政府の役割とは、民間活力を引き出す支援だ! | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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小生は、資本主義国の多くが産業政策で「大きな政府化」しているように思える。
たとえば「産業のコメ」と呼ばれている半導体である。米国も欧州でも、巨額の
政府資金を投じている。
日本も、また同様である。世界トップの半導体製造企業の誘致や、日の丸半導体
の育成に兆円単位の国費を注いでいる。
半導体だけではないのだ。財政投融資などを使った官民ファンドが14本で、国
の出資額は約2兆円である。「10兆円の大学ファンド」も一昨年にスタート。
それぞれの意気込みは理解できるものの、「官主導の成長戦略の方向性が、少々
ズレている」ような気がするのだ。
現在の日本は長い経済低迷に喘いできたとはいえ、決して「明治維新期ではない」
のである。「産業振興に政府がヒト、モノ、そして巨額のおカネを投じる時代では
ない」はずだ。「潤沢な民間資金を、いかに活用するか?」が最優先のテーマでは
ないのか。政府は、民間の活力を引き出す縁の下の力持ちであるべきだ。
日本企業は「失われた30年」の間に内部留保を積み上げてきた。それなりに利益
を上げて、配当額はこの20年で約5倍になったものの、賃金と設備投資はずっと
抑えこんでてきた。内部留保額は、約200兆円からいまや約600兆円に達する
ものと推定される。これは、「日本の国内総生産(GDP)に相当する規模」だ。
内部留保は そのまま投資に向けられるものではないが、「ネットキャッシュ(手元
資金)」も豊富である。上位10社で9兆円弱、上位50社を合計すると20兆円
弱にもなる。
こうした民間資金を成長ドライバーに活用する方向へと誘導することこそが、政府
の役割ではないだろうか。成長投資への税制優遇や関連インフラの強靱化、サプラ
イチェーン(供給網)の整備や人材育成などの間接的な支援を中心にすべきだ。
「官による直接の資金支援」よりも、経営を熟知する民間の活力を引き出す政策の
方が有益だと思う。民間が民間資金を使って切磋琢磨するような環境整備が、日本
の成長力の源泉になるはずだ。
むしろ、政府資金は「理化学研究所」や「産業技術総合研究所(つくば市)」など、
最先端研究を行う機関への思い切った支援に向けるべきではなかろうか。
今年から始まっている「少額投資非課税制度(NISA)ブーム」もあり、個人も
投資に目覚めてきた。おカネの運用と調達、そしてその活用に今まさに自由な民間
市場の力を使いたいものである。