森の中の旅人の出口 | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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木曽の清流に映え、心触れ合う躍動都市;愛知県一宮市に活動拠点を置く、尾張エクセルです。保守政権を応援しつつ、経済・社会・軍事防衛まで、地域や国内、海外の気になる出来事や話題を、独断と偏見溢れる一味違った目線でブログ提供します。

小生が愛読する日経新聞の8月21日付朝刊のマーケット総合欄の「大機小機」に
掲載された「和悦」氏のコラムに 興味をひかれたので、一部加筆の上で紹介する。

森の中で迷った旅人は、うろちょろしたり、立ち止まったりせず、一つの方向に
歩み続けるべし。最後には森から抜け出せるはずだから…
」。
これは、デカルト「方法序説」の一節である。
8月14日に辞意を表明した 岸田文雄首相を思わせるような話である。「経済の
停滞を打ち破るには 物価上昇を上回る賃上げ
」と思い定めて、その路線を貫いた。
2024年の春季労使交渉(春闘)の賃上げ率は、連合調べで「5.1%」。直前
の民間エコノミスト予想では3%台だったことを、批評家たちは コロリと忘れた
かのようだ。
2024年度の最低賃金は 全国平均で50円引き上げの方向で、10月に改定さ
れる。「余勢をかって、2025年の春闘でも 着実な賃上げを実現したい…」。
岸田首相はそう念じていたはずだ。
日本経済は「30年にわたったデフレ型の停滞からの脱却」の間際まで来ている。
岸田首相の後継候補たちは、この路線を貫けるのだろうか
。気になるのは 「振り
子の揺り戻し」だ。
 
総裁候補と目される「石破茂元自民党幹事長」を例に取ろう。近著「保守政治家
わが政策、わが天命」には「
『異次元緩和』では日本経済は治らない」とある。

「日銀財務の悪化,財政規律の麻痺,銀行の体力低下」などを「副作用」とした。
ならば、足元での「基礎的財政収支(プライマリーバランス;PB)」の好転を、
どう見るのか。
「捕らぬたぬきの皮算用」は禁物ながら、内閣府は 「2025年度のPB黒字化
見通し」を示すに至った。「国と地方の公的債務の名目GDP(国内総生産)比」
も、高水準ながら頭打ちになっている。
財政指標の好転は、岸田政権がデフレ脱却に取り組んだ産物」なのである。
名目GDPが上向きに転じて税収が想定以上に増え、「成長による財政立て直し」
が進んだのだ。
岸田首相が辞意表明の際に語った「名目GDP600兆円」は 安倍晋三元総理が
2015年に掲げた経済目標のひとつである。岸田首相は自分なりに、その目標
を追求して実現した。
 
石破氏の本で気になるのは、名目賃金や 物価の昇,企業収益増に伴う税収拡大を
「当然のこと」とする記述である。それができず、30年にもわたって 苦労した
のではないのか。
成長至上主義からの脱却。新たな『公共』。多様化した幸福」。
これらのテーマを挙げるのはよいが 「長期停滞からの完全脱却」という「一丁目
一番地の課題」に、どう取り組むのか。
 
出口からの逆走は禁物である。