バカの山、絶望の谷、啓蒙の坂、継続の大地
カウンセリングサービスの山田耕治(やまだこうじ)です。いつも読んでいただき、ありがとうございます。
月曜日の「仕事の心理学」は、すのせさちこカウンセラーと北さとしカウンセラー、伊藤顕市カウンセラー、そして私、山田の4名でお届けしております。
山田担当の仕事の心理学は「強いハートを目指すビジネスパーソンのために」をテーマに、12年目に突入です。
カウンセラーとサラリーマンのWワーカーとしての経験やプライベートの出来事を題材に、小手先のテクニックではなく、心の根っこから強くなることで、仕事やプライベートにおける成功への貢献を目指します。
さあ、新年度、始まりですね。
みなさんの始まりは、いかがですか。
変化の季節、どんな気持ちのみなさんがいますでしょうか。
私は、年明けの父の葬儀から、バタバタと広島の実家関連の手続きを進めて来ましたが、我が家自体にも、このタイミングで、大きな変化が二つありました。
一つは、長男が、高校を卒業、大学生になります。昨日、名古屋に向けて、家を出発していきました。
もう一つは、次男が高校を一年で退学し、まずは簿記や高卒認定の合格をめざすようです。
二人とも、時々、このブログにも登場していますが、これまでに本当にいろいろなことがありました。親としての申し訳なさも相当あります。
が、それでも、それぞれに努力や葛藤の末に、新たな道を選択することができた本人がいることは、とても立派だと思います。有り難く、祈るような思いもあります。
今日のテーマ、正に、その変化、新年度の始まりの中で、私自身も参考にしたいと思ったのが、長男の高校の卒業式での卒業生代表の言葉です。
彼女は、自らの新たなステージを前に、自らの振り返りと、これからの自分への覚悟とエール、そして、関わってくれた人々への感謝のこもった素晴らしいスピーチを届けてくれました。
その中で取り上げられたのがが、高校入学当初、担任の先生から話があった、「バカの山、絶望の谷、啓蒙の坂、継続の大地」の話でした。
これは、「ダニングクルーガー効果」という、心理学者のダニングとクルーガーが「なぜ能力の低い人間は、自分自身を素晴らしいと思い込むのか」という研究から生まれた理論とのことです。「人々を笑わせ考えさせた研究に与えられる賞、イグノーベル賞を受賞しているとのことです。
※自信を縦軸、知識や経験を横軸とした曲線のグラフ等、是非ネット検索でいろいろ見てもらえたらなあと思います。
彼女自身、正に、実際に始まった高校生活の中で、バカの山に登っていた自身に否応なしに認識することとなり、自らの自信は叩き潰され、絶望の谷に突き落ちた、つらい体験があった。
それでも、仲間や担任の先生達にサポートしてもらいながら なんとか、学びや、生活を再開し、啓蒙の坂を登り、今、ここに継続の大地を、前に進むことができた。
きっと、これから、また、バカの山を登り、絶望の谷に突き落とされても、この経験を知とし、糧として、自信、感謝、謙虚さを持って、啓蒙の坂を登り、継続の大地を進んで行きたいと結んでくれました。
このスピーチは、それなりに生きてきた私自身としても、初心かえるべく、いや、それよりも、新たな心を醸成するような話として、受け止めることになりました。
私は、お仕事を午前休みにして参加したのですが、卒業を祝い、先生方に感謝を伝えるだけではなく、このような話を聞くことができ、参加できてよかったなあと思いました。
私たちは、学びや経験がまだまだ足りないことや、また、何か強い出来事や体験に反応することによって、自らのもの見方や認知が独特だったり、偏ったりするのもだと思います。
私たちは、どうしても、自身の持つ考えが凝り固まったり、心の癖が強くなってしまったりしてしまうものだと思います。
この無意識の状態が、バカの山にいる、と表現されています。
実際は、世の中は広く、また様々な事情があり、知や思考も、もっと幅広く深いものがあり、それとのギャップや自らの思いや考えとの違い、自らの無知を気づくことで、ガーンと拠り所と自信を失い、絶望の谷に落ちることがある。
そこから、もう一度、自らの理想やビジョンに向けて、謙虚さをもって、歩み始めることで、新たな知識や経験を積み重ねる。
ギャップのある相互の理解も深め合えることもできた。
前に進みながら、自らの成長、本当の自信を、実感していく。
そこには、師事する人や仲間の存在もあるのだと思います。
それが啓蒙の坂。
その新たな学びと真の自信への歩みの繰り返しが、継続の大地。
でも、彼女が言うように、その成長した私たちも、また同じく、バカの山に、知らず知らずに、登っていることが起きる。
そして絶望の谷。
それでも、それは生きてきた、つまりチャレンジしてきた証。
バカの山とは、一見、言葉としては美しいものではありませんが、誰もが登る山であり、また、絶望の谷も、誰もが落ちる谷であるのだと思います。
絶望の谷に落ちても、私たちは啓蒙の坂を上がり、進むことができる。
私たちは、成長できるのだと、彼女の担任は、ぶれる生徒を信じ、ずっと伝え続けてくれたのだと思います。
それを信じてきた、実践してきた卒業生のスピーチは、リアルであり、また、師や人との絆も感じることができました。
子供たちは親だけでなく、人によって育てられるのだと思うと、親としても、完璧でなくても、できることをやればいいとの思いも出てきます。
私自身も、ならば、バカだろうが、今の山をしっかりと、そして、できるだけ、楽しく登って行けば良いと思うこともできました。
卒業とは、また新たな道の始まり。
新年度の始めに、このような思いになることができ、ありがたいなあと思っています。
みなさんは、今日の「ダニングクルーガー効果」に、何を思いましたか?
ダニングクルーガー効果の反対「インポスター症候群」という、自らを過小評価しすぎるという状態もあるとのことです。
あえて、自らを、そこに当てはめ、前に進む参考にしてもらえたらと思います。
さあ、新年度!
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。