blogを書けと言われたので「8弦ギター プリセットについて」の話。

 

 blogを書けと言われたので「8弦ギター プリセットについて」の話です。

 

 以前から〈Line6 Helix/HXSTOMPで、8弦ギター用プリセットの話〉を書いてきました。

 当然個人的な意見ですし、現在のバージョンに沿った内容ではありません。

 実際問題、3.50以降の新キャビネットになってから、否、3.70などバージョンが進む度に8弦用プリセットを微調整、或いはブロック入れ替えを行っています。

 

 それは何故か?

 

 平たく言えば〈Line6 Helix/HXSTOMPのバージョンが変わる度、最終的な出音そのものが変わった気がするので、直しているだけ〉、でしょうか?

 ただし、わたくしが使っている8弦ギターに合わせたものですから、万人の参考にはなりません。求めている音の傾向も極個人的なものですしね。

 だから、細々と「選択ブロックはこれで、こういうルーティングで、パラメータはこうで」なんて明記しても、多分参考にならないのです。

 

〈ジェント的にゲートを効かせたい〉

〈極悪な低音域を活かして、ハードコアメタル的な用途にしたい〉

〈クリーンにコンプレッサーを強めに掛けて、現代的な多弦プレイヤーサウンドが良い〉

〈既存曲が演りたいので、そのバンドの多弦ギタリストサウンドへ近づけたい〉

 ……ざっと書き出しただけでも目指す方向性は多岐に渡りますもの。

 わたくしのプリセット・メソッドが役に立つわけがない!

 

 ってことでプロの多弦ギタリストでLine6 Helixを使っている方の意見をチェック!

 

 

 

 

 ISAO氏のプリセット。

 

 

 多弦でHelixと言えば、ISAO氏ではないでしょうか?

 極初期からHelixでプリセットを組んでいますもんね!

 

 

 

 そして、デジマートの〈Helixの達人〉でもサウンド紹介をしています。

 

 

 

 更にギター以外でのLine6 Helix/HXSTOMPも。

 

 

 

 うん、デジタルの利便性!

 とか言いつつ、取りあえずデジマートの〈Helixの達人〉を元に話を書きましょう。

 

 

 

 

 Helixの達人・ISAO氏。

 

 

 まずはデモ演を観て頂くとして……。

 

 プリセットを複数使い分けるスタイルのようです。

 クリーンはTAP、ディストーション系はリズムとリードと称してますね。

 サウンドの傾向は、ハードロック/メタルをベースにしつつ、クリーンでTAP音が出やすいように調整。他、各種エフェクツで音を整える、或いは装飾する感じ。

 設定されているパラメータですが、多弦ならではの「低音弦側の分離/音程感」を出すための数値なのでしょう。動画のリフは6~5弦に8~7の低音弦を効果的に挟み込んでいます。当然音程感もきちんとありますし、低音弦ならではの音になっています。

 

 ISAO氏のようなスタイルで多弦ギターを弾くのなら、もの凄く参考になるはずです。

 多分、わたくしの個人的なプリセット作り説明の何百倍も。

 

 

 

 

 8弦プリセットでの注意点。

 

 とか言いつつ。

 ぶっちゃけてしまうと、8弦プリセットの注意点なんてないんですよ。

 マジで。

 

 ISAO氏がいうところの「低音弦の音程感」すら要らん! なんて音作りをしてもいいのです。例えば、地獄の重低音ギターがアグレッシブなベースみたいに唸っており、その上を軽やかにベースや鍵盤がメロディを奏でるパターン、とか。その時は、ギターサウンドがお団子状態の分厚いサウンドメイキングにしたほうがナイスですよね?

 

 対して〈低音弦の音程感が必要〉なら、歪み具合+EQでギターの音域/周波数帯を強調してしまえばよいです。アンプブロックのパラメータも含めて。

 

 多弦ギターによるクリーンサウンドのソロギターなら、EQ+コンプレッサーで作ってしまえば話が早いと思います。

 

 もちろん、使用ギターが元々持っている音が深く関係しますので、現物合わせしないといけません。ギターの美味しい周波数帯はネットで調べれば出ていますから、そこを起点として微調整をすれば問題ないと思います。

 

 

 

 新キャビネットになってから。

 

 

(3.50以降に)新キャビネットになってから、これまで作ったプリセットの見直しを迫られました。いや、迫られたっていうのは語弊がありますな。

 これまで聞いていたプリセット音が変わってしまったので、要調整だ! と思ったのです。

 特に高域と低域の出方が顕著でした。なにッ!?

 ハッキリ書いてしまうと「情報量、解像度が上がったキャビネットだからこその変化」。

 そしてその変わり様に対応しないといけない! ってことっスね。

 

 

 

 具体的には、どうしたのか?

