「プロセスは完璧である」というお守り | 恋と仕事の心理学@カウンセリングサービス

「プロセスは完璧である」というお守り

みなさん、こんにちは、
カウンセリングサービスのなかやしのぶです。

 



【恋と仕事の心理学】毎週水曜日は「素敵な恋の育て方」というテーマで、
町村ゆき、東条正貴、中山塁、なかやしのぶの4人が交代でお届けしています。

*

もう10年近く前のことになります。
5月の連休の初日、家族4人で夕飯を食べていたら、
突然夫が大声を出して怒り出し、家を出て行ってしまいました。
それが別居の始まり、夫は、不倫をしていたんです。

夫は、家を出て行く前の数か月前から、急に態度が冷たくなっていました。
それまでは、やさしい人だったのに、まるで鬼のようになってしまったんです。
私のやることなすことに、嫌味を言ったり、怒鳴ったり、文句を言い続けました。

お酒が強い人だから、それまでお酒に飲まれてしまうことなんてなかったのに、
まともに歩けないほど酔っぱらうまでお酒を飲まないといられないようでした。
家で飲んでも、外で飲んできても。
そして、激しく酔っぱらって私に暴言を吐く、そんなことが続いていました。
出て行ったあの日も、夫はワインを飲んでいました。

私には、理由がさっぱりわかりませんでした。
不倫をしているなんて発想もなく、疑いもせず、まだその事実を知らなかったんです。
「夫は、一体どうしてしまったんだろう?」と、ひとり考え悩む日々でした。

夫が帰ってくるのがこわくて、子どもが寝てしまった夜が来るのが嫌でたまりませんでした。
はじめのころは、私も言い返していましたが、
それまでしてきた夫婦ケンカというレベルを越えたものだとわかると、私はこわくて言い返せなくなっていました。
何を言われるのかと怯える私を見て、夫はもっと腹を立てました。

夫が家を出たのは、「もう限界」と思っていたころでした。
はじめこそ夫が家をでていってしまったことに不安を感じたものの、どこかホッとしたのを覚えています。
ひどく責めてくる夫から離れて、心を休ませたかったんです。

それからしばらくして、夫が不倫していることがわかりました。
心がギュッと苦しくなって、目の前が真っ暗になりました。

「いつからだったの?」「あの時もそうだったの?」「ずっと騙されていたの?」
そんなことを繰り返し考えました。

「子どもたちがいるのに?」「子どもたちを愛してはいないの?」「私の子どもだから愛せないの?」
そんなことばかりが頭に浮かびました。

そして、「私は、そんな人を好きになったの?」と涙が止まらなくなりました。

それから、私はカウンセリングを受けたり、セミナーを受けたり、心理学を学んだりしながら、
夫が不倫したこと、鬼のように変わってしまったこと、家を出て行ったこと、
私たち夫婦に何があって、どうしてそうなってしまったのかを、時間をかけて紐解いていきました。
限界まで傷ついた心を癒しながら、夫婦のこれからを、自分の幸せを見つめていきました。

渦中、物凄いケンカを繰り広げ、親や親戚、友だちも巻き込んで随分と周りに迷惑も掛け、
絶対に元通りにはならないだろうと誰もが思うほど険悪な時間も過ごしました。
だけど結果的に、私たち夫婦は、修復しやり直すことを選びました。
それが、私の幸せだと時間を掛けて思い至りました。

*

ちょうど1カ月ほど前、家の前の桜が満開になったころ、
普段は出不精の夫に誘われて、桜並木を歩きながらお花見をしました。
「向こうの桜は、うちの前の桜より立派だから見に行こうよ」と、夫が誘ってくれたんです。

たまたま休日で、家族が揃っていたので、珍しく子どもたちも一緒に散歩することにしました。
桜の見える広場では、バドミントンやキャッチボールをして遊びました。
他愛のない会話をしながら、汗をかいてたくさん笑いながら。

私は、「これ以上の幸せがあるだろうか」と、思いました。
「10年ほど前のあの日々から、この今が想像できただろうか」と、思いました。
「欲しかったのは、これだ」と、思いました。

あの当時、私の心はとても暗くて、明るさも色もなかったんです。
何を掴んだらいいのか、どっちに歩き出せばいいのか、わからずに動けずにいました。
こわくてこわくて、これ以上傷つくのがこわくて、じっと縮こまっていたんです。

だから、ほんのり明るい桜並木を、歩いたり、見上げたりする喜びを、
ジャンプして思いっきりラケットを振ったり、大きく腕を伸ばしてボールを投げたりする楽しさを、
その素晴らしさが身に染みるようでした。

あの悲しみは、苦しみは、
知らなくてもよかったと思うけど、ない方がよかったと今も思います。
でも、あの頃が、あの出来事がなかったら、
これほど幸せを感じることが、幸せに気づくことができなかったかもしれないとも思います。

*

心理学では、「プロセスは完璧である」という言葉あります。
どんなに苦しいことも、今起きていることは、幸せになるための通過点、起きたことは必然で、意味がある。
成長のチャンスであるという考え方です。

その渦中にいる時は、なかなか、到底そんな風に思えないものだと私は知っています。
当時、その言葉が、心を楽にしてくれたとは思っていません。
だから、本当に苦しい人に、私は気軽にこの言葉を言うことができません。

でも、誰もが頭の片隅に、
お守りの様に持っていてもいいものだということも、私はよく知っています。
そう思いながら、ブログを書いてみました。

*

あなたが、自分の幸せを信じられますように。
あなたが、心から幸せを感じられますように。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

 

 

 

なかや しのぶ

カウンセリングサービス所属カウンセラー/東京地区担当
夫、息子、娘と4人暮らし。
自身が夫婦の危機を乗り越えた経験から、夫婦関係修復、男女関係の問題を得意とする。
子育てや介護、家族、自分自身についての相談も多い。
親しみやすく安心できるカウンセリングと好評、「声に癒される」「話していて元気になった」と声をいただいている。

 

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