GDPの順位は国力を示すか!? | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

尾張エクセルの「日々精進ブログ」

木曽の清流に映え、心触れ合う躍動都市;愛知県一宮市に活動拠点を置く、尾張エクセルです。保守政権を応援しつつ、経済・社会・軍事防衛まで、地域や国内、海外の気になる出来事や話題を、独断と偏見溢れる一味違った目線でブログ提供します。

小生が愛読する日経新聞2月28日付けの刊マーケット・投資欄コラム【十字路】に
掲載された大和総研執行役員~鈴木準氏の「GDPの順位は 国力を示すか」は、なか
なか面白かったので、一部加筆の上で引用して紹介する。

 
2023年の日本の名目国内総生産(GDP)は、人口が約3分の2であるドイツに
抜かれて世界第4位に転落した。数年後には、インドにも抜かれそうだ…と取り沙汰
されている。物価や為替の影響があるとはいえ、2023年の名目GDPはドイツが
4.5兆$、日本は4.2兆$。就業者数でドイツは日本の6割で、労働時間は8割に
すぎない。すなわち「日本の生産性が低すぎる」のである。
直近10年間の実質経済成長率(年率)はドイツの1.1%に対して、日本は0.6%。
これにインフレ率の違いが加わり、名目GDPの伸びにかなりの差が生じていた。
ただ各国のGDPを比較する際のドル建てへの換算は、「市場為替レート」による。
内需産業を含む生産性の違いが映された「購買力平価換算のGDPは日本が4位で、
ドイツは5位である。
ちなみに1位は中共、2位は米国である。すでにインドは2009年に日本を抜いて
3位である。ドイツは欧州の中でも経済の停滞感が強く、日本と同様にデジタル化や
脱炭素に伴う産業構造の変革に苦悩している。
そもそも一国のGDPの順位は国力を示すのだろうか。国力とは経済力だけでなく、
広い意味での技術力や、文化力を含む国民の資質で決まるものだろう。探求や研鑚が
どれだけ尊重され称賛されるか、社会に貢献するアイデアの構想力を皆が持てている
かで国の未来は大きく違ってくる。
一方で、一人ひとりが置かれた状況が重要という点では、「購買力平価換算の1人当
たりGDP」はどうだろうか。日本は1996年の17位をピークに低下傾向にあり、
2023年は36位になったとみられる。ちなみにドイツは21位だ。
この間の実質賃金の低迷や高齢化の影響と考えられて、生産性の向上による賃上げや
生涯現役社会の構築などは待ったなしの課題である。
戦後10年が経過した1955年から2023年迄に 日本の実質GDPは12.8倍
になったが、その圧倒的な要因は9.2倍になった「1人当たり実質GDP」である。
だが、それでも平均的な生活水準を示す1人当たりGDPの順位は 決して高くない。
その引き上げが、結果的に国力を強めることになる。