blogを書けと言われたので「Helix3.50」の話。

 

 LINE6のHelixシリーズに、久々のファームウェアアップデートが来ました。  

 Helix3.50です。  

 ひと言で言うと〈凄い〉そして〈驚き〉。  

 Twitterでも載せて貰いましたが、少々詳しくお話ししたいと思います。

 

3.15から3.50へ。

 

 今回の「3.50」アップデートは、LINE6 Helix 発売の2015年以来、「最大のサウンド面の改良が施され」たようです。  

 前回のバージョン、3.15から3.50ですから、大幅なアップデートだと分かります。が、メジャーアップデートではありません。それでも「最大のサウンド面の改良が施され」るレベルで変更が為されています。  公式サイトから引用すると

 

 〈HelixとHX ハードウェア・デバイス用のHelix 3.50ファームウェア・アップデートおよびHelix Nativeプラグイン用3.50ソフトウェア・アップデートでは、まったく新しく開発されたIRベースのスピーカー・キャビネット・エンジンが搭載され、2015年のHelixの発売以来最大のサウンド面の改良が施されました。今回追加された20種類のギター・キャビネットと4種類のベース・キャビネットでは、12種類のマイクロフォンが選択でき、キャビネットに対してのマイクの角度、位置、距離を変更することが可能です。また、HX Edit 3.50エディター・アプリケーションを使用すれば、マイクをドラッグしてより簡単に、そしてより正確に配置することが可能です。新しいキャビネット・モデルは、こうした大幅なパワーアップを遂げているにも関わらず、Helix Coreの改良により、バージョン3.15以前のキャビネットと比較して約1/3から1/5程度のDSPしか消費しないため、DSP効率も大幅に向上しています。さらには、5種類のアンプモデル、7種類のエフェクト、Dual IRブロックや、その他の改善が追加されています〉  

 

 これを読むだけでも、どれだけの改良が行われたか伝わってきますね。

 

実際にアップデートをしてみた。

 

 早速ですが、アップデートをしてみました。  

 とはいえ、HXSTOMPのみです(Helixは時間が掛かるらしいので、後からにします)。  

 アップデートの際、手順に気をつけましょう。  

 

1)まずHX EDITをアップデートします    

 ※Helixなどをパソコンに接続し起動、アプリケーションを立ち上げると最初に「アップデートを」と出てきます。 アップデート後、再起動になります。  

 

2)次にギタープロセッサ側のアップデートをします。    

 ※これも再起動後、プロセッサを繋いだ後アプリケーションを立ち上げると、アップデートの指示が出てきます。この際「ユーザープリセットバックアップ」指定もありますので、しておきましょう。  

 

3)アップデート後はファクトリーリセットを行い、バックアップデータを読み込みます(データインポート)。   

  ※ここまででアップデートは終了です。  

   ファクトリーリセットとデータインポートは大事ですので、お忘れなく。  

   ※データを復活させるとファクトリープリセットは「バージョンアップのプリセット(CABがレガシー)」になります。要注意です。もしファクトリープリセットを3.50 のままにしたい場合は、LINE6公式のリリースノートを参考にして下さい。

 

 アップデート後、復帰させたユーザープリセットのCABブロックは〈レガシー〉になっています。以前のCABが全てレガシー枠になっているからです。  

 ただし、以前のまま、レガシー状態で弾いてみても以前と少し感触が違います。  

 音そのものが良くなっているような気が。 〈Helix Coreの改良〉によって、CAB以外のデータもある程度改善された部分が出てきている可能性があるのでしょうか。

 

 ※アップデート後そのままの状態。CABがレガシーのものになっている。

 

 現状を確認後、CABのみ変更します。  

 以前使っていたモデルと同じものと差し替えてみました。  

 あ! これは初期パラメータでも十分に良い音ですね。  

 驚きました。  

 以前のCABも不満のない良い音と感じていましたが、今回はナチュラルさが際立っています。更に密度感、分厚さが実機っぽいです。  

 ハイゲイン/クリーン(あまり歪まない)アンプ両方で試してみましたが、かなり良い感じになっていますね。

 ヘッド×キャビ、いろいろ試すと意外なマッチングが出てくるかも。

 

新CABについて。

 

 新CABですが、以前のCABから省かれた要素以外に加えられたパラメータが多くなっています。  

 カットされたのはアーリーリフレクションです。  

 加えられたのはマイク用の「ポジションとアングル」になります。  

 また、デュアルCABにするとディレイ(2台のCAB間用)が加わります。  

 

