犬の「消化」について今日はマニアック過ぎる解説。
昨日から、
「手作り食をがんばりたいが獣医さんの賛同が得られない。
そうしているうちに自分の中でも犬の食事について色々疑問が出てきた」
というボストンテリアの飼い主さんのご質問に
メルマガ上で回答しています。
◎前回のメルマガ記事はこちら。
http://officeguri.xsrv.jp/pchan/public/l.php?0001&0&273m2
今日はその中のこのご質問にお答えしていきますね。
↓ ↓
>蛋白質・炭水化物・脂質という身体を作る栄養素を低分子化させるために
>必要な消化酵素を補って少しでも腸の働きを助けれたらと思っています。
>食材ならキウイやパパイヤ、大根などを使いますが、他にバリエーションが思い浮かびません。
>炭水化物を低分子化する役割のある食品には何があるのでしょうか。。
>もし良かったら講座の時でもお聞きできればと思っています。
まず、消化に関する基礎的なことをお話します。
過去にもこのメルマガで
「犬におじやなど消化のいいものばかり与えると
胃腸の消化能力が落ちるのではないかと心配です」
というご質問に回答したことがありますが…。
「消化」
についての正しい認識があると、またこうしたご質問に対し
見方が変わってくるので今日はそのお話をしますね。
■胃での消化には2段階ある
■酵素はたんぱく質
↑
これが「消化」を考えて行く上でのキーワードとなります。
■胃での消化には2段階ある
胃での消化について。
ざっくりいうと胃では2つの消化活動が行われています。
ひとつは胃そのものが動いて「食物を細かく砕く」という”物理的消化”
もうひとつは「胃液」による”化学的な消化”
■酵素はたんぱく質
「たんぱく質」って環境によって変化します。
卵をイメージしてください。
お湯でゆでるととろとろの生卵は
茹で卵になって固くなりますよね?
また、洗剤の多くは「アルカリ性」です。
これは、垢などのたんぱく質汚れがアルカリによって
構造がゆるんだり分解されたりするためです。
だから汚れが落ちやすい。
あと、牛乳にレモン汁を入れてかき混ぜると
簡単なカッテージチーズができますが、
○○さんもご自宅で手作りされた経験はありませんか?
これはレモン汁=「酸性」によってやはり
牛乳に含まれる「たんぱく質」が変化するためです。
●タンパク質は熱によって性質が変化する
●「酸性」「アルカリ性」にさらされても変化する
●酵素もたんぱく質なので、「熱」「アルカリ」「酸」にさらされると
活性を失ったり、性質がかわる。
↑
この3つ、大事なのでよーく覚えておいてくださいね。
ここで、胃による「化学的消化」に話を戻します。
物理的消化は何となくイメージがつくと思いますが「科学的な消化」となると
なんじゃそりゃ?と思われる方も多いと思うので
もっと噛み砕いてお話ししましょう。
胃液の中には「ペプシン」と言う消化酵素が含まれています。
(※これは犬も人間も同様です)
これは「たんぱく質を分解する消化酵素」として良く知られています。
化学的消化では、栄養素を「分子レベル」で細かくして
小腸で吸収できる形にする、ということを行っています。
よく「犬の消化吸収を助けるためには、すべての材料を
フードプロセッサーで細かくした方が良いのでしょうか?」という
ご質問もありますが、これはあくまでも「物理的消化」の方になります。
胃での運動量を減らし、食べ物の滞在時間を若干短縮はできますが、
最終的に食べ物は
「小腸で吸収可能な分子レベルまで細かくしなければならない」
ということを考えると、やはりそこは「消化液」の働きによるものです。
ところで、「胃液」って酸性だということは
○○さんもどこかでお聞きになってご存知のことかと思います。
「胃酸」っていうくらいですからね。
「あれ、諸橋さん、それっておかしくないですか?
だって、さっき”消化酵素はたんぱく質”って言ってましたよね?
たんぱく質って『酸性』にさらされると変化して活性を失うこともあるんですよね?
だったら、この”ペプシン”も胃酸の『酸性』にさらされると
変化して消化酵素として働けなくなるのではないですか?」
そんな疑問を持たれた方。
ピンポン♪
するどいです。
実はこの「ペプシン」。
面白いことに、同じく胃の中で分泌される「塩酸」によって活性化されて
始めてその力を発揮する、と言う性質があります。
どういうことか?