 

 

 アンプのパラメータも若干動かしましたが、大事なのはキャビです。

 全体的なサウンドを決定するには、まず「アンプとキャビ」を調整することが必要。

 

 ここでわたくしの8弦プリセットに使う基本ブロックを紹介します。

 それは「ブースター、アンプ、キャビ、EQ」の四つです。

 それぞれの役割は〈ブースターは全体の音像を締める〉〈アンプは歪み具合と中域と低域の決定〉〈キャビは最終的な出音のキャラクター決定〉〈EQは最終的な微調整〉

 

 ここにディレイや他のエフェクツを足しますが、この四つで大体の音作りを完成させます。

 この基本的な部分が決まると、リード/リフそれぞれの設定も〈ブースターとアンプのゲイン、EQで方向性を決定する〉くらいで済みます。

 

 そして、8弦だと低音弦側の解像度が大切なのです。

 とは言え〈高音域、超高音域、中域を強調し、低音域を大幅にカットすればよい〉なんて単純な話ではありません。

 

 低域を極端にカットすると、途端に音から芯が失われます。

 アンプ側EQのBassはある一定のレベルをキープする必要が出てくるのです。実は実アンプでもこの〈EQのBassをある程度キープ〉は有効だと思います。

 実際に実アンプ、それもフルチューブで8弦を鳴らす場合、意外なほどBassを上げてしまうのがポイントとも言えましょうか。

 概略、ギタープロセッサの場合は実アンプで設定したBassの半分程度の数値が必要です。実アンプが8なら、ギタープロセッサだと4くらい、かな?

 この辺りは使用ギターや演奏スタイルも関わってくるので、一概に言えないところも多いんですけどねー。

 

 更にアンプモデリングのゲインを上げすぎると音程感が失われることもあります。

 特にハイゲイン系アンプだと顕著ですね。飽和しちゃうのかな? 低音弦側の入力シグナルの強さのせいかも知れません。

 Bassと同じく、実アンプのときよりも下げた数値にした方がベターな結果を生みます。

 

 もうひとつぶっちゃけると〈多弦ギター用プリセットに使うアンプのEQは、最終的にPresenceとTrebleで仕上げる〉ようにしています。

 順番的にはTrebleで調整の後、Presence。

 Presenceはほぼ全域のEQへ影響する部分ですから。

 

 

 

 新キャビネットと8弦。

 

 新キャビネットになってから、微調整を繰り返しました。

〈コレかなぁ〉という程度に納得しかけたとき、Helix3.70がリリーズ。

 ……おい、またなんか音が変わった気がするぞい。

 8弦プリセットもだけれど、6弦用プリセットもだ!

 

 ってことで、キャビネット含めて再設定になりました。

 8弦に関して言えば、3.70で追加された新キャビ+マイク入れ替えで何とか!

 

 問題は6弦プリセットなんですよね。

 6弦用のアンプは、8弦用アンプとは違うモデルにしています。

 その6弦用アンプに8弦用に設定したキャビを転用してみましたが、これがダメ。もっさりしている。理由は〈8弦用のアンプブロックパラメータに対応したものでしかない〉から。それはそう。

 

 そこで6弦用にキャビとマイクの組み合わせを全て試すことになりました。

 あ! 「キャビとマイクの組み合わせだけを注視し、他のパラメータは取りあえず後から調整する」と楽ですよ。一回一回チマチマやるより、ザックリとした音傾向を掴んだ方が手っ取り早いですから。また、気に入ったキャビとマイクの組み合わせはメモかフェイバリットへ残すことをお勧めします。

 更に、以前組んでいたプリセットを残しておいて、新設定プリセットと比較していく方法も試して下さい。何処が気になって、どういう方向性でセッティングすれば良いかの指針になります故。

 

 で。

 結果は〈8弦と同じキャビにしつつ、違うマイクへ。マイク角度、距離で調整〉になりました。

 マイクは大きな要因になりますが、他は8弦用と比べると微々たるパラメータ変更です。が、これが意外なほど効果的なんですよう。

 

 あ。フェイバリット設定はこちらを参考にして下さい。

 

 

 

 

 結論:現物合わせが最適。

 

 8弦用プリセットですが、現物合わせでセッティングするのが最適だと思います。

 ギターを含めた使用環境がかなり物を言いますので。

 

 纏めると

・使いたいギターでセッティングする

・まずは基本的なブロックのみで音作りをする

・キャビとマイク設定が大きく影響することを意識しておく

・その際、アンプパラメータのゲインは控えめに、Bassは想像より上げる

・アンプEQは、TrebleとPresenceで微調整

・外付けEQなどでギターらしい周波数帯を強調する

・他のエフェクツは最後に足して、パラメータを決定する

 って感じですね。

 おっと、なんだかんだで、自分のプリセット・メソッドを書いてしまった。

 

 話を戻しまして。

 8弦をメインで使う場合なんですが。

〈8弦用プリセットと、6弦用に組んだリードトーンプリセットを切り替えながら使う〉ってのも手ですぜ。ぐへへへ。

 バックを8弦用プリセットで弾き、リード時に6弦用へ切り替えれば、それぞれに対応したルーティングにできますし、Helix/HXSTOMPのメリットを活かす形にもなりますから。

 またプリセットを切り替える瞬間の音切れが気になるのなら、スナップショットもあります。ひとつのプリセット内でパラメータ変化+エフェクツ切り替えが可能ですもんね。

 

 後は実践あるのみ。

 自分が求めるサウンドは、自分にしか分かりませんので。

 

 多弦用Helix/HXSTOMPプリセット、是非いろいろ試してみて下さい。