熊本でちょっと不思議だったこと……の前に。

 

 熊本怪談は2023年9月29日発売です。

 目印はこの表紙。帯から顔を覗かせた河童さんがチャームポイント。

 ※出ますよ。お手にとって頂けたらとても嬉しいですッ(直球)。

 

 ってことで販促完了。

 

 

 熊本城。

 

 熊本市を訪れると、街の中から熊本城を目にすることが出来ます。

 現在も復旧を進めている途中です。石垣などに未だ地震の爪痕が残っており、完全に修復を終えるのは2052年予定となりました。

 そういえば、壊れた石垣内部から石に彫られた人物画が見つかり〈当時、石垣が崩れぬよう、工事が安全に進むよう、願ったものだろう〉と言われています。ある種の呪い(まじない)なのでしょう。

 城などはこのような〈呪い〉を施されることが多いようですね。

 

 この名城・熊本城には数々の逸話が残されていますので、そこも見所だと思います。

 例えば、大銀杏絡みの銀杏城・熊本城とか。

 そう言えば銀杏の木は燃えにくいので、火除け地に植えられることが多かったようです。

 もちろん熊本城だけではなく、日本各地にあります。

 ただ、熊本城の銀杏の木は西南の役・西南戦争で焼けています。

 

 西南戦争と言えば、日本国内最大・最後の内戦。

 西郷隆盛公率いる薩摩軍(士族軍)と政府軍(官軍)との戦いは、苛烈を極めました。

 様々な立場・地域の人たちが入り乱れるが如く関係しています。例えば、薩摩の同郷である西郷隆盛公と大保利通公が敵対関係になっていたり、とか。

 また、熊本県側の人達が薩軍について戦争に参加や、薩軍・官軍関係なくけが人を治療したなどの記録も残っているのです。

 

 そういえば熊本城に官軍側が籠城し薩摩軍と闘った際、天守・本丸御殿が焼け落ちましたが、これもまた謎に包まれているようです(諸説あります)。

 

 熊本城。熊本県を訪れたら一度足を運んで頂いて、歴史に思いを馳せてみることをお勧めします。

 

 ※通街(とおりちょう)より熊本城を望む。

 

 

 

 

 余談。

 

 そういえば人吉市取材に関して、いろいろなエピソードがあります。

 何年も前、〈ある話〉を追いかけていたときから人吉市にも足を運んでいました。

 この〈ある話〉は……と、今回はblogに書きません。

 あ。いろいろなエピソードがあって、未だ書いていない話があるのは人吉市だけじゃありませんよ。念のため。

 

 で。熊本怪談には意図して書かなかった話があります。

「今回は書かない」と判断した体験談が幾つも存在しているのです。様々な理由がありますが、単純に言えば「本の構成の兼ね合いと共に、今はまだ書かないほうがよい」からでしょうか。これは熊本県全域に渡る話も含まれます。

 

 実は執筆前、熊本県の様々なところを歩きながら全体構成を決めていった経緯があります。熊本県も広いですから、何回かに分けて、なんですけどね。

 何故そういうやり方をしたのか、今も分かりません。

 ただ、そうすべきだと思ったからです。

 

 その中で、2020年7月4日球磨川氾濫の痕跡を改めて目の当たりにしました。

 2023年の現在も復興や復興支援に向けた動きは続いています。

 その中には、人吉市出身の内村光良氏が人吉市で映画を撮ったり、また熊本市出身の行定勲監督が人吉市で映画祭を行ったりといったエピソードもあります。

 

 災害の痕跡。

 構成を決めるために歩いた熊本県下には、様々な災害の爪痕が未だ残っていました。

 しかし、熊本県の皆様のお姿を見、お話を伺って思いました。

 復興に向け、走り続けている! と――。

 思うがままに書いてきたせいか、このパートは上手くまとめられません。

 わたしにとっても縁深い地・熊本県、だからというのもございます。

 申し訳御座いません。

 

 

 ※ある建物に残された球磨川氾濫の水位。

   KUMAGAWA riv. Flood Line 4.7m

   球磨川 氾濫線 4.7メートルまで水位が上がった痕跡です。

 

 

 

 そしてまた余談。

 

 さて、ここからまた少しトーンを変えて。

 

 今回、仙台怪談から打って変わって、独りで書いてます。寂しい。

 で、余談として執筆の裏側を少し。

 熊本怪談の場合はぼっちだったので「企画(以下略。企画立案時からの詳細、仕事内容に関して書いていたけれど消しました。けけけけけ)」とかを独りでやりました。あ。でも基本的に原稿を書くのは大体独りか。

 それでも寂しい。ぼっちすぎる。

 

 で、写真整理しているとき、とある画像を表示すると滅茶苦茶PCが重くなりまして。

 表示に時間が掛かるどころか、そのままハングアップすることもありました。

 他に立ち上げたソフトはない上、他の重くなる原因はキチンと潰しています(例えば、後ろで動作している余計なものを停止させるとか。方法はいろいろあります)。

 それでも重い。作業が進まない。

 これは何か原因があるんだろうなぁと言うことで、画像を入れたフォルダに対し、ある事を行っておきました。

 そしたらサクサク動き出しまして、ね。

 ふむ、やはりそう言うことだったのかと納得しつつ、そのある事を行った画像のみ編集氏へお渡ししました。だからなのか、問題なかったようです。

 

 と言う余談でしたが、あれ? これもちょっと不思議だったことだ。

 本題として書けば良かったのかな?

