普通に戻らない金融政策 | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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木曽の清流に映え、心触れ合う躍動都市;愛知県一宮市に活動拠点を置く、尾張エクセルです。保守政権を応援しつつ、経済・社会・軍事防衛まで、地域や国内、海外の気になる出来事や話題を、独断と偏見溢れる一味違った目線でブログ提供します。

小生が愛読する日経新聞の4月3日付朝刊のマーケット総合欄のコラム「大機小機」に
掲載された記事には、なかなか興味をひかれたので、一部加筆の上で紹介する。
3月19日に、日銀は「異次元」とした大規模緩和を解除した。「マイナス金利」など
11年間も続いた異常な金融緩和が終焉したのは遅きに失したが、当然である。
会合終了後の記者会見で植田和男総裁は「普通の金融政策に戻る」と言ったが、戻って
いない現実がある。「金融政策が政治から完全に独立であること」は、望めないことで
あるのかもしれない。
しかし100年余りの経験を通して、先進各国は「中央銀行の独立性こそが経済にとっ
て望ましい制度である
」という結論に達した。
過去11年間のわが国の金融政策は、主役が「政治」であったという意味では、まさに
異次元だった。
2012年12月の総選挙では、当時野党の総裁だった安倍晋三氏が、選挙戦で日銀を
声高に批判して、政権誕生とともに「アベノミクス」がスタート、2013年4月から
始まった異次元緩和は「第1の矢」を担うこととなった。
経済の世界では「1+2=3」だが、「1+2が10になり得る」というのが、政治の
世界である。黒田東彦前総裁が、「信じなくなった途端に飛べなくなるというピーター
パン」の話を引き合いに、「信じれば飛べる」と言ったのは象徴的だ。
いずれにせよ、一度「1+2=10」が金看板となれば修正は容易でない。2023年
2月27日に、日銀総裁候補となった植田和夫氏は、参議院の所信聴取にて、世耕弘成
参議院幹事長(当時)から矢継ぎ早にこう聞かれた。
「アベノミクスをどう評価しているのか」、「継承するのか」、「その一端を 引き続き
担う決意があるのか」…。日銀にとって、最大の課題である政治からの独立は、今でも
決して安泰ではない。
大規模緩和の解除」は、なぜ2023年4月でなくて、2024年3月となったのか。
この1年、物価は目標とする2%を超えていた。
「1年前にはできなかった賃金と物価の好循環が、最近のデータで確認されたから」と、
日銀は説明する。しかし、賃金と物価の「好循環」は、無定義語だ。零細企業の賃金は、
世間の耳目を集める「連合がまとめた 春季労使交渉(春闘)の結果」とは異なり、実質
賃金は下がり続けている。
「持続的・安定的に」という副詞句も 政策の説明責任を曖昧にしている。露骨な政治の
介入を断った後に日銀が直面するのは、2%の物価目標の位置づけである。
「普通の金融政策への道」は遠い。