blogを書けと言われたので「Helixでプリセットを組む(復習編)」の話。

 

 

 blogを書けと言われたので「Helixでプリセットを組む(復習編)」の話です。

 新年早々、楽器の話で申し訳なく存じます(意訳:古事記/日本の神様関連を書いていないので、楽器関連でお茶を濁すぞ)。

 

 さて。

 LINE6 HelixやHXSTOMPを買った、或いは店頭デモ機を触ったけれども「どうやってプリセットを組めば良いか分からない」、そんな声も聞かれます。

 ……わたくしも、まだよく分かっていません。

 そんなときは気に入ったファクトリープリセットをコピーして、ユーザープリセットへ入れてからパラメータを弄り倒す、ってのも手です。苦労せずに理想のサウンドに近づけます。

 

 が、当然「オリジナルプリセットをイチから組みたい!」向きも多いことでしょう。

 はい。わたくしもです。

 だから、トライ&エラーでいろいろプリセットを組みました。

 それなりに慣れてきたかな? ……って思っていたら「Helix3.70」がやって来て。

 あら、これは新しいモデリングを使って新規プリセットを組まなきゃ! ってモードになりましたよ。ええ。Helix3.70に追加された新アンプモデリング、よいですもんね。

 

 ということで自分の復習/備忘録を兼ね、HX EDITを用いた「簡単な」プリセット作成手順を書いていこうと思います(当然、ハード側でも簡単にプリセットは組めます。操作の詳細はマニュアルか、楽器店のスタッフ様に訊ねましょう)。

 

 それでは実際の手順に沿って、GO!

 おっと、Helix3.70バージョンでの作成であることをここでお断りしておきます。

 

 

 

 最初はアンプとキャビネット。

 

 

 プリセットをイチから組む場合、私の場合だと最初に〈アンプとキャビネット〉を選定します。これが一番大事なところですから。

 とか言いつつ、アンプやキャビを置かず、エフェクツのみを設置する方法もあります。

 そうそう! 以前、アンプとキャビなしでアコースティックシミュレータを置いてみたところ、意外と良い音になって驚きましたから。PAやモニタースピーカーなどに送る場合は、この「アンプ+キャビなし」方式もご一考頂けたら。

 あ。下のX動画が確かそれ。バックのアコギ的掻き鳴らし音は、アンプもキャビも置いていないパターンです。

 ……2022年。2年前かあ。未だ腕前は上がらず。とほー。

 

  

 

 おっと、話がずれました。

 

 アンプとキャビを選ぶ際、欲しいサウンド傾向で大体のアタリを付けます。

 例えば、ハイゲインなプリセット用に、ハイゲインアンプ+12インチ×4発のキャビ。

 或いはクリーンなプリセット用に、クリーンアンプ+12インチ×1発のキャビ。

 などなど、「自分が目指す出音」へ向けて、アンプモデリングとキャビネットを組み合わせていくのです。

 各モデリングの選定は〈ひとつずつ体当たりで確認〉するか〈モデリング元になっている実機アンプのレビュー動画や音源を参照しつつ選ぶ〉とよいでしょう。

 

 因みにAMP+CABなら最初から相性の良いキャビ及びパラメータ設定までされていますから、不慣れな内はこちらを選んでもよい……のですが、アンプとキャビがセパレートされていると、別のメリットがあります。このメリットについては後述。

 あ。でもセパレートするとブロック数が一枠減るデメリットがありますね。

 HXSTOMPは最大で8つしかブロックが置けないので(置くブロックによってはDSPをかなり消費するので、それ以下)。後から説明するメリットが必要ないなら、AMP+CABでもいいかも。

 

 ってことで、今回は「クリーンに近いクランチサウンドを持つアンプモデリングで、キャビは12インチ×2発」を選びました。

 

 ※チョイスしたのはHelix3.70の新アンプモデリング〈Aristocrat〉。

 

 アンプとキャビを置いたら、ギターで音を出しながら調整していきます。

 アンプだけではなく、キャビ側のパラメータも弄りましょう。マイクを換えると音が劇的に変わるので、そこも重要です。

 また、Line6 HelixやHXSTOMPの出音は、実アンプと同じくギター本体のサウンドにかなり左右されますので、ご注意を。なのでプリセットを組む際のサウンドチェックには、メインで使っているギターをチョイスするのがお勧めです。

 或いは「P-90サウンドを活かしたプリセット」が組みたいなら、P-90が乗ったギターを使う、「シングルコイルのストラトハーフトーンをメインにするプリセット」なら、ストラトを用意する、など〈使うギターからアプローチして逆算的にプリセットを組む〉のも手です。

 更にギター側ボリューム、ピックアップセレクター、あればトーンなどを調整しながらテストして下さい。どのポジションでどんな音になるか。そこを確認しておくと音が決めやすくなります。

 

 んで、Helixは3.50よりキャビネットの大幅刷新が行われました。

 

 

 いやー、これが凄かった。

 おかげで、外部からIRを引っ張ってこないでもよくなった、と個人的に思います。

 っていうか、3.50以前も別にIR使ってませんでしたが!

