きっと誰にでも、
「死ぬまでに一度、会ってみたい」という人がいるんじゃないかと思う。
私にとっても何人かそういう人がいるのだけど、
その中でもトップ・ランキングの人がいた。
その人に会うのは、もう、現実的にかなえたいことというより、
私の中では、半ば「ただ妄想のように思い描く夢」のようなものになっていた。
その人の名は、エリオット・アーウィット。
世界的な写真家で、とっても人間味のある、ユーモアにとんだ、
でも、「人間っていいな」と思うような写真を撮る人。
私が彼の写真をはじめてみたのは20歳くらいのときだったと思う。
そのころは、自分が写真を撮るようになるなんて
まったく思いもしなかったのだが、
ある日通りかかったデパートで、偶然彼の作品展が開催されていたのだ。
なんの気なしに入って、そして彼の写真を見たとき、
世の中に、こんな写真が撮れる人がいたんだ、と
思うとともに、彼のことがダイスキになってしまったのだった。
うつで落ち込んでいたときにも、
彼の写真は本当に私を励ましてくれた。
そんな人間力が、彼の写真にはあると思う。
それから20年以上、私はずーっと彼のファンなのだが、
彼の写真のファンというより、こんな写真を撮るその人自身に
とても興味が湧き、彼は私の中の「なんとしても会いたい人」
になったのだった。
あるときには、その展覧会の主催者に電話をして
彼のいる国を突き止めて、突撃で会いにいっちゃおうかとか
考えたりもした。
でも…
会って、何をいうの?
私は彼に興味があっても、彼はこんな日本のコムスメ(当時(笑))に
興味を持つとは思えなかった。
そのときには、実際行動を起こすことはしなかったのだが、
神様に「いつかこの人に会いたいなあ」という私の声が
届いていたのだろうか。
今回、ニューヨークでミラクルが起こった。
先週のある日、オットとともにマンハッタンの6番街を歩いていて、
そこに私の写真の学校があるので、
オットに「ここなんだよ~」と教えてあげた。
ちょうど信号が赤だったので、学校側ではなく、
通りをはさんで向かい側にあるギャラリーのほうを歩いていた。
ギャラリーにはブックショップが併設されていて、
ふとそのウィンドウを覗き込んだとき…私の目からは星が出た。
そこには
「エリオット・アーウィット サイン会
今週金曜日 6時半から」
という張り紙があった。
ニューヨークに来て、いろいろ事件もあったものの、
今回ほど驚いたことはなかった。
いいや、
ここ5年くらいで一番驚いたと思う。
(その前に驚いたのは自分が結婚できたことかな(笑))
すぐさまブックショップに入って、
お店の人に
「あ、あ、あ、あのあのあの、
このサイン会は予約が必要なんですか?」
と聞いてみた。ウロタエぶりがもろみえ(笑)
お店の人は、その日に本を買って6時にきてくれればいいよ、
とかるーい調子。
は、はい、と店を出たものの、
私のハートはどきどきどきどき…
だって、20年、会いたいと思い続けていた人だよ~!
しかも、もうご高齢なので、お元気でいらっしゃるかどうかも
わからなかったその人に、はい、来週会えますよ、と
ぽんと差し出されたわけで。
いやもう、ホントにびっくり。
それからの5日間、私はもうずっとどきどきで、
夜、眠れないくらいだったんです。いや、ホントに。
で、いよいよサイン会当日がやってきました~!!!
(長くなったので明日につづく)