「ペプシン」は胃の細胞で作られる時点では
「ペプシーノーゲン」という不活性型な前駆体、と言う形をしています。
何か難しくてよくわからん…と言う方も多いと思いますが
「ペプシーノーゲン」の状態だと「まだスイッチ入ってません」と言う段階だと
ここでは理解してください。
それが「塩酸」によって強い酸性の状態にさらされると、
この「ペプシノーゲン」の形が変化します。
活性化して、「ペプシン」になる。
「私スイッチ入りました!」状態になるわけですね。
ここで初めて「消化酵素」として活躍しはじめるわけです。
「ペプシン」は「たんぱく質」の消化に関わる酵素ですから
胃の中で「たんぱく質」を分解して第一段階の消化を行います。
(第一段階、というのは、このあと場所を変えて第二段階があるからなのですが・笑。
その話はまあ、追々、ということで)
ところでまた面白いことに、この「ペプシン」は「力を発揮するのに最適な環境」っていうのが
決まっているんですね。
酸性、アルカリ性を示す数値にph(ペーハー)っていうのがあります。
「ペプシン」が元気で活動できるのってph2.0くらいが最適なんですね。
これが消化が進んで小腸に行くとこの酸を中和するように
アルカリ性の腸液の分泌が始まります。
なので、この時点で「ペプシン」は活性を失います。
「ペプシン」の働きはそこでおしまい、というわけですね。
…。
さて、結構長くなったのと「ペプシン」やら「アルカリ」やら
面倒くさい単語がたくさんでてきてそろそろ眠くなっている方もいそうですが…。
これまでお話したことを踏まえて、
これから言うことに耳を傾けてください。
●小腸では多くの消化酵素が働いていますが
その活動に最適なphは、ほぼ弱酸性~中性です。
●ご質問にある「炭水化物」の消化に関わる酵素は
唾液と膵臓から分泌される膵液のなかに含まれます。
…。
ここまで読んで「あること」に気がつかれた方も多いと思います。
その「あること」…消化を考える上で非常に大切です。
これについてはまたじっくりとお話をさせていただきたいのと
今日は長くなりましたので
次回のメールで引き続きお話しますね。
本日は以上です。
ドッグホームケアセラピスト
諸橋直子
(終)
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>蛋白質・炭水化物・脂質という身体を作る栄養素を低分子化させるために
>必要な消化酵素を補って少しでも腸の働きを助けれたらと思っています。
>食材ならキウイやパパイヤ、大根などを使いますが、他にバリエーションが思い浮かびません。
>炭水化物を低分子化する役割のある食品には何があるのでしょうか。。
>もし良かったら講座の時でもお聞きできればと思っています。
まず、消化に関する基礎的なことをお話します。
過去にもこのメルマガで
「犬におじやなど消化のいいものばかり与えると
胃腸の消化能力が落ちるのではないかと心配です」
というご質問に回答したことがありますが…。
「消化」
についての正しい認識があると、またこうしたご質問に対し
見方が変わってくるので今日はそのお話をしますね。
■胃での消化には2段階ある
■酵素はたんぱく質
↑
これが「消化」を考えて行く上でのキーワードとなります。
■胃での消化には2段階ある
胃での消化について。
ざっくりいうと胃では2つの消化活動が行われています。
ひとつは胃そのものが動いて「食物を細かく砕く」という”物理的消化”
もうひとつは「胃液」による”化学的な消化”
■酵素はたんぱく質
「たんぱく質」って環境によって変化します。
卵をイメージしてください。
お湯でゆでるととろとろの生卵は
茹で卵になって固くなりますよね?
また、洗剤の多くは「アルカリ性」です。
これは、垢などのたんぱく質汚れがアルカリによって
構造がゆるんだり分解されたりするためです。
だから汚れが落ちやすい。
あと、牛乳にレモン汁を入れてかき混ぜると
簡単なカッテージチーズができますが、
○○さんもご自宅で手作りされた経験はありませんか?