 ともかく、現在のキャビネットはかなり使い勝手が良いと思います。

 もちろんレガシーで以前のキャビもありますので、そこを含めて選定してみて下さい。

 

 

 

 

 ブースターをかける。

 

 

 基本サウンドを決めたら、次はエフェクツです。

 このままで十分なのですが、もうちょいハリのあるサウンドにしたいので、ブースターを掛けます。

 ブースターはアンプの前段に置きますが、どうも歪み過ぎる感じが。

 なので、ゲイン量や他のスイッチを調整しておきましょう。

 

 ※ブースター。繋ぐだけで音が良くなる、ってアレ。

 

 もちろん、ブースターが必要ないならここはカットで。

 

 

 

 オーバードライブを置く。

 

 基本、ブースターは掛けっぱなしに。

 そして、リードプレイをするときのためにオーバードライブを設置します。

 

 ※今回は有名なあのオーバードライブをモデリングしたもの。

 

 やはり音を出しながら、微調整します。

 リード用とは言え、そこまでゲインアップしなくてもいいのでこんな感じ。

 もし「ライブの途中、1~2曲ハードロックやヘヴィメタルをやる」のなら、他にディストーションを追加して踏み分ける、で良いかもしれません。

 が、その際はフットスイッチの管理にご注意を(後述)。

 

 

 

 コンプも置きたい。

 

 ストラミング及びクリーンサウンドでのタッピング用にコンプを掛けます。

 

 ※コンプ。普段あんまり使わない。

 

 コンプレッサーは出音のレベルを整えてくれるため、

・音の粒が揃う

・ストラミングやタッピング時に発音がよくなる

・サステインが伸びる。

 などの効果があります。

 繋ぐ順番はギターの次くらいがお勧めらしいです。

 今回はブースター、オーバードライブの後にコンプのパターンにしていますが、この辺りは自由でいいはず。

 と言いつつ、普段使わないんだよねぇ、コンプ……。

 普段使いのメインプリセットだと、ドが付くシンプル構成で事足りているので。別枠としてクリーンプリセットを組んでますが、そちらには一応コンプを追加していますけれども!

 

 

 

 ディレイをかける。

 

 

 リード時のためにディレイもかけます。

 ここは用途によってディレイモデルを選ぶのがベター。

 単にディレイ音を足したいなら、シンプルディレイかなぁ?

 Line6 HelixやHXSTOMPには多数のディレイが用意してあります。結構面白い効果を持つものも多いので、ひとつずつ試しながら決めてもよいはず。

 で、設置場所はアンプとキャビの間に。

 

 

 ※ディレイ。今回はコレ。

 

 で、ここでアンプとキャビをセパレートしたメリットが!

 えーっと、わたくしの勘違いではないのなら「アンプとキャビブロックの間は、実アンプにおける〈アンプのエフェクトループにエフェクトを置く〉ことと同義である」と。

 ところがAMP+CABだと、アンプとキャビの間にエフェクトが置けないわけです。

 なので、セパレートしておくとこのようなエフェクツ設置が可能になります。

 

 ここでおさらい。

・アンプの前に置いたエフェクツ効果は、ギターシグナルにかかり、アンプ内部で増幅される

・アンプ以降(エフェクトループ)に繋いだエフェクツは、アンプ内で増幅された音にかかる

・実アンプだと構造的にキャビネット以降にエフェクトは置けない。そらそうだ。

・ただ、キャビからの出音にマイクで拾った音にエフェクトをかけることは出来る

 ってことで。

 

 アンプの前にディレイを置くと、出てくる音はかなりディレイ音が強調されています。

 これは「ギターシグナルに掛かったディレイ音が、アンプ内部で増幅されるため」です。

 もうちょいナチュラルなディレイ音にするなら、アンプとキャビの間、エフェクトループ該当部分に置くのがベターだと思います。もちろんギター直後にディレイを置いてレベル調整するなどの使い方でもよいのです。これはギターからアンプへ入るシグナルが変化することを音作りに活用出来ます。

 が、もしキャビから出た音にディレイが掛けたいなら、キャビの後に置きましょう。

 

 要するに〈ギターから出たシグナルのどの部分にエフェクツをかけたいか〉を考えてブロックを置くとよいわけです。

 この辺りは実機アンプまんまの考え方で良いと思います。

 例としてあげるなら〈ギターからブースターとオーバードライブをアンプインプットへ。空間系などはエフェクトループへ〉みたいな感じに。

 

 ただ、LINE6 HelixやHXSTOMPだと、ギタープロセッサ内の禁じ手はほぼありません。

 どこに何を置こうが、自分の好みのサウンドになるならよいのです。

 実機ではできないことすらイケてしまうのが、デジタルの魅力。

 

 実機と言えば、Line6 HelixやHXSTOMPの凄いところって〈実機の挙動すら再現している〉ことじゃないでしょうか?

