トウモロコシ。
 漢字で書くと玉蜀黍。いや、実に全てを表しております。
 あ。考えてみたら我が家は「とうきび」って称してました。

 よく食べられるのはスイートコーンで、とっても甘い品種です。
 採れたてだと生で食してもかなり美味しいもので、実に感動モノ。あまり生食はしないほうがベターですけれど。
 しかし、玉蜀黍ってどんどん甘くなっている気がするんですよね。
 品種改良の結果か、それとも栽培方法の変化からなのか。
 昔の甘くない物も懐かしいですが、今の味もたまりません。
 茹で上げたり、焼き上げたりしたものにざっくり歯を立てると、粒が小気味よく弾けて甘い汁が口の中へあふれ出ます。その甘味はあっという間に舌の味蕾を開かせて、気がつくと一気に一本食べ終えている……って寸法です。
 
 玉蜀黍を食べるとき、ふと思い出すのは「トウモロコシ畑の子供たち」でしょうか。
 言わずと知れたスティーブン・キングの短編小説です。
 Children of the Cornが原題ですが、後に映画化もされました。
 原作である小説版と全く違う仕上がりでキングは否定的でありますが、私自身はあの独特の雰囲気や色味が嫌いではありません。

 ここで思い出話をすると、キングを薦めてくれたのは、とある友人です。
 この人、小説から映画、音楽まで幅広く、深く楽しんでいる趣味人といえましょうか。
 常に「これがよかった」「あれがいい」などなど、教えてくれました。
 おっと、過去形で書きましたけど、現在も同じです。
「これ、いいよ!」って連絡をくれては、その度に私は「おおう!」と驚くのです。
 おっと、話を戻しましょう。
 小説版を読ませてくれたこの人は、次に映画「トウモロコシ畑の子供たち」を見せてくれました。
 いやー、楽しい時間だったなぁ……。
 玉蜀黍を食べると、キングの小説と映画にプラスして、このときのことが蘇るのです。

 そうそう。
 玉蜀黍って、炊き込みご飯にしても美味しいんですよ。
 お米二合にだいたい生のとうもろこし一本の分量です。
 水の分量は白米と同じ程度。
 お米を研いだら、分量の水に浸して三十分から一時間ほど給水させます。
 そこに包丁でそぎ取った(或いはかつらむきの要領で粒だけ剥いた)身と、塩少々。塩は二合だと小さじ一くらい。
 そしてここが肝心!
 残った玉蜀黍の芯を二~三等分して、一緒に炊き込みます。
 玉蜀黍の芯から出汁が出るからです。
 炊きあがったら芯を取り除き、ざっくり掻き混ぜて完成です。
 玉蜀黍の香りと旨みがぎゅぎゅっと詰まったこのメニュー、初夏の炊き込みご飯なので、季節感もありますよね。
 生の玉蜀黍が手に入ったお試しあれ。