blogを書けと言われたので「LINE6 HXSTOMPでA/Bスイッチャールーティング」の話。

 

 

  仕事という頭脳労働(と一応言っておく)を重ねていると、様々な情報の断片が澱のように沈んでいって、結果「今やっていることとは全く別の何かが排出される」ようになるみたいです。脳の老廃物みたいだなぁ。でも老廃物と言うにはキチンとしているものも多いわけでして。

 

 先日、仕事絡みの本を読んでいるとき突然「あれ、LINE6HXSTOMPでA/Bスイッチャールーティングを組むとき、こうしたら楽しいかも」と頭に浮かびました。

 思いついたらすぐルーティングできるのがデジタル機材の強み。

 ってことで、仕事の手を止めて、ルーティングをカマして、こうしてBlogを書きます。

 決して仕事をさぼっている言い訳ではないのです。ないのですッ!

 

 

 改めてA/Bスイッチャーについて。

 

 

 わたくし、A/Bスイッチャーと言っていますが、「ABボックス」というのが一般的なようです。

 簡単に言えば、電気信号を切り替える、セレクトする機械でしょうか。

 ひとつの信号をAへ繋ぐか、Bへ繋ぐかを選ぶものです。

 当然全く逆の「AとB、どちらの信号を有効化するか」という使い方も出来ます。

 ※他、ラインセレクターなどAとB切り替え以外の機材もあります。

 

 では、何故楽器演奏でABの切り替えが必要になるか。

1)エフェクターやアンプセットを使い分ける

2)複数の楽器のどれを有効にするか選ぶ

 などの使い方があるからです。

 

1)は用意しておいた全く別のセッティングを瞬時に切り替えられます。

 例えばエレアコ用アンプとロック用アンプをチェンジする、とか。

 

2)は楽器の持ち替え時に威力を発揮するでしょう。

 エレアコと、フライングVを繋いでおけば、いちいち差し替えなくてもフットスイッチぽんで、変えられます。

 

 どちらもわたくしのような素人には必要ないものです。

 が、そういう機能も再現出来るデジタル機材があるなら試したくなるのが人というもの。

 特に人前で使う予定はありませんが、A/Bスイッチャールーティングを組んでみましたよ。

 

 

 

 例えばこんな。

 

 

 プリセット作成前、ある程度「どういう方向性で組むか」を考えなくてはいけません。

 まあ、今回は仕事中に思いついたのは「クリーンクランチ系に合うアンプとハイゲインアンプ二つ、或いは全く別のキャラクターを持つアンプ二つを瞬間的に切り替えるルーティング」です。HXSTOMPはブロック数とスイッチ数が限られますから、そこも予め節約方向へ持っていきます。整理整頓されたルーティングが目標です。

 

 今回は「コーラスを効かせたクリーンアルペジオと、ハードロックリフとソロが弾けるルーティングにする」をテーマにしてみました。

 

  ※簡単に組んだもの。

 

 単純なルーティングです。

 インプット → ブースター → A/Bスイッチャー

 これ以降はAとBに分岐します。

 上段・Aはクリーンで コンプレッサー → Fenderアンプモデリング

 下段・BはディストーションでFriedmanアンプモデリング

 合流後は コーラス → ディレイ → キャビネット

 です。

 

 ポイントはA/Bスイッチャーの位置と設定でしょうか。

 

 ※Aルートを100にする。因みにミックス状態にして2つのアンプを同時に使うと、良い音になることも。

 

 こんな感じに設定し、フットスイッチを設定すれば切り替えになります。

 

 ※左から「コーラス+A/Bスイッチャー切り替え、ディレイ切り替え」。

 

 ただ……コーラスがオンになっていると、Bルートも影響を受けているような。

 それどころか並べたエフェクターをオフにしていても音が変わっている気がしないでもありません。これはどういうことだ、と思いつつスルーします。……Helixで2系統のシグナルフロー(信号の流れ)を組んじゃえば、こういうことはないのでしょうけれど。

 

