blogを書けと言われたので「Helix/HXSTOMPでパワーアンプINを考える」の話。

 

 blogを書けと言われたので「Helix/HXSTOMPでパワーアンプINを考える」の話です。

 

 今回書くのはタイトル通りの話です。

 いろいろ試してみて感じたことを書いていきます。

 主観的視点である事、また個人的なテスト内容ですので参考にされる際は自己責任ということでお願い致します。

 

 

 

 

 ギタープロセッサをパワーアンプへ繋ぐ。

 

 

 機材を最小限に留めたい。

 何故なら糞重いものを持って移動したくないから。

 そのためにはリハスタやライブハウスなどに設置されているアンプを利用するのが一番です。それなら必要なのは楽器とケーブル、チューナー、ピック、あと使いたいのならばエフェクター(ボード含む)追加程度になりますから。

 わたくしの場合は「ギター、ケーブル、クリップチューナー、ピック、ボリュームペダル+ディレイ」くらいで十分です。何しろ下手だからな!

 

 ところが場所によっては設置アンプがイマイチ、もしくは置いていないケースもあります。

 いや、流石にリハスタやライブハウスにアンプがないことはないと思いますが。イベントホールなどだと最悪司会用のマイク他を繋ぐPAくらいの可能性アリ。

 そんなときに役立つのはLine6のHelix/HXSTOMPです。

 Helix/HXSTOMPから直接PAへ繋げば、スピーカーから日常使っているギターサウンドが出てきます(微調整はグローバルセッティングで)。

 返りは転がしから出して貰えばオーケー。

 バック音源はPAで流して貰う、或いは手元にノートPCやプレイヤーを置いてコントロールすればいいのです。おっと、Helix/HXSTOMPの場合、AUXなどで音源出力する際に関しては取説など参照のこと。

 

 なんていいつつ、ライブのステージなどでは「大音量でキャビネットを鳴らしたい」ときもあります。それもエフェクトボードなし、機材は最低限+Helix/HXSTOMP程度で。

 方法としてギタープロセッサを「センドリターン端子へ繋ぐ」「パワーアンプIN端子へ繋ぐ」などがあります。センドリターンもパワーアンプも、要するにアンプのプリアンプ部分をキャンセルしてシグナルを投入する訳です。

 Helix/HXSTOMPをプリアンプとして機能させるとも言えます。

 

 では、その場合のプリセットがどうなるのでしょうか。

 

 

 

 パワーアンプIN用プリセット。

 

 

 と書いてみたものの。

 組むプリセットは〈ギター以後のエフェクトとプリアンプをHelix/HXSTOMPで賄うだけ〉のもので十分です。至極単純なものになります。

 例えば「ギターとアンプの間に挟み込むエフェクターブロックを置き、その後に好みのプリアンプブロックを設置する」だけですから。簡単!

 注意点は、キャビブロックは置かないか、完全にオフること。

 エフェクツはプリアンプ前後に置くことになるので、適宜調整すること。

 この二つが大事です。

 

 わたくしのだと〈ブースター、プリアンプ、(ディレイ)、EQ〉程度で十分。

 ディレイはリード時程度なので、なくてもよいパターンもありますし、EQは最終的な味付け程度。なので、なくても大丈夫です。

 

 

 

 

 あれ? これって?

 

 最初に失敗談を書いておきます。

〈プリセットからキャビネットブロックをオフ/削除していなかった〉

〈アンプブロックのままプリセットの設定していた〉

 パワーアンプINテスト時、初回にこの二つをやらかしてました。

 

 まずキャビネット。

 パワーアンプINだと、キャビのキャラクターは実機に依存します。

 スタックでもコンボでも同じです。

 だから、ギタープロセッサ側にキャビブロックを設置してからパワーアンプなどに繋ぐと、結果おかしなサウンドになります。ペラペラで低域が出ていない上、トレブルが効きすぎ。そして変な共振音のようなものまで出る始末。最悪でした。

 

 またアンプブロックですが、パワーアンプINパターンのケースだとプリアンプブロックをチョイスした方がコントロールしやすいです。

 中にはアンプブロックじゃないと駄目なアンプも存在しますが、基本的にプリアンプブロックを選択して下さい。

 理由は簡単で、パワー部の重ねがけになってしまうから。

 歪んでいないのにやたら音だけ大きかったり、不要なノイズが乗ってしまうのはこのせいだと思われます。

 

 キャビブロックなし/オフ。

 プリアンプブロックを置いて設定する。

 この二つにはお気を付け下さい。

 

 

 

 具体的に繋いでいこう。

 

 

 まず、最初に大事なことを。

・Helix/HXSTOMP本体のボリュームはゼロにしておく。

・パワーアンプ/センドリターンINの場合、アンプ本体のプレゼンスとマスターボリュームが効くので、そこを含めて音作りを決定する。

・音量はHelix/HXSTOMP本体のボリュームで調整。

・ただし、物によってはアンプ本体のマスターボリュームも関係してくるので注意。

 こんなところでしょうか。

 

 

 今回は、BOSS KATANA-HEAD MK2 でテストしました。

 ※このパワーアンプINorリターンとHXSTOMPを繋ぐ。

 

 

 プリセットはこんな感じ。

 シンプルですね。

 で、何故キャビブロックが残っているのか。

 前段であれだけ「キャビは置かない!」と言っていたのに!