 完全に同じ! って言うわけにはいきませんが、ある程度似た傾向で動作するように思います。ファズフェイスやオーバードライブなどのディス-ションブロックなんか、分かりやすい感じ? 

 だからこそ「プリセットを組む場合、各種実機レビュー+セッティングをそのままスライドして参考にし、HelixやHXSTOMP上で設定、後は微調整を繰り返す」がやれるんですよね。

 

 アンプに関してだと……Fender系は最高、でもMarshallサウンドが違う、という意見もあります。が、この辺りはユーザーそれぞれの捉え方、感じ方もありますもんね。元になったモデルを重視するより、出音重視がよいかも。

 ただし、実機アンプのセッティング動画なんかを参照するには、元になったモデルのモデリングアンプを選ぶ必要があります。面白いことに実機アンプのパラメータをモデリングアンプに落とし込むと、あっさり目指す音に近付くことも。もちろんデジタル機材なので微調整する必要もありますが、こういう方法もお勧めです。

 

 

 

 

 リバーブもかけたい。

 

 

 残響音が欲しいので、リバーブをかけます。

 

 ※リバーブはコレ。

 

 この位置だと「キャビで鳴った音をマイクで拾い、その音にリバーブがかかる」形に。

 更に、ちょっと強めに効果が出ているので手を加えました。

 

 ※こんな形に。

 

 これでリバーブ音が目立ちません。

 ただ、ダイレクトにリバーブが掛かってるぞ! ってのも良い。

 そんなときはリバーブを直線上に置いた最初のパターンにしましょう。おっと、ディレイもですが、リバーブ音もエフェクトブロックのレベルを下げてディレイ/リバーブ音を小さくする方法もありますよ。

 

 

 フットスイッチ設定。

 

 置いてきたエフェクツは、一部を除き常にオンにしません。

 フットスイッチなどでリアルタイムのオン・オフをします。

 

 HXSTOMPの場合、ストンプモードだと使えるスイッチは3つ。

 常にかけるブースターを除いても足りません。

 そこでフットスイッチひとつに対し、複数のエフェクトのオン/オフを設定します。

 

 ※別のプリセットですが……。

 

 例えば、上のスイッチ3は二つのエフェクトのオン/オフになっています。

 マルチプルってやつです。

 コレを利用すると

 

・スイッチ1はコンプ

・スイッチ2はオーバードライブ

・スイッチ3はディレイ+リバーブ

 

 に割り振れるわけです。

 この設定はHXSTOMPなどの実機だけでも行えるので、是非取説などを参照下さい。

 あ! HXSTOMPのフットスイッチ3は出荷時に〈TAP/TUNER〉スイッチで固定されています。

 グローバルセッティングから変更可能ですので、必要なら設定しましょう。

 下記リンクなども参照下さい。

 

 

 

 また、スナップショットを利用してエフェクツのオン/オフ制御も可能です。

 スナップショット1がブースターのみの「クリーン・クランチ」。

 スナップショット2がオーバードライブ+空間系で「リード」。

 スナップショット3がコンプとリバーブで「ストラミング」。

 このように用途別で設定するのもお勧め。

 もちろんスナップショットなので「同時にパラメータ変更」も加えても可です。

 

 

 

 プリセット完成。

 

 完成したプリセットはこちら。

 

 ※一部を除き、エフェクツはオフ。

 

 目標としたサウンドに近く……なったかなぁ? どうだろ?

 後は微調整をしていくといいはず!

 

 で、LINE6 ギタープロセッサですがもっと細かい部分の設定が可能でして。

 下の画像を見て下さい。

 これは〈ギター側インプットの設定〉画面になっています。

 ノイズゲートやギターシグナルの細かい設定(だけではなく、リアンプなどに用いるときの設定)ができるのです。

 

 ※インプット設定。

 

 あと、インプット設定があるってことはアウトプット設定もある、ってことなんですねー(本体側セッティングも注意のこと。ギターを繋ぐ場合のインプットはInst。アウトプットがモニタースピーカーやPAならLineにしないといけません。これ大事)。

 インプット+アウトプット設定も重要ですので、要チェックです。

 

 拘れば拘るほど、いろいろなことができるのがLINE6 HelixとHXSTOMP。

 が、特に難しく考える必要はありません。

 このようにポンポンブロックを置いて、パラメータ調整して、フットスイッチをちょちょっと決めれば、それだけで十分使えるのですから。

 

 あとはトライ&エラーでいきましょう。

 なあに、デジタル楽器ですからね。気楽なもんです。

 ガンガン使い倒すべし。

 ってことで宜しくお願い致します。