小生が愛読する日経新聞11月15日付夕刊マーケット・投資欄のコラム【十字路】に
ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕 治好氏が掲載された「新NISAは『棚ぼた』に
あらず」は、なかなか面白かったので、一部加筆の上で引用して紹介する。 |
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2024年1月から始まる、新しい「少額投資非課税制度(NISA)」への関心が、
おおいに高まっていると感じる。新NISAを契機として証券投資を検討する家計が
増えることは、個人の金融資産構築の幅が広がるという点で歓迎すべきことだ。 |
ただ、専門家や既存の投資家から、「新NISAの資金が、日本の株価を 大幅に持ち
上げてくれる」との期待をよく聞くようになった。 |
客観的に、そのように予想すること自体は 決して悪いわけではないが、これまで耳に
した「ウォーレン・バフェット氏が 日本株の保有を増やすのではないか」、「日銀の
上場投資信託(ETF)買いが株価を支える」などの声と通じる「誰かが 株価を持ち
上げてくれる」との「他人任せ」の香りがする。
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「新NISA」の目的とは、「個人の金融資産構築を、税制面から支援する」ものだ。
だから、日本株を押し上げるための制度ではない。 |
日本経済新聞のインタビューで 堀本善雄金融庁政策立案総括審議官は「国内企業への
資金供給は家計の資産形成を犠牲にするのではなく、国内企業が魅力を高めることで
実現されるべきだ」と語っている。つまりは、日本企業が 自社株式への投資の魅力を
高められなければ、新NISAの組み入れ商品は海外投資を行う投信が中心となろう。 |
運用会社や金融機関・証券会社も、「労せずして、個人が資金を託してくれる」という
わけではなかろう。 |
堀本氏は「割安な銘柄を選ぶ価格発見機能は 普通の個人全員が発揮できる訳ではない。
プロの運用業者などがこの機能を担うべきであり、運用業者の能力向上が大切になる」
と指摘し、金融機関などに奮起を促している。 |
発行企業や,運用会社,金融機関,株式の専門家,既存株主などが、「新NISAは、
『棚ぼた』だとして自助努力を怠れば、訪れる結末は日本株式市場の沈滞」だろう。 |