 また分岐前にブースターを置いたのはブロック数を節約するためです。

 ただブースターによってはクリーンでも歪みでもブーミーな低音が出ることも。

 初めに置いたXotic EP Boosterがまさにそれでした。

 改めてKlon Centaurモデリングのオーバードライブにしたところ、問題解決。

 この辺りの組み合わせも現物併せて気に試さないといけません。

 

 

 

 

 ブロックは置いたものの。

 

 さて、ここまでお膳立てしてみましたが、サウンド面がイマイチ。

 クリーンは歪んでますし、ディストーション側は低域が膨らんでいます。

 各ブロックのパラメータを弄りながら調整しましょう。

 

 まず、各アンプのパラメータを変更して、ある程度好みのサウンドにしておきます。

 意外とクリーン側が歪むのでゲインを下げましたところ、音量が下がりました。

 こちらを立てれば、こちらが立たず。キー!

 そこでアンプ側ゲインはそのままに、ブースターのKlon Centaurを調整します。

 ゲインパラメータを減らしてみると、なかなか良い感じです。

 ところが、歪みのBルートへ切り替えると音が薄くなったような……。

 

 そこでスナップショットを活用することにしました。

 

 ※HXSTOMPのスナップショットは3つ。そしてネームなどのカスタマイズが出来ない。

 

 

 スナップショットの設定は

 

1)Aルート Klon Centaurのゲイン低、レベルを上げる。コンプとコーラスON

2)Bルート Klon Centaurのゲインアップ、レベルは下げる。他エフェクトOFF

3)2から Klon Centaurのゲインを僅かにアップ、ディレイをかけたもの。

 

 にしてあります。ポイントは歪み側Bルートへ切り替えた際、コーラスはOFFにすることでしょうか。ある程度影響を抑えることが出来ますから。

 

 これで「アルペジオ用クリーン」「リフ用」「リード用」が瞬時にチェンジ可能です。試してみたら音切れどころか、自然な感じにクリーンから歪みへ変わります。

 

 ※Klon Centaurブロック。パラメータがスナップショットモードになっている。

 

 これでとりあえず使えるレベルまで持って行けました。

 ただし、Bルートのハイゲインアンプをもう少し太くしたいところです。なので、スナップショット時に〈アンプパラメータの中~低音を上げる〉を加えてもよいかも。

 

 

 

 ぶっちゃけますと。

 

 

 ぶっちゃけますとフットスイッチが足りません

 クリーンでストラミングをするとき、コーラス要らないなぁというときにオフスイッチが欲しいわけで。でも、スイッチングとディレイでフットスイッチが埋まっているのです。

 いや、上手く設定すればよいのか。何か方法があるかも。

 

 更にぶっちゃけますと、DAWだとこのルーティングは要らないんですよねー。

 何故なら、録音時にリアルタイムで切り替えなくて良いから。

 クリーンを録って、次に改めてリフを弾いて、そして最後にリードを入れる、のような手順を踏めるわけですからねぇ。

 

 しかしながら今回のルーティングテーマはどちらかというと、ライブでのリアルタイムサウンド制御用なのです。

 ただわたくしがスタジオなんぞで使うのはシンプルセット。あってディレイくらいで良いですし。クリーンが弾きたきゃ、ギターかペダルでボリューム絞れ! ってなもんで。

 そもそも、わたくしがやるライブはトークライブくらいですから、楽器が要らないという罠。

 とは言え、そんときギター漫談するときに必要……かッ。

 いやまて。

 皆様、わたくしのギター漫談が聞きたいのかどうか、ってことから始めなはれ。

 

 いつかギター漫談できるよう、これからもプリセットの作り方を学ぶぞ!(努力の方向性を間違えている気がしないでもない)

 

 で。

 実のところ、HXSTOMPの場合は「クリーン設定のアンプにディストーションエフェクトで〈クリーン/歪み〉切り替えにする。他、エフェクタを置いて、纏めてONOFF+パラメータチェンジできるようスナップショット設定する」が一番楽なんじゃないだろうかと思います。A/B切り替えなんかせずに。

 全てを台無しにするこの手腕よ……。