こんにちは、中吉カレンです。
話題の映画「メッセージ」を見ました。宇宙からの訪問者とのコンタクトのお話。
深くて難解なテーマを、あぁこのように表現したんだなと、作り手側の思いや意図を解読していくことが好きなら、きっと堪らない作品です。
個人的には、美術スタッフの仕事が素晴らしいなと感じました。
ばかうけそっくりな宇宙船の形も宇宙人の姿も、センス良く(ギリギリ)愛らしい。
そのコミュニケーションの作法たるやまるでアート作品のようで、
ひとことでいうと東洋的というか「和テイスト」? ⇒見れば分かります。
主人公の女性は言語学者なので、世界中の言語を自由に操る。
そこに「時空を超える」というミステリーがあってね…
ネタバレしないようにあまり書かないけど…
「時間」というのはこの作品の大きなテーマです。
そして、西洋的な“左脳的・論理的思考の限界”というものも示唆されています。
宇宙からの来訪者に対して
「目的は何か」「何が欲しいのか」と即座に戦闘モードになる我々人間ども。
彼らははるかに高度な文明から来ているのであろうし、
べつに目的なんかないかもしれない。
ちょっと遊びに来ただけかも。
…という視点が一切ない国際社会が大混乱するさまは、ばかばかしいけど笑えない感じ。
この映画はアメリカの作品ですが、わたしが最近思っていることのひとつに、
いわゆる「ZEN」的な概念の強み、があります。
作品中、宇宙人とのコミニュケーションに使われる文字の意匠は、
”西洋からみた東洋”の象徴のようにも思えました。
漢字に代表される「表意文字」の文化って、英語を始めとするラテン語起源の文化圏からみるとやはり新鮮で魅力的なのかも。
きっとそうに違いないとわたしは思うのだけど。
そのいちばんの違いが、表意文字の文脈には「時制がない」ということ。
日本語を操るわたしたちは、過去形と現在形と未来形の区別が明確にない文法に慣れていて、
だから西洋の言語を習得するのが難しいとも(自己卑下的に)よく言われている。
でも、それはスピリチャルな側面からみたらとても進化した側面なのかもしれない。
「時制がない」言語を日常的に操っているって、じつはアドバンテージなんじゃないかな。
「ことば」に興味のあるひとは、ぜひ観ることをオススメします。
インスピレーションをもらえるから。
いい映画の定義って 人によってさまざまだとは思うけど、
見終わったあと1日たっても2日たってもふと思い出しては考えて、また思い出して、の繰り返しになる作品は間違いなく記憶に残るいい映画(わたしの場合)
いつまでも味わっていたいアメ玉のような…
モヤモヤも含めてしあわせな後味です。
エンターテインメントな大作のよさとは対極にある、いろいろと刺激される作品でした。
*以前からよく言われてきた「本や映画のレビューを書いて欲しい」というリクエストに
今後は、少しずつお応えしていこうと思っています。
よかったらこれからも読んでくださいね!
中吉カレン