これはレモン汁=「酸性」によってやはり
牛乳に含まれる「たんぱく質」が変化するためです。
●タンパク質は熱によって性質が変化する
●「酸性」「アルカリ性」にさらされても変化する
●酵素もたんぱく質なので、「熱」「アルカリ」「酸」にさらされると
活性を失ったり、性質がかわる。
↑
この3つ、大事なのでよーく覚えておいてくださいね。
ここで、胃による「化学的消化」に話を戻します。
物理的消化は何となくイメージがつくと思いますが「科学的な消化」となると
なんじゃそりゃ?と思われる方も多いと思うので
もっと噛み砕いてお話ししましょう。
胃液の中には「ペプシン」と言う消化酵素が含まれています。
(※これは犬も人間も同様です)
これは「たんぱく質を分解する消化酵素」として良く知られています。
化学的消化では、栄養素を「分子レベル」で細かくして
小腸で吸収できる形にする、ということを行っています。
よく「犬の消化吸収を助けるためには、すべての材料を
フードプロセッサーで細かくした方が良いのでしょうか?」という
ご質問もありますが、これはあくまでも「物理的消化」の方になります。
胃での運動量を減らし、食べ物の滞在時間を若干短縮はできますが、
最終的に食べ物は
「小腸で吸収可能な分子レベルまで細かくしなければならない」
ということを考えると、やはりそこは「消化液」の働きによるものです。
ところで、「胃液」って酸性だということは
○○さんもどこかでお聞きになってご存知のことかと思います。
「胃酸」っていうくらいですからね。
「あれ、諸橋さん、それっておかしくないですか?
だって、さっき”消化酵素はたんぱく質”って言ってましたよね?
たんぱく質って『酸性』にさらされると変化して活性を失うこともあるんですよね?
だったら、この”ペプシン”も胃酸の『酸性』にさらされると
変化して消化酵素として働けなくなるのではないですか?」
そんな疑問を持たれた方。
ピンポン♪
するどいです。
実はこの「ペプシン」。
面白いことに、同じく胃の中で分泌される「塩酸」によって活性化されて
始めてその力を発揮する、と言う性質があります。
どういうことか?
「ペプシン」は胃の細胞で作られる時点では
「ペプシーノーゲン」という不活性型な前駆体、と言う形をしています。
何か難しくてよくわからん…と言う方も多いと思いますが
「ペプシーノーゲン」の状態だと「まだスイッチ入ってません」と言う段階だと
ここでは理解してください。
それが「塩酸」によって強い酸性の状態にさらされると、
この「ペプシノーゲン」の形が変化します。
活性化して、「ペプシン」になる。
「私スイッチ入りました!」状態になるわけですね。
ここで初めて「消化酵素」として活躍しはじめるわけです。
「ペプシン」は「たんぱく質」の消化に関わる酵素ですから
胃の中で「たんぱく質」を分解して第一段階の消化を行います。
(第一段階、というのは、このあと場所を変えて第二段階があるからなのですが・笑。
その話はまあ、追々、ということで)
ところでまた面白いことに、この「ペプシン」は「力を発揮するのに最適な環境」っていうのが
決まっているんですね。
酸性、アルカリ性を示す数値にph(ペーハー)っていうのがあります。
「ペプシン」が元気で活動できるのってph2.0くらいが最適なんですね。
これが消化が進んで小腸に行くとこの酸を中和するように
アルカリ性の腸液の分泌が始まります。
なので、この時点で「ペプシン」は活性を失います。
「ペプシン」の働きはそこでおしまい、というわけですね。
…。
さて、結構長くなったのと「ペプシン」やら「アルカリ」やら
面倒くさい単語がたくさんでてきてそろそろ眠くなっている方もいそうですが…。
これまでお話したことを踏まえて、
これから言うことに耳を傾けてください。
●小腸では多くの消化酵素が働いていますが
その活動に最適なphは、ほぼ弱酸性~中性です。
●ご質問にある「炭水化物」の消化に関わる酵素は
唾液と膵臓から分泌される膵液のなかに含まれます。
…。
ここまで読んで「あること」に気がつかれた方も多いと思います。
その「あること」…消化を考える上で非常に大切です。
これについてはまたじっくりとお話をさせていただきたいのと
今日は長くなりましたので
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ドッグホームケアセラピスト
諸橋直子
(終)
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