※新CABシングル。各種パラメータ及びマイキングの新要素が分かる。

 

 ポジションとアングルですが、かなり重要です。  

 例えば、ポジション。CABのスピーカーの〈どの位置にマイクを当てるか〉になりますが、これがかなり音に影響を及ぼします。  

 スピーカー中央に寄せれば寄せるほど、高音域が出てきてアタックが効きます。 離していくと柔らかくなる感じですね。  

 

 またアングル(マイク角度)を斜めにすると、Edgeが削がれたようになり、ソフトな感じに聞こえます。  

 

 この二つさえ覚えていれば、あとはマイク距離(ディスタンス)+マイクの種類を変えても設定は弄り易くなるはずです。この新パラメータは実機アンプ&マイキングシミュレータ的な趣もありますので、とても楽しい機能でもあります。  

 

※新CAB、デュアルの場合。マイキングなどの状態が分かる。

  因みにCAB名称リストの上、Dualと書いてある右側に見慣れない記号が表示されているのが分かるだろうか? これは「リンクさせて、1台目にマッチングした2台目のキャビを自動で読み込む」かどうかを決めるもの。

  リンクさせるかどうかは、プリセットを作るときに決定を。

 

 またデュアルCABですが、それぞれ違うモデル+違うマイクモデルにしつつ、各パラメータも変更可能。更に出音にディレイを掛けられますから、ステレオ出力の場合、実に広がりのある音が出ます(モノラル出力だと効き目がないというか、変な音になるかも知れませんのでディレイは掛けない方がベターです)。サウンドメイクの幅がかなり広がったと言っても過言ではないでしょう。

 

 またスナップショットを活用すれば「1プリセット内でマイキング設定変更」も可能になります。

〈バックは少し柔らかめで、ソロはエッジの立ったマイキングに。アウトロのみトレブルをマイクを変更する〉など、アナログ機材だと難しいことが簡単に切り替えられるわけです。

 ここにアンプやエフェクターなど組み合わせ・パラメータのスナップショットが加わると、とんでもないパターンが生み出せます。

 これもまた、新CABの恩恵です。

 

 

微調整の必要性。

 

 これまで作ったユーザープリセットのCABを全部新CABへ入れ替えてみました。  

 結果、分かったのは「それぞれに微調整が必要になったこと」です。  

 最初のままでもいい音なのですが、目指す音と僅かに違うように聞こえるのです。  

 取りあえずマイクは「57 Dynamic」へ変更しつつ、距離と位置を若干弄ってみたところ、意外と良い感じに落ち着きます。もちろんこれから更に調整は続くのですが、今回の新CABは音がすんなり決まりやすい印象を持ちました。  

 うん、これは素晴らしい。  

 

 また、ヘッドフォンでのモニターをしてみましたが、以前より耳当たりがよいですね。真夜中、どうしてもプリセットを作りたい、モニタースピーカーから音を出さずに使いたいときにも問題なくヘッドフォンでチェックできます。以前はモニタースピーカーから出た音と違う気がして使っていなかったのです。今回はさほどイメージのズレもないので、実用できますね。

 

弾くのが楽しくなるアップデート。

 

 以前、IR(インパルスレスポンス)を試してみたことがありますが、確かにいい音だけれど、LINE6のハイブリッドCABで十分だと判断していました。  

 ところが今回のアップデートの新CABは予想を超えて来て……。  

 ギターやベースを弾くのが実に楽しくなるサウンドです。 

 

 更に、追加されたエフェクツとアンプも良い感じ。

 とくにディストーションは808系の使い方で試してほしいところ。 

 

 あ。そして特筆すべきは「新CABはDSPへの負荷が減った」ことでしょうか。

 HXSTOMPはなおのこと、Helixなど他の場合も諸手を挙げて喜ぶべき要素です。

 特にHXSTOMPの使用ブロック数8は変わりませんが、プリセット及びサウンドに関する全体に影響するはずですから。しかしそこまで軽量化してこのサウンドとは……。

 

 ネットのサウンドサンプル動画を見るより、実機で設定して音を出してみてください。百聞は一見にしかずです。  

 多分、動画の音より実機の方が驚きがありますので。

 楽器店によっては試奏もできますので、要チェック。

 

 

 

 

 

 ※リリースノートが発表されました。

   バックアップデータ復帰とファクトリープリセットの関連や、バグフィックスについてなどいろいろ発表されています。一読の価値ありです。