第190話「帰宅命令」 | OFFiSTA オフィスタ・ブログ

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ここでは派遣のお仕事についてハケン会社の立場から日々思ったこと・感じたことを綴ってみるWeeklyコラムです。

先日の強風で勤務途中で帰宅命令が出された職場も多かったと思います。大震災の帰宅困難を経験した都心部の企業では交通機関のマヒ・遅延・停車といったニュースにはかなり敏感になってきた感じがします。安全配慮の観点からも良い傾向だと思いますが、この場合タイムシートはどうつければよいのでしょか?ハケンの場合は時給ということもあり早く帰宅しなさいといわれた際の勤務時間の記録の仕方が悩ましいところです。帰宅時間までしかタイムシートがつけられないとしたら、予定していた収入額に達しなくなってしまいますよね。

例えば9001800の契約をしている方が、「今日は1500であがっていいよ」と上司に言われた場合、タイムシートは定時の1800までつけることができます。なぜならば契約上、労働者は1800まで働く義務があり、企業も1800まで働かせる義務があるからです。「1500であがってよい」というのは業務命令であり上司の指示に従ったわけですから、当然この場合タイムシートには1800までの勤務と記録してもよいでしょう。

結論としては「強風なので今日は帰宅するように」というのは業務命令であり、会社都合により定時まで勤務することができなかったということになりますので、法的解釈は定時までタイムシートをつける権利があり、賃金の支払いを受けることができます。


さて、ここまでが法律論であり、ここから先は精神論を書いてみようと思います。まず、今回のような“天災”による早期帰宅命令という観点で考えてみましょう。「今日は暇だからもう帰ってもいいよ」といわれたなら定時までタイムシートは記録してもいいと思いますし当然の権利だと思います。しかし今回のような天災による場合は「強風のため交通機関がマヒしそうだから、帰宅困難になったら大変だし、それで事故にでも遭ったら大変だ。」ということでの会社側のご厚意とも捉えることができます。はたらく者のことを考えての判断であるため、「会社の都合で帰宅させられた!」という意識を抱くことは少々野暮ではないでしょうか?そう考えるとノーワークノーペイの原則からタイムシートは帰宅時間で記入するのが礼儀ではないかと思います。会社側も好んで早期帰宅させたいわけではありません、天災による事故なきよう安全配慮の観点から良かれと思って早期帰宅させているのですから、思いやりには思いやりでお返しするのが社会人としての礼儀ではないかなと思います。法律や権利ばかりを主張していては希薄な人間関係しか築けないと思いますし、つまらない日本にしかならないと思います。“昭和の時代にあって、平成の時代にないもの”それが何かは明確に文章にできませんが、なにか今の日本は大事なものを失いつつあるような危機感をオフィスタは持っています。


オフィスタの考えとしては、タイムシートのつけかたは、定時まで記録をつけても帰宅時間までを記録してもどちらでも構いません。立場上、不謹慎と映るかもしれませんが、実はこれが社会通念上もっとも公平な判断だと確信しています。「“帰れ!”といわれたから帰っただけだ」という考えの方に定時までつけるなとは言いませんし、法律上も労働者の権利ですからとやかくいうこともできません。一方で「事故あってはいけないということで“帰れ!”といわれた。心配してくれている会社の思いやりや気持ちに感謝したい。」という考えの方に定時までつけなさい等と野暮なことを言うつもりもありません。権利というのは主張するのも自由、放棄するのも自由ですから、どうこう指図するつもりは全くありません。法律には天災による場合の早期帰宅など想定されていませんので明記がありません。法律がすべてである反面、法律が適宜今の世の中のあらゆる事項に適切に対応しているわけでもありません。法律に書いてあるかどうかで白か黒かなんてナンセンスな話しで、結局最後は各自の判断だということです。法と現実のギャップは必ずありますので、本当の意味での正解はありませんから、法律を絶対遵守すべき場面なのか、社会人としての礼節やモラルを駆使して自己判断を下すべき場面なのか、個人の判断に委ねるのが最良ではないかと思います。


なお、参考までにオフィスタではこの件について一切の強制はしていませんが、スタッフさんはノーワークノーペイの原則から帰宅時間でタイムシートをつけている方が大多数だったようです。派遣会社の立場からすれば売上減にもかかわらず職員一同、何故かホッと胸をなでおろした奇妙な出来事でした。“昭和の時代にあって、平成の時代にない”何かを少なくともオフィスタのスタッフは持っているということを再認識できた安堵感に包まれた日でもありました。

こんな派遣会社が世の中に一つくらいあっても一興ではないでしょうか、と思い筆を取ってみました。

なお、中には早期帰宅命令にもかかわらず「定時までタイムシートつけても良い」というご厚意の上に更なるお気づかいをいただいた派遣先もあったようで、スタッフ・職員一同この場を借りて関係各位には心より感謝申し上げます。


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