実際に頭の中で試算してみてください。1日8時間の勤務時間だとして、時給1900円だったら15200円/日です。一方、時給1000円だったら8000円/日です。月20日として1900円のお仕事を半年続けたら182万円です。一方、時給1000円で1年間続けたら192万円です。しかし、時給1900円の人は辞めるごとに就職活動を繰り返さなければなりませんので、時給1900のお仕事を半年間継続できること、間を空けずにその後も時給1900円のお仕事を獲得できるかという問題が生じます。辞めればそのたびにまた履歴書やら何やら手間も費用もかかります。精神的にも厳しい就活の繰り返しです。併せてこのご時世ですから時給が高ければ当然応募倍率は高くなりますし、そもそもそんな高時給の案件がそうそう出るものでもありません。長期ではたらきたい人が時給1900円のお仕事に就いて、もうコリゴリな思いをしたとしたら、また次も高時給のお仕事に応募する確率は減りますので、結果として一度高時給の案件を経験して辞めた者は以降時給が下がっていく傾向にあるということです。つまり半年で辞めた場合、半年で182万円稼げるからと言って1年間で364万円稼げるなんていう保証はなく現実的には無理な確率なのです。長期を何年と思うかは人それぞれですが、長期=最低でも3年以上と考えるならば時給1000円の方が総額として稼げる確率はずっと高いということです。また、時給1900円の求人にはその殆どが交通費を含むですが、時給1000円の求人には交通費は別途というケースが多く見られます。社会保険などの天引き分も給与に比例して上がります。長期ではたらけば昇給もあるでしょうからスタートの差も縮まるかもしれません。なによりも入っては辞めての繰り返しがないということ、これこそが長期案件でもっとも効率的に稼ぐポイントであり、長期案件を長期継続できないことこそ最も稼げない損なはたらきかたということになります。実は長期案件で”稼げる”かどうかは時給の高低は大きな問題ではなく、時給1000~2000円程度ならば長い目で見た場合、確率論では先の通り、平均的にも大差はないと考えることができます。高時給の方が稼げるというのは“絶対”に辞めない条件下の話であり、時給1900円や2000円のお仕事を『絶対』に辞めないと言い切れますか?先の質問の回答はここで答えが分かれるという訳です。
長期ではたらくということは人生に関わることです。人生は頭の中で想像した通りに事を進められるほど単純ではありません。だからこそ机の上で電卓をはじいて高時給とそうでない時給のどちらが稼げるかなんて判断できないということです。参考になるかくだらないと一蹴されるかは読み手のご判断に委ねますが、このように常識論に固まりすぎず色々な視点で物事を考えてみるというのも就職活動中ならではかもしれないと思って書いてみました。
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