自分を責めているときほど謝れない
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かつての私は本当に本当に本当に謝れない人間でした。
謝ったら負け。
謝るくらいなら仕事をやめたり、どうせ許されないとお口チャックでダンマリを決め込んだり、相手に罪をなすり付けるなど、愚行に次ぐ愚行を重ねていたのです。
特に夫との間では酷く、夫に謝罪したことがないと言っても過言ではないほど、謝れませんでした。
“謝罪したことがない”と前述した私ですが、謝ってはいたんです。
申し訳ないって思ってるって。
謝ればいいんでしょ?ごめんね〜。
すみませんでした!
ほら謝ったんだからいいでしょ!?
謝って許してもらえるなら謝るよ。
確かに、謝ってはいます、口だけ。
謝るとなった時、皆さんはどんな気持ちを感じますか?
私の場合は“敗北感”です。
謝る=白旗をあげる、鬼の首を取ったように責められ、血祭りに上げられ、市中引き回しの刑にされ、最後は河原で晒し首にされるんです。
そんな超ネガティブな感覚を持っているので謝罪の謝の字も出てきません。
また、それに付随して。
どうにかして謝罪しないために、敗北感を感じないために、夫婦喧嘩では「夫に謝らせること」に命をかけていました。
だって先に謝罪させた方の勝ちだし。
夫は罪を認めるべき。
ていうか私悪いところないし。
だから謝る必要ないし。
こんな私だったので、当時の夫婦関係は
私が喧嘩ふっかけ→喧嘩まみれからの→
喧嘩疲れからの→喧嘩を避けるために距離を取られる
悪循環でした。
ではどうして私、優木るなはこんなに謝れなかったのか。
いつからこんなに謝れないのか。
振り返って、振り返って、振り返っていくと、小さい頃の実家との関わりから始まっていたように思います。
昔の我が実家というのは、なんというか、こう、えー、極道というのでしょうか、ヤ○ザというのでしょうか。
ちょっぴり気性が荒いママやパパやおばあちゃま、そして私。
情熱タイプの構成員が揃った我が実家では日々揉め事や喧嘩が勃発していました。
そして揉め事のたびに誰が悪い、どちらが悪いという犯人探しが行われるのです。
犯人が決まると次は“詰める”時間になります。
謝罪では済まへんで。
口だけならなんぼでも言えるやろ。
言葉じゃのうて誠意を見せんと、誠意。
言い方は任侠映画風ですが、毎度誰かが誰かを責める構図が仕上がる。
実家で過ごしていた頃の私も当然、誰かを責めたり詰めたりしていました。
また、私自身が犯人の立場に立つこともありました。
過去の経験というのはその先の人生に関わっていきます。
時に誰かを責め、時に責められる人間関係を経験すると、何が起こるか?
「謝っても許してもらえない、謝られても許さない」ということを心身で覚えるわけです。
まあ私も謝られても許さないよ。
家族以外との関わり方でも同じくです。
誰と関わる時も同じように相手を責めます。
また、「どうせ私は謝っても許されない」と思っているので、責められないように、謝る状況にならないように虚勢を張る。
それでも謝る状況になった場合は、冒頭にあるような言葉で“口だけ謝罪”をする。
当然のことながら、夫に対しても責める、虚勢を張る、謝らない、というムーブを繰り返すのでした。
私の人生はいつもうまくいかないわけです。
夫婦仲はどんどん悪くなるし、喧嘩も増える。
じゃあ、どうすればいいの?
ということになります。
夫に謝れない私に何よりも必要だったこと。
それは“私が私に謝る“ということでした。
ある時の夫婦喧嘩で、私は人生で初めて謝罪しました。
私が私に謝る、自分を責める手を止めるなんてことを知ってから結構経った頃のことだったと思います。
いつもの喧嘩であれば
「私も悪かったよ、ほら、アンタも罪を認めなさいよ」
と詰めていた私が、こんなことを思ったんです。
「あ、もういいや。」
この“もういいや”というのは、相手に対して「もういいや、離婚!」というわけではなく。
この険悪な時間と、また相手を責めようとする自分に“もういいや”と思えたのです。
どうしてそう思えたのか、明確にはわかりません。
ただ、自分が謝らないために振り上げていた拳を下ろしたところで、相手は責めてこないだろう。
もし責めてきたとしても相手の気持ちは相手の気持ち。
自分の気持ちは自分で守れている、大丈夫。
なんてことを思っちゃったんです。
それに、もう一個こんなことを思いました。
本当はどうしたい?
責めたいわけでも、喧嘩しまくり謝罪しまくる夫婦になりたいわけでもありません。
ただ好きで、楽しくて、仲良くしたいだけ。
自分ことも夫のことも大切にする。
謝ってみよう。
「ごめんね」
本当に遅すぎた謝罪です。
今回の喧嘩のことだけでなく、これまでの私の全部を謝り、白旗を上げた感覚になれました。
喉がギューっと痛くなるほど言いづらくて、なぜか涙がドゥワヮーって出てきたんです。
しかし。
私の謝罪を目の当たりにした夫は怪訝そうにこっちを見ていました。
「ああ、私が謝ったらこんな表情すんだ」
すごい失礼な表情の夫を目の前に、さすがにその表情は無いじゃんと責めそうになったことはナイショですが、私が人生で初めて謝罪ができた瞬間だと思います。
私は長年、「どうせ私は謝っても許されない」という思いのもと、夫を責めまくり、謝りませんでした。
でも、ですよ。
「どうせ私は謝っても許されない」と思っているのは他でもない私だったんです。
私が私のことを「謝っても許されない」と思っている以上、誰と関わるとなっても「謝ったところで許してもらえるはずない」と思ってしまいます。
“私が私に謝る“というのは、自分責めを終わらせる第一歩につながります。
ごめんね、責めすぎてた。
謝っても許されないと思ってしまうほど、責めまくったよ。
それじゃあ謝ろうにも謝れないわな。
自分責めが和らいでいく、すると「どうせ私は謝っても許されない」という思い込みが和らぐことにつながります。
自分が許される世界で生きる、私はこれを安心だな〜とか優しいじゃん〜って思います。
心地よさって言い換えてもいいですね。
謝れない私が学んだこと。
それがタイトルにもある『自分を責めているときほど謝れない』です。
この教訓を大切にしていこうと思った今日この頃です。
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