 

 理由を言えば、急遽PAライン出しになった際の対策です。

 その際、プリアンプ部をフェイバリットにセーブしておいたアンプブロックへ差し替えると対応できます。

 ただ、本来ならキャビブロックもない方がいいんですよね。シグナルに多少なりとも影響しますから。無駄なブロックは置かないほうがDSP節約にもなりますし、サウンド設定もしやすいと思います。

 ……って書いてて気付いたけれど、キャビも〈必要なときにフェイバリットからチョイスして置くだけ〉でよかったのではないのだろうか。うわあ、間が抜けている。

 あ。フェイバリット登録する際、「ブロックのどれがどのプリセットで使うものか」をリネーム機能を使い明記しておくと楽ですよ!

 リフ用なら○○Riff amp とか。

 現場で咄嗟に並べ替える、置き換えるとき悩まずに済みます。

 

 パワーアンプINで弾き倒した後、KATANA-HEADのセンドリターン端子(リターン端子)に繋ぎ直してみましたが、なかなか良い感じです。このプリセットならリハスタやライブハウスに置いてあるMarshallリターン差しで使えるかも!

 

 おっと、バンドで演奏しているとき、ギターサウンドが抜けない/目立たないときはグローバルセッティング/EQだけではなく、プリアンプの中域や高域、また実機アンプ側のプレゼンスを増やしてみて下さい。この辺りはギターの美味しい周波数帯域に関係する部分なので、ある程度効果的なはずです。

 

 

 

 ギタープロセッサだからこそ。

 

 

 だいたいのプリセット設定を終えたら、次は便利な使い方を模索します。

 

〈バック用プリセットとソロ用プリセットを用意し、曲中で切り替える〉

 複数のパワーアンプIN/リターン差し用プリセットを用意し、更にHelix/HXSTOMPのフットスイッチをプリセット切り替えモードにするのです。

 エフェクター、アンプなどを全く違うモデルに切り替えられるのがメリット。

 ただ、この使い方は曲によります。ソロへ移る瞬間など、僅かに無音時間があればプリセット切り替えをしても問題ありません。音切れに気付かれませんから。

 ただ、もしそんな隙間がないのであればちょっと使いづらいやり方ですね。

 

〈スナップショットを活用する〉

 こちらは音切れがないので、曲中で使いやすいですね。

 複数エフェクトのオン、オフ。

 アンプやエフェクターのパラメータチェンジ。

 これらをワンスイッチで切り替えられます。

 HXSTOMPならスナップショットモードにして、スイッチ1はイントロ/アウトロ、2はバック、3がソロ用などにしてしまえば視覚的にも分かり易いはずです。

 HXSTOMPだと、置けるブロック数の制限及びDSPの問題、スイッチが少ないことが問題でしょうか。Helixならその辺りはクリアできますが、重量や大きさというデメリットが生じます。ただし、筐体に備え付けのフットペダルスイッチがプラスされますから、ワウやボリュームペダルとして割り振れる点が美味しいところ、かもしれません。

 

 機材を少なく持ち運ぶのなら、HXSTOMPにして〈各目指すサウンドごとにプリセットを組み、それぞれスナップショットを3つフルで設定する〉ことをお勧めします。

 

 因みに、Helix/HXSTOMPだと、レギュラーチューニングのギターのままハーフステップダウンやホール(whole ホールトーンスケールのアレ)ステップダウンをカマせます。

 

 

 

 

 

 弦ロックがないギターなら特定の弦だけその場でチューニング変更して、更にピッチシフターで全体を下げる、みたいな使い方も可能。

 例えば、ドロップDにしたあと、全弦ホールステップダウンすると……ほら便利。

 しかしガッチリチューニングする+きちんと弾かないと気持ち悪い音になることも。

 気をつけよう!

 

 

 余談的プリアンプブロックの話。

 

 

 メインプリセットを用意した後、実験的にいろいろプリアンプと入れ替えてみました。

 使いやすいのはLine6 Catalystモデリング。

 どれも手早くパラメータが決定できる感じです。

 

 ※ハイゲイン対応だとこれ。

 

 あとはFriedman/BE100モデリングがいいですねー。

 各種スイッチを入り切りするだけでもキャラクターが変わって楽しいです。ひとつのアンプでもクランチからハイゲインまで守備範囲も広いですし。

 

 で、みんな大好きMarshallモデリングはどうなのか。

 プリアンプブロックだと何だか歪まないような……。

 ネットで調べると〈Marshall系アンプは歪ませる際、パワーアンプ部含めないといけない〉らしいとかなんとか。プリアンプ部だけだと十分に歪まない=ロックサウンドにならない訳ですね。納得(実は「プリアンプブロックだとイマイチ」だと言われているモデリングはMarshall以外にもあるみたいです)。

 

 プリアンプブロックだと問題があるモデリングなら、アンプブロックに切り替えて現物合わせの調整を行います。これはもう自分の好みでやるしかありませんが!

 

 しかしこの〈プリアンプだと歪まない〉ケース。

 Line6のギタープロセッサ向けに行われているモデリング哲学を物語っています。

 単に似たサウンドを目指すだけではなく、アンプやエフェクタの構造から生じる差違すらモデリングする、ということですから。凄いねテクノロジー。

 

 ってことで。

 ギタープロセッサ+パワーアンプIN/リターン差しだと、いろいろ出来ることが増えます。だから活用しない手はありません。

 取説やネット情報を調べつつ、是非試して頂けたらと思います。