自分の気持ちと相手の気持ち
皆さま、こんにちは。佐藤まゆみです。
「恋と仕事の心理学」、金曜日は“恋と仕事のライフプロデュース”です。
毎週金曜日、櫻井朱実カウンセラー、蒲谷芳久カウンセラー、高梨弥生カウンセラーと私の4人でお届けしています。
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9月に入りましたが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
この夏の気候は、いつもにも増して不安定でした。
まだまだ残暑は厳しいうえに、これからは台風の季節でもあるので一向に気が抜けませんね。
各地での土砂災害などを見聞きすると、胸が痛みます。
私の住む地域でも、大雨が降ると川が氾濫して、何度か災害が起きたことがあります。
昨今の被害のニュースに接するうちに、過去に起きたある光景が思い浮かんできました。
◆ある出来事に対して感じた自分の気持ち
私が小学校高学年だったの頃の話です。
2学期が始まって間もなくでした。
その日は数日前から降り続いた雨が、より一層強くなっていました。
「また今日も雨かぁ。学校に行くのんイヤやなぁ。」
そう思いながら出かけました。
と言っても、我が家は学校の目の前にあったので徒歩1分程度のものです。
近いからこそいつもギリギリに家を出て、鐘が鳴る直前に教室に着きます。
すると、まだ数人の生徒は来ていませんでした。
「〇〇ちゃん、まだ来てないねぇ。」
などと、のんきに友達と話していると担任の先生が慌てた様子で入ってきました。
先生は開口一番、
「近くの川が氾濫して、多くの家が浸水しています。」
と言いました。
みんなポカンとしていましたが、次に先生が言ったのは
「今日は学校は休みになります。」でした。
それを聞いた途端、クラスのひょうきん者の男の子が
「やった!今日は学校休みや!」
と手を叩いて喜んだんです。
すると先生は、
「家が浸水して被害を受けた人がたくさんいるのに、何を言ってるんだ!」と一喝しました。
ものすごい剣幕に、クラス中がシュンとしてしまいました。
その男の子、叱られて真っ赤になってうつむいてしまいましたが、実は私も「今日は学校が休みになるんや!」と思ったうちの一人でした。
みんな口には出さねども、同じようなことを思っていたんですね。
あの時から何十年も経っていると言うのに、大きな水害が起きるたびに、この光景がふっとよみがえります。
子どもだった私にも、よほど強い印象的な出来事だったようです。
◆それぞれの事情に思いをはせる
そもそも、それほどの悪天候なのに登校できるということは、校区の中でも比較的安全な地域から来ているんですね。
当時は今ほど情報網が発達していませんでしたから、どこでどれほどの被害が出ているのか、なかなか分からなかったのです。
特に子どもとなると、自分の家族とその周辺が生活圏のほとんどでしょう。
ですから、それ以外のことを知るよしもなく、この反応は致し方なかった面もあるかなと感じます。
いえ、子どもでなくても、
人は自分の立場や考え方を基本にして、ものごとを見ているものです。
自分はこうだから、きっと相手もそうだろうとか
自分には重要なことなんだから、みんなも同じように思って当然だとか。
それが、もめ事の原因になることは多々あります。
どちらが正しいとか間違っている、というわけではないんです。
ただ、もう少し視点を高くしてものごとを見れたなら、この状況で自分とは違う立場や考え方の人もいるかもしれないと思えるんですね。
自分以外の人の事情にどれだけ思いをはせることが出来るかが、人としての成熟度につながってきそうです。
◆自分の気持ちは否定しなくてもいい
とは言うものの、日々起きる出来事に瞬時に反応しているのは自分の感情です。
自分の立場や日頃の考え方がベースになっていることは間違いありません。
先ほどお伝えした、小学校の頃の水害事件にしても子どもとしては単純に
「学校が休みになって、勉強しなくて済むので嬉しい」
と思っただけなんですね。
この気持ち自体は、否定しなくて良いと思うんです。
けれど、一歩進めて災害に遭った人のことを思い描くだけの思慮があれば
「被害に遭った人は困っているだろうな」
「自分の家は無事で、ありがたいんだ」
というとらえ方も出来るようになっていきます。
同じ出来事に接しても、見る角度によって全然違う受け止め方になるわけです。
まず自分の気持ちがあって、そう感じたことは確かなんですから
「こんな自分勝手なこと考えた私はダメなんだ。」
と自己否定しなくて良いんです。
大事なのは、自分の気持ちは受け入れたうえで、自分以外の人の立場や状況を考えてみることでしょう。
自然災害やコロナ感染のことなど、日々の暮らしを揺るがす要因は常にあるものです。
この二段階の視点を持っておくと、言動や行動が変わり、人間関係はかなり円滑になっていくのではないかなと思います。
自分の気持ちと相手の気持ち、どちらも尊重していきたいものですね。
最後までお読みくださって、ありがとうございました。
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次週、9月10日は、蒲谷芳久カウンセラーの担当になります。
どうぞ、お楽しみに
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