初エッセイ、そしてBlog内初連載。
ですので、まずは「ご挨拶」から始めます。
初めまして。或いは、お久しぶり(?)です。
久田樹生と申します。物書き・作家をしております。
なんだかんだでデビューからねちねちと物書きを続けておりますが、これもひとえに読者の皆様、そして版元の皆様、そしてご協力頂いた方々のおかげです。
ほんとうにありがとうございます。
さて「挨拶」。
私、朝が弱いのでおはようの挨拶が苦手です。
ほとんど開いていない目のままで、鼻から抜けるような小さく、掠れた声しかでません。
「……おはようございます……」
相手は元気に「おはようございまーす! 何、今日も目が死んでるゾ! はははは!」なんて返してくるわけですが、正味の話、あなたは何故そんなに朝っぱらから生き生きとしているのだ、いや、それよりなんでそんなに大きな声が出せるのだ、それに目が死んでいるんじゃない、これは目が開かないだけなのですッ! と言い返す気力もありません。
事務所の椅子に力なく座り、目の前の仕事と貼り付けられたメモを眺め、(さあ! やるぞ! 今日も元気だ! お仕事大好き!)と心で宣うだけなのでございます。ああ、ノートパソコンの蓋が重い。開けられなーい。はっはー。
この状態は、だいたい、朝十時のお茶をするまで続きます。
だからその前の時間帯にクライアントさんから電話が来たら、相手から心配されることも多いわけです。
「……風邪ですか?」
「……何かあったんですか?」
「……怒っていますか?」
「……私、何か至らぬ点がございましたか?」
本当に申し訳なく思います。風邪でも、何かがあったわけでも、怒っているのでも、あなたに至らぬ点があるのでもないのです。
あるのは、私が朝弱い、その事実だけ。
何故こんなに駄目なのでしょう。
我が家系で朝が苦手な人間は誰ひとりいなかったと記憶しています。
それこそ、父母はどちらも早起きで働き者でしたし、姉たちは朝からジョギングへ出かけるほどのハツラツさでした。
それに私、血圧が高くも低くもないので、そこも理由にはなりません。
では夜型人間か、ってこともないのですね。夜はすぐ眠くなりますし。
でも、朝は更に役立たずと成り果てるのです。
布団から出ても立ち上がれず、そのまま四つん這いで進みドアに頭をぶつける。
キッチンでココアを作ろうとしていたらマグカップを宙に舞わせて、辺り一面茶色の状態になり、呆然としたまま立ち尽くす。
階段を下りているとき、残り四段あたりで(ここから下へ飛べばひとつひとつ下りなくて済むじゃん)と判断し、ぽいんと飛び降りた……はいいものの、踏みきり大失敗して転げ落ちる、とか。
あれ? これは、ただの駄目人間の行動だゾ?
でもやっぱり、挨拶は大事。
我が事務所では「オアシス運動」励行を所是としております。
オ「おはようございます」「お疲れさまでした」
ア「ありがとうございます」
シ「失礼します(失礼しました)」
ス「すみません(すみませんでした)」
特に、事務所外のお相手にはきちんと挨拶を返すこと、を指導しているのですよ。
直に顔を合わせたとき、電話のとき、メールなどのとき。
できる限り早いレスポンスで挨拶を返しなさい、特に「ありがとうございます」と感謝と伝えることは大事よ、と。
いくら朝眠くても、駄目人間でも、まずはきちんと挨拶が大事なのです。
が。今日も今日とて「……おはようございます……」と声が出ません。
私に、晴れやかで爽やかな朝の挨拶が出来る日は来るのか。
来ないだろうなぁ……。