 

 

 

 

 やっと本題。

 

 

 こうして編まれた「熊本怪談」ですが、取材中に少し不思議なことがありました。

 

 まずひとつは、前も書いた「予期せぬタイミングで出てきた場所」でしょうか。

 基本、取材時は道に迷わないようカーナビを使って移動します。

 もちろん出発地、経由地、目的地をきちんと入力しますので、だいたい問題なく進みます。

 

 が。

1)ある場所を指定したら、普通は通さない道へ案内された

  → 阿呆みたいに細い道。そして行き止まり。嫌がらせかというレベル。

 

2)ある場所を指定したら、予想より時間が掛かった

 → 通過可能な地点を大きく迂回したルートに「勝手に」なっていた。

   その地点は某スポットだった。

   後日、改めて同じ設定をカーナビに入れてみたが、迂回ルートではなかった。

 

3)ある場所を指定したら、そこには行き着かず、別の場所へ着いた

 → そこも取材対象の地だったが、後で行くつもりで入力していない。

    なのにそこへ案内された。到着すると「目的地です」音声は出た。

 

4)ある場所を指定したら、車が通過できない細い道を指定された

 → 軽自動車やバイクでも無理な道幅な上、ナビに表示のない道。

   単なる建物の隙間で、車どころか人間すら通り抜けられない狭さ。

   そこの近くでただ「左です」とだけアナウンスされる

 

 うーん。どういうことだ。

 カーナビのエラーとしてポピュラーな感じですが、全部タイミングがねぇ……。

 ただ「話は聞かせて貰った! 地球は(略)」みたいなパターンで全てをそういった話に結びつけるのは危険なことです。でも、ちょいと厭な感じでございました。

 何て言いつつ、悩む時間も勿体ないので、とにかくガンガンいこうぜ! で御座いましたよ。

 こちらは仕事なんだから、そういう類いの邪魔は跳ね返して行くべし。

 そして跳ね返した。どうだ!

 

 ※田原坂 崇烈碑。

 

 あ。熊本取材中に食べたものは美味しかったです。

 名物は食べませんでしたが、基本食材が美味しい。

 水、米は言うに及ばず、牛乳・乳製品、肉、魚、野菜……全部。

 よい水と肥沃な大地、豊かな海、あと空気のお陰だと思います。

 今度行ったら食べたいもの、行きたい店があるんですが、どなたか案内してください。

 そしてゴチソウしてください。

 

 

 

 

 更に少し不思議な話。

 

 

 熊本怪談の中に有名スポット「Sなんちゃら(伏せます)」ってところについて書きました。

 実は何年も前に行ったことがあったのですが、その際に通った道・ルートはとにかく草っ原というか、背の高い枯れ草に覆われたものだったんですね。

 人が踏んだ後は残っていたので、そこを使って侵入する人は多かったのでしょう。

 しかし左右から伸びる草にいささか苦労しました。

 そして草むらを抜けるとその「Sなんちゃら」の入り口が唐突に出てきます。

 ほー、と感嘆の息を漏らしたことを昨日のことのように思い出せます。

 

 で、熊本怪談でもそのルートについて書きました。

 取材時に聞いたルートもわたくしが上った道と同じもののようでしたから。

 幾つか確認してみたら「ああ、あそこだなぁ」と。

 車を停める場所もほぼ同じ。周囲の状況も同様。

 

 で、書いた後に追加・再取材で熊本を訪れたときです。

「Sなんちゃら」へ改めて再訪しました。

 ところが記憶と違うんですよ。自分が上った道の景色と違う。

 別ルートがあるのかと周囲を探しましたが、見つけることは出来ませんでした。

 唯一「ここからじゃないか」という場所はありましたが、何か違うんですよね。

 これは自分の記憶がおかしくなったのかと、数年前同行した方に確認してみました。

 あの日はどういうとこに車を停めて、どんな道を上りましたっけ? と。

 答えはわたくしの記憶と全く同じでした。

 背の高い枯れ草を掻き分けながら、上っていくと突然――。

 

 ところが再訪時にはそんな道ではなかったですし、他のルートも発見できず。

 あれは幻の道なのでしょうか?

 でも、実際に昼間と夜、両方歩いた記憶があります。

 今も引っかかっている現地取材でした。

 

 ただ、こういった場所の殆どは私有地なので侵入しないようにしましょう。

 これ大事。

 

 

 

 

 

 

 他にもいろいろあったんですが。

 

 

 取りあえずここまでにします。

 日本中何処へ行ってもこんな感じ。

 毎度毎度、何か少し不思議と出会うのがデフォで御座います。

 

 ※田原坂 美少年像。

 

 そんな取材の賜「熊本怪談」。

 是非、読んで下されば幸いです。

 

 ボーダレス・ぼっち Musth 久田樹生